長銀の破綻から新生銀行としての出発までの過程をベースに、組織の理想像等についての考え方等を盛り込む手法をとっていることや、登場人物も、全体を通じて社長に力点が置かれていますが、その過程において、特定の部局で苦労していたり、挑戦していたりする職員の立場で展開されている部分も織り交ぜていることなどが、興味深いです。
帯には「組織力を高めるためのヒントがここにある」ときっぱり書かれていますが、筆者による「あとがき」でも、「この小説を読んで、多くの経営者、ビジネスマンが、マインドセットを変え、「言難行易」を実践してくれることを期待したい」(「言難行易」の意味については、さすがに本書で確認して下さい。)と書かれているように、筆者の実務経験に裏付けられた組織再生への強い「思い」は、文中からひしひしと伝わってきます。テンポがよく、とても読みやすいです。
ただし、申し上げるまでもありませんが、教訓的事項は長銀・新生銀行をベースとしたものであり、他の銀行はいざ知らず、他の業界の、しかも規模の異なる会社等にどれだけ参考となるか、疑問です(目から鱗が落ちるようなヒントってありましたか?)。また、ストーリーの流れについては特段工夫を凝らしていないため、結論的なことは最初から見え見えで、また、歯の浮くようなところが多いような気がします。純粋に楽しむためのものとしては、今一歩という感じでしょうか。
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組織再生―マインドセットが変わるとき (PHP文庫 え 15-1) 文庫 – 2008/4/17
江上 剛
(著)
いつの時代も企業に求められるもの、それが「組織力」だ。
本書は、破綻した日本長期信用銀行が新生銀行として再生するまでを丹念に取材し、それをモデルにして組織が再生していく道のりを描いた感動のビジネス小説である。
物語の根底を流れるのは、主人公の一人である社長の伊勢が訴えた「マインドセットを変えなければ」という危機感。それはまさしく、当時同じ銀行業界で仕事をしていた著者自身が感じていた「日本、そして銀行を良くするためには今までの考え方を変えなければならない」という思いと重なるものだ。さらにその危機感は、いまなお日本の社会に打ち鳴らされるべき警鐘であると著者は言う。
社長など経営陣のみならず、各部署の責任者といった中堅社員、さらには現場で働く人びとなど、さまざまな角度から描くことで、改革プロセスが浮き彫りになってくる――奮闘する彼らの熱きドラマを味わいながら、組織力を高めるヒントを学びとれる一冊。
本書は、破綻した日本長期信用銀行が新生銀行として再生するまでを丹念に取材し、それをモデルにして組織が再生していく道のりを描いた感動のビジネス小説である。
物語の根底を流れるのは、主人公の一人である社長の伊勢が訴えた「マインドセットを変えなければ」という危機感。それはまさしく、当時同じ銀行業界で仕事をしていた著者自身が感じていた「日本、そして銀行を良くするためには今までの考え方を変えなければならない」という思いと重なるものだ。さらにその危機感は、いまなお日本の社会に打ち鳴らされるべき警鐘であると著者は言う。
社長など経営陣のみならず、各部署の責任者といった中堅社員、さらには現場で働く人びとなど、さまざまな角度から描くことで、改革プロセスが浮き彫りになってくる――奮闘する彼らの熱きドラマを味わいながら、組織力を高めるヒントを学びとれる一冊。
- 本の長さ477ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2008/4/17
- ISBN-10456966850X
- ISBN-13978-4569668505
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所; 第1版 (2008/4/17)
- 発売日 : 2008/4/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 477ページ
- ISBN-10 : 456966850X
- ISBN-13 : 978-4569668505
- Amazon 売れ筋ランキング: - 575,026位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 310位経済・社会小説 (本)
- - 2,356位PHP文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年5月20日に日本でレビュー済み
2014年2月28日に日本でレビュー済み
長期信用銀行破たん後の新生銀行が株式上場するまでを銀行の各方面の人物をドラマ的に描いた作品だ。
内容といい構成といい素晴らしかった。
銀行小説の中でも新生銀行を扱った作品は非常に少ない中秀作と言える。
ハゲタカと罵られ先行き不透明な銀行を正に焼野原から新生させる名前にもふさわしい小説だ。
一般文学通算1150作品目の感想。2014/02/28 18:15
内容といい構成といい素晴らしかった。
銀行小説の中でも新生銀行を扱った作品は非常に少ない中秀作と言える。
ハゲタカと罵られ先行き不透明な銀行を正に焼野原から新生させる名前にもふさわしい小説だ。
一般文学通算1150作品目の感想。2014/02/28 18:15
2009年5月8日に日本でレビュー済み
破綻した日本長期信用銀行が新生銀行として再生するまでが描かれているビジネス書であるが、母子家庭の親子が新生銀行に相談に行くシーンから物語を開始するなど、小説風にまとめることで、読みやすくしている。
新生銀行がリテール部門を強化したこと、システム投資、ATM手数料や振込み手数料の無料化サービスなどが、どういう考え方で実施されたのかなどを本書を通じて理解することが出来る。
ビジネス書にすると、難しくて読み飛ばしたり理解しにくいことが、小説を通じて幅広い読者に発信できていることを評価して5つ星としました。
新生銀行がリテール部門を強化したこと、システム投資、ATM手数料や振込み手数料の無料化サービスなどが、どういう考え方で実施されたのかなどを本書を通じて理解することが出来る。
ビジネス書にすると、難しくて読み飛ばしたり理解しにくいことが、小説を通じて幅広い読者に発信できていることを評価して5つ星としました。