新聞、週刊誌、テレビというインターネット時代前の3大メディアすべてを経験した著者による回顧録である。各メディアでニュースが作られていくプロセスが詳述されている。
著者によると、メディアの仕事をしている人間には、「人間観」「歴史観」「比較文化観」という3つの観点が必要だという。「人間観」とは、喜怒哀楽、明暗などが複雑に絡みあった人間という存在についての独自の考え方。そして、メディアでニュース仕事に携わる人間は、歴史の中で、今起きていることをどう位置づけて捉えるかが不可欠なので「歴史観」が必要とされる。また、「比較文化観」は、自分なりの文化観がないと、異文化理解ができないために必要条件となる。
上記と同時に、著者が最も大切だと思うのは「好奇心」とのこと。それがなければ、日々バタバタと駆け回る報道の仕事をずっと続けることはできなかったであろうと著者は振り返り、「『俺より好奇心を持っているヤツがたくさんいる』と思ったなら、潔くメディアの道はあきらめたほうがいい」とまで助言する。
本書では、好奇心に突き動かされて、ニュースを追い求める著者の数十年間の足取りが記録されている。1人のジャーナリストの生き方として、かつてのメディア最前線の姿として、とても興味深い。
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ニュースの職人: 真実をどう伝えるか (PHP新書 174) 新書 – 2001/10/1
鳥越 俊太郎
(著)
事件記者「落第」の新人時代、“夜討ち朝駆け”の特ダネ合戦、イラン・イラク戦争下の恐怖取材、「田中角栄村同棲報告」「“浜幸”外国脱出追撃密着取材」など政治の内実を暴いたスクープ、「雪崩報道を止めた“イエスの方舟”事件」、痛恨の誤報……山あり谷ありの記者生活を経て最後に見つけた自らの肩書。それが“ニュースの職人”。
会社ジャーナリズムの論理ではなく、自分の直感で何が「真実」かを判断する。ニュースを最高の形で提供する。情報の真贋を見極めるノウハウを伝える。報道のプロに必要なのは、こうした職人的作業と真実を追求する姿勢である。
著者は「桶川女子大生ストーカー殺人事件」など、一連のジャーナリスト活動が認められ本年度「日本記者クラブ賞」を受賞した。
新聞、雑誌、テレビ、インターネットと様々なメディアでニュースを発信してきた著者の熱き体験談を通して知る、“ニュースの職人”像。
中坊公平氏も推薦する一冊。
- 本の長さ217ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2001/10/1
- ISBN-104569618472
- ISBN-13978-4569618470
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
事件記者「落第」の新人時代、"夜討ち朝駆け"の特ダネ合戦、イラン・イラク戦争下の恐怖の取材、政治の内実を暴いたスクープ、痛恨の誤報。著者の汗と涙の体験談で知る"ニュースの職人"像。
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2001/10/1)
- 発売日 : 2001/10/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 217ページ
- ISBN-10 : 4569618472
- ISBN-13 : 978-4569618470
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,640,259位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,045位ジャーナリズム (本)
- - 2,407位PHP新書
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2007年2月13日に日本でレビュー済み
鳥越俊太郎さんの存在は、小学生の時たまたま見て以来ずっとザ・スクープを見てきたので、自分の中では一番身近なジャーナリストの一人です。
この本はその鳥越さんのジャーナリストとしてのニュース哲学をまとめた書であると同時に、毎日新聞の記者から始まった「ニュースの職人」として大成していくまでをつづった自伝でもあります。
その中で述べているものでも特に印象的なのは、「報道という仕事は常に欠陥商品を売るもの」と、自らも携わっているマスコミの仕事をばっさりと切り捨てています。
というか割り切っているというのが正しいでしょうか。
というのも、彼がザ・スクープという検証ドキュメント番組のキャスターを務めていたからこそいえることなのでしょうが。現に作中でも、この番組をマスコミの危機管理という側面も持っていると述べていますし。
鳥越流の報道哲学、または広義的にジャーナリズムに興味のある方には一見の価値ありの一冊です。
この本はその鳥越さんのジャーナリストとしてのニュース哲学をまとめた書であると同時に、毎日新聞の記者から始まった「ニュースの職人」として大成していくまでをつづった自伝でもあります。
その中で述べているものでも特に印象的なのは、「報道という仕事は常に欠陥商品を売るもの」と、自らも携わっているマスコミの仕事をばっさりと切り捨てています。
というか割り切っているというのが正しいでしょうか。
というのも、彼がザ・スクープという検証ドキュメント番組のキャスターを務めていたからこそいえることなのでしょうが。現に作中でも、この番組をマスコミの危機管理という側面も持っていると述べていますし。
鳥越流の報道哲学、または広義的にジャーナリズムに興味のある方には一見の価値ありの一冊です。
2004年8月22日に日本でレビュー済み
「好きなこと」を仕事にしている人、本当にうらやましい。でも鳥越俊太郎はそんな生易しい境地じゃなかった。仕事が「好き」なんじゃない。特別「向いている」わけでもない。命と引き換えてしまうほどの好奇心が仕事に駆り立てる。その一方で、報道の怖さと限界を知り尽くしている。もうこれは、彼の生き様以外の何でもありません。イラン・イラク戦争の取材、浜田幸一氏への取材など、まさしく体験した人でなければ書けない生々しさでした。
メディアの仕事をしていくために求められる「人間観・歴史観・比較文化観」そして「人の何倍もの好奇心」。これは、職業人全員に求められるもの、いわば原点なのではないか。近ごろ惰性で働いていた私もガツンと殴られた感じです。
メディアの仕事をしていくために求められる「人間観・歴史観・比較文化観」そして「人の何倍もの好奇心」。これは、職業人全員に求められるもの、いわば原点なのではないか。近ごろ惰性で働いていた私もガツンと殴られた感じです。
2003年10月21日に日本でレビュー済み
新聞、雑誌、テレビの3つのメディアそれぞれが持つ特徴が、
鳥越俊太郎という一人の記者の生き方を通じて、見えてくる。
「ニュース好き」と自称する男が、
どのように事実に、真実に立ち向かったのかを感じることができるという意味で、本の物理的薄さとは正反対に、内容には厚みがある。
特に「誤報」に際して、どのような対応をしたかというくだりは、もっとも読み応えのある部分だった。
鳥越俊太郎という一人の記者の生き方を通じて、見えてくる。
「ニュース好き」と自称する男が、
どのように事実に、真実に立ち向かったのかを感じることができるという意味で、本の物理的薄さとは正反対に、内容には厚みがある。
特に「誤報」に際して、どのような対応をしたかというくだりは、もっとも読み応えのある部分だった。
2001年11月4日に日本でレビュー済み
「あのくさこればい(ほぼ日刊イトイ新聞 HP)」をいつも読んでいて、この本のことを知りました。
この本の紹介に私が尊敬している中坊公平氏が大絶賛と書いてあったので期待はしていた反面、過大広告でのないのかと半信半疑で読み始めました。
しかし、読むにつれて鳥越さんはジャーナリスト(本人曰く、ニュースの職人)として、他とは一線を画した信念を持って仕事をしている人であることであることがわかり、日本のマスコミにもこういう人がいたのかとほっとした気持ちになれました。
そして、職種は違っても中坊公平さんと鳥越さんの姿勢に共通点があることに気づきました。
それは「誠実である」「真実を追究する」「現場主義」「弱者の気持ちがわかる」です。
また、複眼的にものごとをみることの重要性を事例をあげて力説しています。一つ
この本の紹介に私が尊敬している中坊公平氏が大絶賛と書いてあったので期待はしていた反面、過大広告でのないのかと半信半疑で読み始めました。
しかし、読むにつれて鳥越さんはジャーナリスト(本人曰く、ニュースの職人)として、他とは一線を画した信念を持って仕事をしている人であることであることがわかり、日本のマスコミにもこういう人がいたのかとほっとした気持ちになれました。
そして、職種は違っても中坊公平さんと鳥越さんの姿勢に共通点があることに気づきました。
それは「誠実である」「真実を追究する」「現場主義」「弱者の気持ちがわかる」です。
また、複眼的にものごとをみることの重要性を事例をあげて力説しています。一つ