数ヶ月前に読んだ本。自分は株式への投資はしていないが、経営分析や管理会計の著書で定評のある著者の視点が企業の数字を観る際にいくつかの有益な示唆を与えてくれる。例えば、
◆標準偏差を用いた分析(7, 8章)はファイナンスの基礎を知っている人にはお馴染みの話しではあるが、どの指標でリターンを見るのか、という点は有益。本書では言及していなかったように記憶しているが、標準偏差とリターンまで説明したのなら、2つの数字を分数にして相対化し「リターン1%あたりで覚悟すべきリスク」或いは「標準偏差1で期待できるリターン%」といった考え方ができるのは自明であろう。更に、ここからモンテカルロでシミュレーションをやって…、といったことに発展させることも可能だろう。
◆CVP(損益分岐点)分析(9, 10章)は勘定科目別の固変分解ではなく最小二乗法を用いた手法を紹介している。これも統計を知っている人にはお馴染みであるが、分析対象が規模・成長性等の観点から、ある程度安定した企業でないと上手く適用できない可能性はあるかと思う。
◆繰延税金資産の計上額と会社が発表している将来の利益予想を比較してみる(12章)、といった視点は投資家の観点から「なるほど」と思わせると同時に、また、数字を発表する立場から考えると「それなりの整合性を持っていないとまずいな・・」と思う次第である。
◆流動資本キャッシュフロー(13章)という切り口からの企業の持続可能性に関する分析も参考になる。
単なる株式の売買に関するハウツーを求める読者には無用の長物だろうが、ファイナンスや会計の基礎を知っている読者には株式投資という切り口を越えて参考になる本である。
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ほんとうにわかる株式投資: 決定版 単行本 – 2006/3/1
高田 直芳
(著)
本書は、東京証券取引所(1部、2部、マザーズ)およびJASDAQ市場に上場する企業のうち、2,720社の連結財務諸表データを取り寄せて、いくつかの指標を使ってふるいにかけ、『会社四季報』や『日経会社情報』、連結決算短信などを参照しながら次第に投資先を絞り込み、選定した企業の特性を見定める手法を紹介しています。
本書では最終章に至るまで、類書に例のないオリジナルの分析手法を散りばめています。そうはいっても、筆者の思いつきでデタラメに開発したものではなく、会計学・経済学・経営学などの学問的な裏付けを踏まえ、企業の具体的な財務諸表データなどで検証した結果と合わせて記述しています。株式投資を目的とせず、企業分析そのものに興味のある人にとっても役立つ内容を心がけました。
本書では最終章に至るまで、類書に例のないオリジナルの分析手法を散りばめています。そうはいっても、筆者の思いつきでデタラメに開発したものではなく、会計学・経済学・経営学などの学問的な裏付けを踏まえ、企業の具体的な財務諸表データなどで検証した結果と合わせて記述しています。株式投資を目的とせず、企業分析そのものに興味のある人にとっても役立つ内容を心がけました。
- 本の長さ193ページ
- 言語日本語
- 出版社PHPエディターズ・グループ
- 発売日2006/3/1
- ISBN-104569649327
- ISBN-13978-4569649320
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登録情報
- 出版社 : PHPエディターズ・グループ (2006/3/1)
- 発売日 : 2006/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 193ページ
- ISBN-10 : 4569649327
- ISBN-13 : 978-4569649320
- Amazon 売れ筋ランキング: - 756,847位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,585位株式投資・投資信託
- - 71,171位ビジネス・経済 (本)
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