以下要約。
民主主義とは、
⑴自由な議論をもとに
⑵多数決を通じて手続きの正当性を担保し、
⑶これに皆が従う制度
である。
ところが日本では、ムラ原理によって、合理的な議論よりも集団全体の調和のほうを優先してしまっている。これに対する改革案としては、以下のものが提案できる。
⑴比例代表制の廃止。なぜなら、小党が乱立、政権獲得のために離合集散するため(時には政治的妥協までする)、二大政党制のように選挙での結果が直接政治に反映されないから。
⑵国民が、選挙に金を払っているのだ、という意識を持つこと。
⑶次点歳費制(選挙で落選しても、2位であれば、一位で当選した議員と同額の歳費をもらえる)。
だという。
とくに言うことない。ただ、二大政党制の長所として、上記⑴を挙げているのは、オモシロイと思う。また、⑶などは、賄賂の防止にも役立つだろう。最近、IR誘致をめぐって議員がたたかれているが、こうした癒着が起こるのは、そもそも議員の所得が不安定であるために、特定企業に依存せざる負えない現実がある。一部国民はそんなことお構いなしに、「わいろ、ダメ!」の大合唱である、めでたいなぁ。。。他方議員にも、自戒が求められるのだろう。吉野作蔵が、「民主制は民衆だけでは機能しない、貴族階級が必要だ」といった所以もそこにある。貴族とが、倫理的・知的に優れたエリートのことである。かの議員はどうか?
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政治の教室 (PHP新書 172) 新書 – 2001/10/1
橋爪 大三郎
(著)
「自分で決めて選んだ」と実感できれば政治は必ず面白くなる――そう信じる著者が、社会学と政治学の垣根を超え、社会科学者として政治を俯瞰。民主主義の本質と日本型政治の問題を軽快に論じ、独自の改革案を提言する。
「原理編」では、ギリシャ・ユダヤ教・キリスト教・儒教などの政治と思想を通して民主主義とはどういうものかを説く。
「現実編」では、古代から続く全員一致・連帯責任のムラ原理、明治以来自分たちのものと実感できない憲法、国民に一つの選択肢しか与えなかった戦後政治、質の高い民主主義とはほど遠い現在の選挙制度……日本の政治とは何かを問う。
「改革編」では、有権者が政治にリアリズムを感じるための独自の改革案――「党員チケット制」、「次点歳費制」、政治リーダーを養成する学校の創設――を提言。そして有権者が質の高い意思決定をするために情報公開の必要性を訴える。
日本の政治をなんとかしたい、そんな市民のための待望の教科書。
- 本の長さ235ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2001/10/1
- ISBN-104569618456
- ISBN-13978-4569618456
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2001/10/1)
- 発売日 : 2001/10/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 235ページ
- ISBN-10 : 4569618456
- ISBN-13 : 978-4569618456
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,384,429位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2002年11月15日に日本でレビュー済み
原理編で、市民が統治権を戦いとってきた西欧の民主主義の歴史が語られ、続く現実編では、民主主義が市民の自覚も責任感もないまま安易に導入された日本で、いかに根づいていないかが明らかにされ、改革編では、それらをうけて具体的な政治改革案や市民の政治への参加の必要性が説かれる。
人によって興味を持つ部分は違うだろうが、日頃から日本社会の特殊性を感じることの多い私には、現実編の明治維新の実態あたりが一番面白かった。
人によって興味を持つ部分は違うだろうが、日頃から日本社会の特殊性を感じることの多い私には、現実編の明治維新の実態あたりが一番面白かった。
2004年2月13日に日本でレビュー済み
「政治ってなんだろう」
そんな素朴な疑問から購入した本だった。
とても読み易く、机の上でやる政治だけでなく、実際に社会で営まれている政治の勉強にも役立った。
実際の政治は汚いものだと軽蔑しがちだった自分にとって、目にうろこだったのだ。
何が汚いって、金、金、金。
政治献金など、政財界の癒着のイメージが強かったのだ。
私的なところから金を取っちゃいけない、そう思っていた。
しかし、著者は税金で得票数に応じて政党に助成金を、みたいなことはせずに、もっと政党が国民から直接お金を集めるような仕組みにしないといけないと述べている。
そうすれば、政治家は国民に対して説明義務を果たすし、国民は政治に大きな関心を持つようになるというのだ。
この本が私の政治への見方を変えた、多くあるうちの一例を挙げておいた。
そんな素朴な疑問から購入した本だった。
とても読み易く、机の上でやる政治だけでなく、実際に社会で営まれている政治の勉強にも役立った。
実際の政治は汚いものだと軽蔑しがちだった自分にとって、目にうろこだったのだ。
何が汚いって、金、金、金。
政治献金など、政財界の癒着のイメージが強かったのだ。
私的なところから金を取っちゃいけない、そう思っていた。
しかし、著者は税金で得票数に応じて政党に助成金を、みたいなことはせずに、もっと政党が国民から直接お金を集めるような仕組みにしないといけないと述べている。
そうすれば、政治家は国民に対して説明義務を果たすし、国民は政治に大きな関心を持つようになるというのだ。
この本が私の政治への見方を変えた、多くあるうちの一例を挙げておいた。
2007年6月8日に日本でレビュー済み
中道に位置する社会学者の易しい政治入門書。
著者は、ポピュリズムも共産主義も社会主義も新自由主義も否定するので、どの党派の仲間ともいえない。
その点、日本ではこのような「客観的」な書物が党派には受け入れられないのだなと思う。
政治にはお金がかかることをよく承知しており、その前提から出発する。
実際数百万円の資金で国会議員に独力で当選しようとする人物がいくらいても結局は誰にも知られないまま落選するのだ。
無論著者はそれを手放しで賛美はせず、まずしっかりと認識しようというスタンスに立つ(この時点で原理主義者からは許せないのだろうが…)。
日本では極めて珍しくマルクス主義の洗礼を受けなかった社会学者である著者は、ムラ社会の利点、欠点もよく理解している。
その理解を元に改革できることは改革しようと訴えるのである。
日本の全ての学者にありがちな西洋崇拝(異国崇拝)でもないわかりやすくためになる入門書であるといえる。
著者は、ポピュリズムも共産主義も社会主義も新自由主義も否定するので、どの党派の仲間ともいえない。
その点、日本ではこのような「客観的」な書物が党派には受け入れられないのだなと思う。
政治にはお金がかかることをよく承知しており、その前提から出発する。
実際数百万円の資金で国会議員に独力で当選しようとする人物がいくらいても結局は誰にも知られないまま落選するのだ。
無論著者はそれを手放しで賛美はせず、まずしっかりと認識しようというスタンスに立つ(この時点で原理主義者からは許せないのだろうが…)。
日本では極めて珍しくマルクス主義の洗礼を受けなかった社会学者である著者は、ムラ社会の利点、欠点もよく理解している。
その理解を元に改革できることは改革しようと訴えるのである。
日本の全ての学者にありがちな西洋崇拝(異国崇拝)でもないわかりやすくためになる入門書であるといえる。
2004年2月3日に日本でレビュー済み
国民による政治改革のための道筋を著者独自の視点で説いています。
現在の「既存(既得)勢力」と党派層」の図式をとっぱらい、政治と選挙をより大きく、知名度・関心度の高い者にしようというのが著者の主張のひとつです。
政治家、政党の講演会を広く開き、聴衆から木戸銭を徴収する。ただし、聴衆はいわゆる団体関係者ではない。ただの一般市民です。講演会に行ったからといって、その候補者の支持者というわけではない。いろんな人の講演会を勝手気ままに聞き回って一番気に入った人に投票すればよいのです。
(中略)
立候補も、投票も、誰でも、気軽に選挙に参加できて真剣に政治を考えられる日本。絵空事かもしれませんが、マジメにそれを考えることが、モット日本を良くしていく道なのではないかと考えさせられます。
現在の「既存(既得)勢力」と党派層」の図式をとっぱらい、政治と選挙をより大きく、知名度・関心度の高い者にしようというのが著者の主張のひとつです。
政治家、政党の講演会を広く開き、聴衆から木戸銭を徴収する。ただし、聴衆はいわゆる団体関係者ではない。ただの一般市民です。講演会に行ったからといって、その候補者の支持者というわけではない。いろんな人の講演会を勝手気ままに聞き回って一番気に入った人に投票すればよいのです。
(中略)
立候補も、投票も、誰でも、気軽に選挙に参加できて真剣に政治を考えられる日本。絵空事かもしれませんが、マジメにそれを考えることが、モット日本を良くしていく道なのではないかと考えさせられます。
2004年1月5日に日本でレビュー済み
同氏の4冊について、コメントを出します。
この本、まあいいのではないでしょうか。実を言えば、憲法の教科書を読めば、世界史・日本史を真に勉強すれば、当然わかっているはずのことなのだが、改めて現代日本の「政治」を検討する観点から整理してくれた感じ。
「改革案」の現実性いかんと言うか、評論家的書き方と言うか、それはおいても、題名からすればそれもいいかと。
この本、まあいいのではないでしょうか。実を言えば、憲法の教科書を読めば、世界史・日本史を真に勉強すれば、当然わかっているはずのことなのだが、改めて現代日本の「政治」を検討する観点から整理してくれた感じ。
「改革案」の現実性いかんと言うか、評論家的書き方と言うか、それはおいても、題名からすればそれもいいかと。
2005年10月1日に日本でレビュー済み
小室氏のコピーでも内容がまともならばいいのだが、「改悪」されているから始末に負えない。
民主主義の本質が「多数決」にあるという理解は端的に間違いである。これについては日本における民主主義研究の第一人者のひとり、千葉眞氏の「デモクラシー」(岩波書店)や、同じ東大卒の社会学者で探すなら、大澤真幸氏の「現実の向こう」(春秋社)などを参照してほしい。
大日本帝国憲法の理解も正確ではない。伊藤博文は天皇の地位についてははっきり意識して起草している。そんな沿革も知らないらしい。「改革編」については批判する言葉すら出てこない。
この人間が人気社会学者という以前に、どうして社会学のイロハもわかっていない人間が(その理由は「天皇の戦争責任」のレビューなどで書いたが)大学の教授になれるのだろう? 本書はところどころに一見まともな議論が挿入されているように見えるだけに、かえって読者を誤った結論に誘導する可能性がある、という意味も含めて有害だと思われる。
最低限、民主主義の根底には、「理想的な討議」(ハーバーマス)、そしてそれを支える「情報の共有」が不可欠であることは記しておきたい。
民主主義の本質が「多数決」にあるという理解は端的に間違いである。これについては日本における民主主義研究の第一人者のひとり、千葉眞氏の「デモクラシー」(岩波書店)や、同じ東大卒の社会学者で探すなら、大澤真幸氏の「現実の向こう」(春秋社)などを参照してほしい。
大日本帝国憲法の理解も正確ではない。伊藤博文は天皇の地位についてははっきり意識して起草している。そんな沿革も知らないらしい。「改革編」については批判する言葉すら出てこない。
この人間が人気社会学者という以前に、どうして社会学のイロハもわかっていない人間が(その理由は「天皇の戦争責任」のレビューなどで書いたが)大学の教授になれるのだろう? 本書はところどころに一見まともな議論が挿入されているように見えるだけに、かえって読者を誤った結論に誘導する可能性がある、という意味も含めて有害だと思われる。
最低限、民主主義の根底には、「理想的な討議」(ハーバーマス)、そしてそれを支える「情報の共有」が不可欠であることは記しておきたい。
2005年5月3日に日本でレビュー済み
政治思想を概説した第一部、日本の政治事情を概説した第二部は引用文献や典拠となる思想家が明示されていないので、どこまでが思想家からの引用でどこからが橋爪の持論なのかがはっきりしない。一気に読めるように配慮したのだとしても、ある程度は参考文献を書くべきである。
政治改革を提言した第三部は、試算根拠すら示さずに「民主主義のコストとして5000億円必要」と言い切る。国会議員数はともかく、地方議会議員数をきちんとしらべているとは到底思えない。落選第一位候補にも歳費を与えて政治活動させよとか、草の根民主主義の勧めとか、かなりいい提案はあるが、緻密な調査が伴っていないので、信頼性が低いのである。
「スタンダード政治学」のような政治学者の書いた教科書を読む方が、はるかに政治学に通じることができる。
政治改革を提言した第三部は、試算根拠すら示さずに「民主主義のコストとして5000億円必要」と言い切る。国会議員数はともかく、地方議会議員数をきちんとしらべているとは到底思えない。落選第一位候補にも歳費を与えて政治活動させよとか、草の根民主主義の勧めとか、かなりいい提案はあるが、緻密な調査が伴っていないので、信頼性が低いのである。
「スタンダード政治学」のような政治学者の書いた教科書を読む方が、はるかに政治学に通じることができる。