「掲載人数が多いだけ」とか「ウィキペディアで検索したほうがまし」とかいうレビューがあるので、あえてこの本を擁護したい。
掲載人数が多いことこそが、むしろこの本の魅力である。50人とか100人くらいを選び抜いて詳しく書いている本なら、他にいくらでもある。この本は竹内栖鳳や横山大観、鏑木清方といった日本画の正統派から村山知義や古賀春江といった前衛画家、更には篠田正治やマキノ雅弘などの映画監督や東松照明や奈良原一高といった写真家、果ては諸星大二郎や小林よしのり、くらもちふさこという現代サブカルチャーまでを抑えているのである。総勢555人。この数だからこそ載せることのできた人たちがいる。現に私もこの本を通して初めて出会った名前がある。しかし、これでも抜けている人物はいくらでもいるのだ。むしろ批判するのなら、そこだろう。なぜもっと大胆にページを分厚くして1000人ぐらい掲載しなかったのか、と。
そして、「こんな記述ならウィキペディアで充分じゃないか」という意見についてだが、ウィキペディアで調べるためにはそもそもその人物をあらかじめ知っていなければならない。当たり前のことだが、知らない人物は調べようがないからだ。その意味で、このミニ事典は近代以降の日本の「芸術家」をサラッと総ざらいするという用途に適っている。短いながら各人に必要最低限の記述はなされており、気になった人物についてはそれこそウィキペディアとはいわずに自分で図書館にでも行って調べればいいのだ。そもそも「数で勝負」というコンセプトであろうこの本に対して、これ以上の詳細な記述を求めるというのは木に縁りて魚を求むような話である。
竹内栖鳳と小林よしのりを「日本の芸術家」という括りで同居させるというシュールなラインナップは、「100人の芸術家」程度では絶対に実現しない。このぶっとんだ網羅性。そこにこそ、この本の魅力がある。
今は品切のようなので、是非とも増補改訂版を出してほしい。
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世界に誇れる日本の芸術家555 (PHP新書 443) 新書 – 2007/2/1
三上 豊
(編集)
日本人なら知っておきたい「天才」「奇才」がこの一冊に!
横山大観、藤田嗣治、木村伊兵衛、黒澤明、岡本太郎、中原淳一、手塚治虫、堀
内誠一、荒木経惟、宮崎駿、大友克洋......海外でも評価される日本のアーティ
ストたちは山ほどいる! ピカソやセザンヌだけが「芸術」ではない。本書
は、日本人なら覚えておきたい、大衆芸術の担い手たちを紹介。絵画や写真だけ
でなく、世界から注目されているマンガやアニメに映画、さらにはグラフィック
デザインやCMまで、幅広いジャンルを網羅。
モダンアートの基礎が築かれ変貌し始めた一九三〇年から八〇年の時代を中心
に構成する。文化のみならず世相の変遷もが見えてくる。
見開きに4人ずつを生年順に収め、随所に図版を盛り込み、「戦争画」「東京オ
リンピック」「絵本ブーム」など多様なテーマのコラムも。読んで愉しめる、
一家に一冊のコンパクトな芸術家小事典。
横山大観、藤田嗣治、木村伊兵衛、黒澤明、岡本太郎、中原淳一、手塚治虫、堀
内誠一、荒木経惟、宮崎駿、大友克洋......海外でも評価される日本のアーティ
ストたちは山ほどいる! ピカソやセザンヌだけが「芸術」ではない。本書
は、日本人なら覚えておきたい、大衆芸術の担い手たちを紹介。絵画や写真だけ
でなく、世界から注目されているマンガやアニメに映画、さらにはグラフィック
デザインやCMまで、幅広いジャンルを網羅。
モダンアートの基礎が築かれ変貌し始めた一九三〇年から八〇年の時代を中心
に構成する。文化のみならず世相の変遷もが見えてくる。
見開きに4人ずつを生年順に収め、随所に図版を盛り込み、「戦争画」「東京オ
リンピック」「絵本ブーム」など多様なテーマのコラムも。読んで愉しめる、
一家に一冊のコンパクトな芸術家小事典。
- 本の長さ339ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2007/2/1
- ISBN-10456965939X
- ISBN-13978-4569659398
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2007/2/1)
- 発売日 : 2007/2/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 339ページ
- ISBN-10 : 456965939X
- ISBN-13 : 978-4569659398
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,211,557位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,230位PHP新書
- - 78,094位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中3つ
5つのうち3つ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年8月16日に日本でレビュー済み
一人当たり400字以下で読み応えがない。
掲載人数が多いだけ。一人一人の情報が浅い。
正直ウィキペディアで検索した方がよっぽど有益。
好きな画家、好きなマンガ家など読んでみましたが、
どれも知ってることばかり簡単なプロフィール集でした。
見開き2ページで4人の情報が細切れに紹介されてるだけ。
せめて
芸術家1人当たり、見開き2ページくらい割くべきでは。
掲載人数555人ですが、ジャンルがバラバラです。
それぞれ関連性も専門性もひくく不便です。
昭和生まれの漫画家・高橋留美子とか大友克洋とかと、
戦前・明治時代の画家とか一緒に掲載されても、
それぞれのファン層が、全く違う世代だと思うのですが。。。
掲載順序も生年月日順で、不便です。
むしろ
画家編・映画編・漫画編などジャンル別に掲載するか
もしくは無難に50音順の方が探しやすいんですが。。。
掲載内容が無節操で総花的でひとつひとつの情報量が浅い。
もっと掲載人数を絞り込んで、せめて1000字以上で説明するとか
読み応えのある一定の文量を確保すべきでは。
簡単なプロフィールを調べるだけならネット検索で十分です。
たとえばこの本なら一人当たり、10ページ割いてます。
100人の20世紀〈上〉 (朝日文庫)
せめてこれくらいの情報量がないと質を確保できません。
浅い情報をたくさん知ってるより、少なくてもいいから、
深くて専門性のある知識の方が有益だと思います。
いちぎょうで評すれば、器用貧乏で中途半端な事典です。
掲載人数が多いだけ。一人一人の情報が浅い。
正直ウィキペディアで検索した方がよっぽど有益。
好きな画家、好きなマンガ家など読んでみましたが、
どれも知ってることばかり簡単なプロフィール集でした。
見開き2ページで4人の情報が細切れに紹介されてるだけ。
せめて
芸術家1人当たり、見開き2ページくらい割くべきでは。
掲載人数555人ですが、ジャンルがバラバラです。
それぞれ関連性も専門性もひくく不便です。
昭和生まれの漫画家・高橋留美子とか大友克洋とかと、
戦前・明治時代の画家とか一緒に掲載されても、
それぞれのファン層が、全く違う世代だと思うのですが。。。
掲載順序も生年月日順で、不便です。
むしろ
画家編・映画編・漫画編などジャンル別に掲載するか
もしくは無難に50音順の方が探しやすいんですが。。。
掲載内容が無節操で総花的でひとつひとつの情報量が浅い。
もっと掲載人数を絞り込んで、せめて1000字以上で説明するとか
読み応えのある一定の文量を確保すべきでは。
簡単なプロフィールを調べるだけならネット検索で十分です。
たとえばこの本なら一人当たり、10ページ割いてます。
100人の20世紀〈上〉 (朝日文庫)
せめてこれくらいの情報量がないと質を確保できません。
浅い情報をたくさん知ってるより、少なくてもいいから、
深くて専門性のある知識の方が有益だと思います。
いちぎょうで評すれば、器用貧乏で中途半端な事典です。
2007年4月3日に日本でレビュー済み
本書で「芸術家」と総称するのは、次の12ジャンルである。挿絵・絵画・版画・イラスト・グラフィックデザイン・絵本・マンガ・写真・映画・アニメ・映像・テレビCM。大衆芸術として扱っている。当初考えられたジャンルで立ち消えになったものは次の7ジャンルである。彫刻・工芸・ファッション・インダストリアルデザイン・演劇・音楽・建築。
ごく常識的に「芸術家」と言えば、文学・絵画・彫刻・音楽・演劇・舞踏などを包括するものと考えられている。ところが、本書では彫刻家・音楽家がはずされている。タイトルを見て当然入っているはずの【芸術家】として彫刻家・音楽家が入っていないのである。はしがき「本書の特色」には「美術」中心に「視覚芸術」に限定したようなことが書かれているが、どこかにはっきりと表書きしてほしかった。当然、彫刻家も音楽家も網羅されていると盲信して買った自分が悪かったのだ、と自戒している次第である。
掲載内容に忠実であれば「大衆芸術家」ということになるが、イメージはよくないかもしれない。
ごく常識的に「芸術家」と言えば、文学・絵画・彫刻・音楽・演劇・舞踏などを包括するものと考えられている。ところが、本書では彫刻家・音楽家がはずされている。タイトルを見て当然入っているはずの【芸術家】として彫刻家・音楽家が入っていないのである。はしがき「本書の特色」には「美術」中心に「視覚芸術」に限定したようなことが書かれているが、どこかにはっきりと表書きしてほしかった。当然、彫刻家も音楽家も網羅されていると盲信して買った自分が悪かったのだ、と自戒している次第である。
掲載内容に忠実であれば「大衆芸術家」ということになるが、イメージはよくないかもしれない。