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額田王の謎: 「あかねさす」に秘められた衝撃のメッセージ (PHP文庫 う 10-1) 文庫 – 2003/8/1
梅澤 恵美子
(著)
万葉の代表歌人で、才色兼備の女性として激動の飛鳥時代を生き抜いたとされる額田王。だが実際は、彼女の実像はいまだ多くの謎に包まれている。なぜなら歌集である『万葉集』における活躍ぶりとは対照的に、天武・天智両天皇の妃という重要な地位にあったはずの彼女が、正史である『日本書紀』ではわずかな記述に留まり、ほとんど無視された存在になっているからだ。▼そこで、この奇妙なギャップに着目し、『万葉集』を歴史書として捉え直すという独自の発想で、額田王の素顔に迫ろうというのが本書の試みだ。▼すると『万葉集』に収録された歌の配列や作者の並べ方が、古代史上の重大な出来事や事件の主要人物と奇妙に一致するそうだ。しかも和歌には、正史から抹殺された歴史の真実を託そうとする作者の明確な意思が感じとれるという。▼「あかねさす紫野……」など、額田王の代表歌に秘められた真意が解き明かされた時、読者は新鮮な衝撃を覚えるに違いない。
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2003/8/1
- ISBN-104569660134
- ISBN-13978-4569660134
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2003/8/1)
- 発売日 : 2003/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 253ページ
- ISBN-10 : 4569660134
- ISBN-13 : 978-4569660134
- Amazon 売れ筋ランキング: - 580,333位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古典だと思って万葉集を読むよりもそこにある謎をこの本で考える方がずっと楽しいと思いました。だいぶこの時代の本当の姿が理解できた気がします。
2004年10月6日に日本でレビュー済み
額田王といえば自分が古代史に興味を持つきっかけになった人物なので、なんだか今さら…な感じもしたのだが、各章タイトルに惹かれて読み始めたら予想以上にぐいぐい引き込まれていった。
中学の歴史の時間に、確か「壬申の乱」のこぼれ話?で初めて彼女の名前を聞いたのだと思うが、それ以来その実像を求めてたくさんの小説や歴史書(時にはマンガも)を読んだけれど納得のいく姿を見出せないでいた。
今回この本に出会ったことで、久々に自分の中の古代史熱がぶり返すような予感がする。
ただ著者は額田王への思い入れとは対照的に、ライバルと想定する女性に対してはかなり辛辣かなぁ・・とも。
あとサブタイトルがもう少しセンスが良ければ…
中学の歴史の時間に、確か「壬申の乱」のこぼれ話?で初めて彼女の名前を聞いたのだと思うが、それ以来その実像を求めてたくさんの小説や歴史書(時にはマンガも)を読んだけれど納得のいく姿を見出せないでいた。
今回この本に出会ったことで、久々に自分の中の古代史熱がぶり返すような予感がする。
ただ著者は額田王への思い入れとは対照的に、ライバルと想定する女性に対してはかなり辛辣かなぁ・・とも。
あとサブタイトルがもう少しセンスが良ければ…
2021年3月3日に日本でレビュー済み
額田王の解釈が面白い。また持統天皇の内実も世に言われている姿とずいぶん違うのを興味持って読みました。特に万葉集和歌の解釈は非常に面白く、額田王や天智・天武、持統天皇などの調停をめぐる様々な出来事と絡め推理され、非常に面白く読みました。
2007年3月3日に日本でレビュー済み
額田王と言えば万葉集中の女流歌人として名高い。最も有名な歌は新羅征伐に向かう際に歌ったと言われる次の歌であろう。
熟田津に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
そして、もう一つ有名なのは彼女が大海人王子(天武天皇)の側室の立場から天智天皇へ召し上げられたという点であろう。この後も、天武と額田王は薬猟の場で歌を交換している。
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る (額田王)
紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆえにわれ恋ひめやも (天武天皇)
明らかに相聞歌である。しかも天武は、天智に与えた額田王に未練を持っている様子を公衆の前で歌っている。これが「額田王=小悪魔説」を産んでいる。著者はこうした背景の下、額田王の謎に迫ろうとしている。だが、ムダなのである。例えば柿本人麻呂のような大歌人であっても、その人生は分かっていないのだ。女性で出自の分からない額田王の素性が分かる筈はないのである。上の相聞歌でも、古代の感覚で言えば普通のレベルであったろうし、もしそうでなければ天武はその場で打ち首である。
また、著者の認識では天智と天武は異父兄弟となっているが、現在では二人は血縁関係がないという説の方が有力である。また作中で額田王が天智天皇の皇后になったと再三記述しているが、そんな事はあり得ない。もっと低い地位だった筈だ。そして、著者は藤原鎌足・不比等の陰謀を強調するが、当時の政治を牛耳っていたのは二人なのであり、彼らが数々の策謀を巡らせて最終的には持統天皇を助け、天智王朝を復活させたのは常識であり、今更云々する話ではない。著者は勉強が足りないのではないか。著者の論拠とする文献も、多くは藤原氏の検閲済みだという点を忘れている。冒頭の「熟田津」の歌も持統天皇のために詠んだのである。
才色兼備で、天智・天武両天皇を惑わした額田王というイメージのみに振り回され、地道な文献・時代考証を忘れた空虚な論。
熟田津に船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
そして、もう一つ有名なのは彼女が大海人王子(天武天皇)の側室の立場から天智天皇へ召し上げられたという点であろう。この後も、天武と額田王は薬猟の場で歌を交換している。
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る (額田王)
紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆえにわれ恋ひめやも (天武天皇)
明らかに相聞歌である。しかも天武は、天智に与えた額田王に未練を持っている様子を公衆の前で歌っている。これが「額田王=小悪魔説」を産んでいる。著者はこうした背景の下、額田王の謎に迫ろうとしている。だが、ムダなのである。例えば柿本人麻呂のような大歌人であっても、その人生は分かっていないのだ。女性で出自の分からない額田王の素性が分かる筈はないのである。上の相聞歌でも、古代の感覚で言えば普通のレベルであったろうし、もしそうでなければ天武はその場で打ち首である。
また、著者の認識では天智と天武は異父兄弟となっているが、現在では二人は血縁関係がないという説の方が有力である。また作中で額田王が天智天皇の皇后になったと再三記述しているが、そんな事はあり得ない。もっと低い地位だった筈だ。そして、著者は藤原鎌足・不比等の陰謀を強調するが、当時の政治を牛耳っていたのは二人なのであり、彼らが数々の策謀を巡らせて最終的には持統天皇を助け、天智王朝を復活させたのは常識であり、今更云々する話ではない。著者は勉強が足りないのではないか。著者の論拠とする文献も、多くは藤原氏の検閲済みだという点を忘れている。冒頭の「熟田津」の歌も持統天皇のために詠んだのである。
才色兼備で、天智・天武両天皇を惑わした額田王というイメージのみに振り回され、地道な文献・時代考証を忘れた空虚な論。