著者は小説家ではなく、あくまで金融の専門家であるから、企業小説として読むとやや薄っぺらさを感じてしまうことは否めない。
しかしながら、投資銀行という業務が日常どのように行われているかという視点で読むと一つのモデルケースとしてフィクションながら役立つし、面白いといえる。
兎角イメージの世界で語られがち、要するに守秘義務が徹底せざるをえない業界だけに業界内の人間でないと普段新聞・ニュースで断片的にしか語られず、誤解されやすい業界といえる投資銀行
とくに近年の金融危機を受けて投資銀行=悪という短絡的なイメージを植えてけられてしまっただけに他業界の方や学生諸氏にはぜひ一読願いたいところである。
一般論として悪イメージがつくとどのようなものにも表裏、光と影といった部分があるという大原則を忘れ例えば資本主義絶対悪であるとか、投資銀行をはじめとした金融機関がすべて悪いといった極端な帰結になるという極端な思考に陥りがちであるだけに、本書のように賛美するわけでも唾棄するわけでもなく、比較的客観的にかつ一定以上詳細に投資銀行業務というものを描くことに努めたものは貴重であり、存在意義が大きい書であるといえるのではないだろうか。
とくに一介の投資銀行家は休む間もなく今日もハードワークをこなしていることだろう。
短絡的思考に陥りそうなときは根本に立ち返って投資銀行の存在意義、端的にいえばこの社会に投資銀行がなくても回っていくのか否かという疑問を自身に投げかけることが重要である。
本書はその疑問に一つの解答を見つけるヒントとなると私は思う。
冒頭述べたように小説としては今一つ単調すぎて面白みが薄いが、読む側の視点によって途端に面白くなる書といえるだろう。
一部レビュアーの評にあるように業界内の知っている人たちにとってはあまり得るものはないのかもしれないが、そもそも著者自身もこういった方たち向けに書かれたわけではないであろうからやや的外れな評価と私は考える
読みやすいという意味でも畑違いの方・学生に勧める
是非一読あれ!
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プロジェクト・コード 単行本 – 2007/11/3
岩崎 日出俊
(著)
- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2007/11/3
- ISBN-104569695728
- ISBN-13978-4569695723
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2007/11/3)
- 発売日 : 2007/11/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 238ページ
- ISBN-10 : 4569695728
- ISBN-13 : 978-4569695723
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,387,104位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 722位経済・社会小説 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。
スタンフォード大学経営学修士(MBA)を取得。
22年間の興銀勤務後、J.P.モルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズの各投資行で、マネージング・ダイレクターを務める。
2003年より経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役。
著書に『投資銀行』(PHP研究所)、『M&A新世紀』(KKベストセラーズ)、
『気弱な人が成功する株式投資』(祥伝社)、『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』(SBクリエイティブ)など。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年12月3日に日本でレビュー済み
全体的にスケールが小さい。
よくある経営危機からMBAなどへ進む内容だが投資銀行としての役割も中途半端で共感を覚えるまでには至らなかった。
一般文学通算880作品目の感想。2012/12/03 20:50
よくある経営危機からMBAなどへ進む内容だが投資銀行としての役割も中途半端で共感を覚えるまでには至らなかった。
一般文学通算880作品目の感想。2012/12/03 20:50
2007年12月28日に日本でレビュー済み
ユルすぎる展開、中途半端で思わせぶりスチュワーデスとの出会い・・・
投資銀行という世界を垣間見たければ別だが、同業者が読む本ではない。
投資銀行という世界を垣間見たければ別だが、同業者が読む本ではない。
2007年11月5日に日本でレビュー済み
以前のこういった本ではM&Aのプロセスや交渉だとか伝統的な投資銀行業務の一面を描いたケースが多かったが、今の投資銀行実務のトレンドであるECLやPIPE、MBOなどが具体的な状況描写を含めて描かれており、参考になる。またストーリー的にも面白くて、一気に最後まで読み進めてしまう。主人公が社内の人間関係に苦労する点は外資系投資銀行のある意味で真実を描いており秀逸。
2007年10月28日に日本でレビュー済み
私も投資銀行で働いた経験があり一気に読み終えた。インベストメントバンク業界の日常を正確に描いている。一見華やかでもあるし厳しさもある業界である。本社の著者はインベストメント業界で実際に働いており、実態がわかっているたけに面白さが倍加される。 ECL(投資家/引受会社にとって有利性を持つ新株引受権)は業界以外の読者には難解だが、それを考慮に入れても面白く読み進める。 面白いというだけでなく、作者は数々の重要な問題を提起している。創業社長とその子供である二代目社長との相克、経営者が一般株主の利益を軽視するコーポレートガバナンスの問題である。 投資銀行業界にいる人間にとってはきわめて読みやすいのはもちろんのことこれからインベストメントバンクに就職を考えている学生にも有益な参考になると思う。
2007年10月30日に日本でレビュー済み
会社勤めしたことのない私でも抵抗なく楽しんで読むことができた。
途中で専門用語は出てくるが、文中で説明されているし、何より「これはこういうことなのかな?」
という認識でも、更に言えば、あまりよくわからなくてもストーリー展開が気になり、先に読み
進めていくことができる。会社再建とは、外資系投資銀行とはこういうものなのか、と新鮮な感覚で
読むことができた。
途中で専門用語は出てくるが、文中で説明されているし、何より「これはこういうことなのかな?」
という認識でも、更に言えば、あまりよくわからなくてもストーリー展開が気になり、先に読み
進めていくことができる。会社再建とは、外資系投資銀行とはこういうものなのか、と新鮮な感覚で
読むことができた。
2007年10月28日に日本でレビュー済み
わが国の企業経営をめぐる環境は、急速に変わりつつあるが、その最前線での投資銀行に生きる人々の活動振りを生き生きと描いた秀作。
筆者が、現にその分野で長年活躍していることから、実体験に基づいた質のよいノンフィクションに仕上がっている。
これから投資銀行を目指そうとする若い人々にもお勧めである。
筆者が、現にその分野で長年活躍していることから、実体験に基づいた質のよいノンフィクションに仕上がっている。
これから投資銀行を目指そうとする若い人々にもお勧めである。
2007年11月6日に日本でレビュー済み
無駄のない、スッキリとシンプルなプロットで、ケーザイに度シロウトの私でも、読みやすく、面白い!経済のプロが書いた専門分野の小説だが、端々に、著者のやさしい人柄が滲み出て、血の通った読み物となっている。そこに、微かにジェフリー アーチャーの小説を彷彿させられるのは、私だけだろうか?
知人からもらった、著者の前作「サバイバルとしての金融」を、興味も抱かず読んでから、思いがけない興味がわき、この作品も手にしたが、その期待をうらぎらない内容。金融の世界に迷い込める感覚がたのしい。次回作が待ち遠しい作者である!
知人からもらった、著者の前作「サバイバルとしての金融」を、興味も抱かず読んでから、思いがけない興味がわき、この作品も手にしたが、その期待をうらぎらない内容。金融の世界に迷い込める感覚がたのしい。次回作が待ち遠しい作者である!