著者の静かで正確な語り口の中に浮かび上がる、
レイカという少女。
彼女のような少年少女は、この日本にどれくらい
いるのだろうか。
その彼らすべてに共通する何かを具現しているようで
いながら、実はそのような普遍性とはまた遠いところに
いるような気にもさせられる彼女。
それは著者の彼女への関わり方がそう思わせるのかも
しれない。
ひと一人ときちんと向き合うということは、とても
大変なことだ。
しかもそれがレイカのような「問題少女」なら
なおのこと。
レイカのそのあまりにも弱く、またあまりにも強い
ありようがもたらす危うい不安定さが、読むごとに
こちらの心の奥底に深くつきささってきて、
とても痛い。
その痛みに耐える覚悟をすることは、たとえば
著者がレイカと過ごした日々の中で感じた痛みの
ほんの1000分の1程度かもしれない。
しかしそれはまた、自分がこれまでいかに怠惰で
生ぬるい時間を生き、正しく現実を見ようとは
せずにすませてきてしまったのかということを
悟る、本当に大切な痛みであるのかもしれないと
思った。
簡単に「かわいそう」と同情するのでもなく、
「私がなんとかしなければ」とできもしない
勘違いをするのでもなく、もちろん他人として
突き放すわけでもない、著者のレイカへの微妙な
距離の取り方。
それは時に近づき、時に離れ、またレイカ自身が
近寄ってきたり遠ざかったりすることもあるため、
髪の毛一本の差ほどでまた逆転する。
その様子があまりにせつない場面には、思わず
胸が締め付けられもした。
普段こういった本はあまり読まないせいもあり、
静かな衝撃を受けた。
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問題少女: 生と死のボーダーラインで揺れた 単行本 – 2006/3/1
長田 美穂
(著)
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生と死。正常と異常。自分の外側と内側。人間は、つねにその境界線(ボーダーライン)を揺れ動く。リストカット、摂食障害、薬物依存、セックス依存……。つい境界線を越えてしまうことが、どの人にも起こりうる時代になった。そういった問題ごとが、もう他人ごととはいえない時代になった。
本書は、女性ジャーナストが長年追い続けた「問題少女」の観察記録である。彼女・レイカは、鬱病とも境界性人格障害(ボーダーライン)とも診断されていた。だが、著者・長田との関係、つまり取材する者とされる者の関係をこえ、「友人」としての関係が深まりつつあった時、突如として彼女は自ら命を絶つ。そして著者は、その原因を、いや「悪者」を捜し求め彷徨をはじめる。そしてその彷徨のなかで出会う人々を通して、その奥にある現代社会の病理をあぶりだしていく。
なぜ生きるのか、そして生と死について深く考える人々にぜひ読んで欲しい、ノンフィクション意欲作。
本書は、女性ジャーナストが長年追い続けた「問題少女」の観察記録である。彼女・レイカは、鬱病とも境界性人格障害(ボーダーライン)とも診断されていた。だが、著者・長田との関係、つまり取材する者とされる者の関係をこえ、「友人」としての関係が深まりつつあった時、突如として彼女は自ら命を絶つ。そして著者は、その原因を、いや「悪者」を捜し求め彷徨をはじめる。そしてその彷徨のなかで出会う人々を通して、その奥にある現代社会の病理をあぶりだしていく。
なぜ生きるのか、そして生と死について深く考える人々にぜひ読んで欲しい、ノンフィクション意欲作。
- 本の長さ274ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2006/3/1
- ISBN-104569649513
- ISBN-13978-4569649511
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2006/3/1)
- 発売日 : 2006/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 274ページ
- ISBN-10 : 4569649513
- ISBN-13 : 978-4569649511
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,474,220位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 189,181位ノンフィクション (本)
- - 384,601位文学・評論 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年11月23日に日本でレビュー済み
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表題の通り。著者ののめりこみ方にドキドキします。当時と今では社会も精神病治療も変わっているでしょうから、今の話というよりは、1人の心の病への関わりのドラマとして迫真のものだと感じました。
2006年3月31日に日本でレビュー済み
この著者は当事者の視点に立っていない。
何が「問題」なのかを著者自身が決めようとしてるが、
それも借り物の学者の説を援用し、自分で判断するまで
取材対象者と付き合おうともしないどころか、取材相手が
「空手の試合を見に来てください」と言っているのに、
せっかく行った空手の試合から何も学んでいない。
しかも、悩める少女についてほかの人と相談することもなく、
あくまでも自分だけの視点で彼女を分析するにとどまっている。
著者自身が、リストカッターを取材するほかの著者たちに
相談しながら豊かな視点を身につけていれば、レイカという子も
救われる可能性があったように感じた。
でも、そもそもなぜこの著者がレイカと関わろうとしたのが
最後まで読んでもよくわからないことのほうが「問題」なのかもしれない。
何が「問題」なのかを著者自身が決めようとしてるが、
それも借り物の学者の説を援用し、自分で判断するまで
取材対象者と付き合おうともしないどころか、取材相手が
「空手の試合を見に来てください」と言っているのに、
せっかく行った空手の試合から何も学んでいない。
しかも、悩める少女についてほかの人と相談することもなく、
あくまでも自分だけの視点で彼女を分析するにとどまっている。
著者自身が、リストカッターを取材するほかの著者たちに
相談しながら豊かな視点を身につけていれば、レイカという子も
救われる可能性があったように感じた。
でも、そもそもなぜこの著者がレイカと関わろうとしたのが
最後まで読んでもよくわからないことのほうが「問題」なのかもしれない。
2006年3月25日に日本でレビュー済み
長田美穂さんの書くものに以前から興味があった。阿部重夫氏がFACTAのブログで、「久しぶりで彼女に会ったとき、すっかり面がわりしているのに気づいたが、それが何かを踏み越えたせいなのだと得心がいった」と書いていたのを機に本書を読んでみた。
抗鬱剤プロザックに関する取材対象カトウレイカとの出会いから、彼女の突然の自殺までの約5年。そしてその原因となる悪者探し。自分は取材者なのか、それともレイカの友達なのか。「問題少女」である彼女とどこまで深く付き合えるのか。自分に何ができるのか。
そんな著者の葛藤が刻々と綴られている。この本に安直なメッセージはない。あるのは、誠実なる取材をベースにした事実と偽りのない感情の吐露だ。
* * *
「で、その子の話は誰に向けて書いているの」
いや、誰に読んでもらいたいという意識はあまりない。あの子については、私が書きたいことを書くだけ。
「じゃ、これまでは?」
実際に読むのは同じ問題を抱える人や家族なんだろうけど、どちらかというと全く関心のない人に、こんな人があなたの隣で生きているのが今の日本なんですよ、と伝えたいのよね。
* * *
読者対象は誰? この本を読むメリットは何? 何部売れるの? そんなことばかり考えてつくられる本が多い中で、本書にはまったく別次元の存在感がある。ぜひ多くの人に読んで欲しい。
抗鬱剤プロザックに関する取材対象カトウレイカとの出会いから、彼女の突然の自殺までの約5年。そしてその原因となる悪者探し。自分は取材者なのか、それともレイカの友達なのか。「問題少女」である彼女とどこまで深く付き合えるのか。自分に何ができるのか。
そんな著者の葛藤が刻々と綴られている。この本に安直なメッセージはない。あるのは、誠実なる取材をベースにした事実と偽りのない感情の吐露だ。
* * *
「で、その子の話は誰に向けて書いているの」
いや、誰に読んでもらいたいという意識はあまりない。あの子については、私が書きたいことを書くだけ。
「じゃ、これまでは?」
実際に読むのは同じ問題を抱える人や家族なんだろうけど、どちらかというと全く関心のない人に、こんな人があなたの隣で生きているのが今の日本なんですよ、と伝えたいのよね。
* * *
読者対象は誰? この本を読むメリットは何? 何部売れるの? そんなことばかり考えてつくられる本が多い中で、本書にはまったく別次元の存在感がある。ぜひ多くの人に読んで欲しい。
2006年4月3日に日本でレビュー済み
物を書く人は、皆ここまでするのかと疑問を持ったくらい、リアルで勢いのある本。
亡くなった取材相手の女性と関わった人物や友達に会いに行く筆者の行動力に読みながら感心した。
取材相手と苦労して信頼関係を築いたのにと、自殺してしまった相手に対する無念さを文字から感じる。
読み手に対して、変な配慮や偽りの平常心をしていない文章がリアルで良かった。
亡くなった取材相手の女性と関わった人物や友達に会いに行く筆者の行動力に読みながら感心した。
取材相手と苦労して信頼関係を築いたのにと、自殺してしまった相手に対する無念さを文字から感じる。
読み手に対して、変な配慮や偽りの平常心をしていない文章がリアルで良かった。
2007年6月10日に日本でレビュー済み
何度も自殺を図り、その度に立ち直り、著者の長田さんのほかカウンセラーや精神科医など様々な人達と触れ合いながら成長していき、しかし最後には本当に自らの命を絶ってしまう問題少女。私の周りには自殺を図るような人はいないため、そのような人の心理や、その変化していく様が描かれたこのドキュメンタリーには驚かされ、また考えさせられた。
彼女はなぜ自殺を決行したのか、それをなぜ止められなかったのか、同じような若者を出さないために私達に一体何ができるのかを考えるための、いいきっかけとなった。
彼女はなぜ自殺を決行したのか、それをなぜ止められなかったのか、同じような若者を出さないために私達に一体何ができるのかを考えるための、いいきっかけとなった。
2006年7月20日に日本でレビュー済み
本書はレイカという心的障害を持つ少女と向かい合い、女性として彼女を想う主観的な気持ちと、ジャーナリストとしての視点を忘れまいとする筆者自身の心もようが文中に見え隠れしながらも、最後まで『プロの目』で書き上げている。当たり前だ!という声もあるだろう。しかし、良くないことだが、私も患者に向かい合い、その患者に、のめり込みそうになる自分がいる時がある。心的障害を持った子らに自分が心を開かなければ、相手は絶対警戒し心を閉ざす。のめり込めば仕事にはならない。筆者はこの書をどんな気持ちで世に送り出したのだろうか?同じ子らを診ている者として胸が痛くなる。現代社会に多く見受けられる病を最後まで『プロの目』で見通した筆者に拍手を送りたい!心理医学者 鈴木 文雄