新興国の経済について、エネルギー問題、食料問題を皮切りに、植民地としての歴史、ライフサイクルとして衰退期にある西洋のエリートの意図などを交え、独自の視点と相変わらずの歯に衣着せぬ毒舌で切りまくる。
結果として、外から見た日本の強さをアピールするという視点になっている。
従来から著者が唱える「内向き覇権国家・日本」について観点を変えて補完する位置づけになるのかもしれない。
毒舌には少々閉口しないでもないが、通常のマスコミ報道では得られない観点に驚くことも多く、読んで実り多い本と言える。
構成としては最初に、中国、インドだけではなく、BRICsとして一緒に語られれることも多いロシア、ブラジルについても国民経済について分析し、その脆弱性を明らかにする。
次いで、そもそもBRICsなどといって持て囃したのは誰なのか、この4カ国を選定した理由のいかがわしさについて述べる。
話は数百年にわたる西洋国家の侵略の世界史に及ぶ。なぜなら、過去に植民地、あるいは半植民地であった国には、知らず知らずのうちに西洋コンプレックスがあり、逆にそれを抜け抜けと利用する国もあるからだと主張する。
後半はBRICsで最も日本に近い中国について、国民経済の不健全さを改めて詳細に検討する。
最後は、日本の大衆の力を信じ、世界における日本の役割に期待してまとめになっている。
三橋貴明氏の紹介で著者を知ったが、経済政策については方向性が異なる。
マネタリーベースの拡大には反対の立場を取る著者の、その理由がわかる一冊でもある。
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中国、インドなしでもびくともしない日本経済 単行本 – 2011/3/23
増田 悦佐
(著)
日本経済は本当に「中国、インド頼み」なのか? 知られざるブリックス(BRICs)の闇と、日本の外需・内需のダブル活性策を論じる。
- 本の長さ207ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2011/3/23
- ISBN-104569796508
- ISBN-13978-4569796505
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2011/3/23)
- 発売日 : 2011/3/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 207ページ
- ISBN-10 : 4569796508
- ISBN-13 : 978-4569796505
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,183,853位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 99,673位投資・金融・会社経営 (本)
- - 226,590位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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ジョンズホプキンス大学 大学院の歴史学・経済学博士課程修了。 HSBC証券などで株式アナリストを務めたのち、著述業に転ずる。
代表作に「奇跡の日本史」(PHP研究所)「内向の世界帝国日本の時代がやってくる」(NTT出版)「デフレ救国論」(ビジネス社)「お江戸日本は世界最高のワンダーランド」(講談社) などがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年8月18日に日本でレビュー済み
2012年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私自身は中国から距離をとるべきだと考えておりますので、期待して本書を購入したのですが、内容には残念ながらあまり満足できませんでした。 基本的に各国と付き合う上でのリスクが紹介されているわけですが、特に目新しい話題はありませんでした。
2011年7月17日に日本でレビュー済み
1. 例によって、経済規模で中国に抜かれた日本はもうだめだ、というマスゴミ。
2. BRICSについてバラ色の将来をさかんに予測する欧米系銀行/証券会社。
3. 日本企業による新興国への巨額投資は報道するが、その結果(巨額損失)は報道しない日本の高級経済紙。
1.は意図不明/思考が停止しているだけだが、2と3は、それによって利益を得る側の意図的なプロパガンダだということを理解すべき。
この本は、上記の理由から一般には報道されにくい中国、インド、新興国の実態を暴いている点で、貴重な一冊となっている。
消費電力が減少している実態を無視して、高い経済成長の数値を発表する党幹部たちと、
この数十年、経済成長のみられず、貧困にあえぐ農村を抱える中国。
カースト制度の下で、依然としてなくならない階級差別や民族対立のせいで、
発電所をいくら作っても、送電の途中で電力が盗まれてしまうような体制のインド。
マフィアとゴロつきが、資源を巡って暴力闘争を続け、
日本を上回るペースで人口が減少するロシア。
それなのに、これらの国が有望だ、すばらしいという報道がなされるのはなぜか?
ユダヤの米金融業界が、イスラムのインドネシアを持ち上げないのは
あたりまえ、という見方も含めて、我々は、そうした偏向した情報に
惑わされないようにすることが必要だと、痛感した。
日本に引きこもることを決めた人以外は、この本を読んで、よく考えて見るべきだ。
2. BRICSについてバラ色の将来をさかんに予測する欧米系銀行/証券会社。
3. 日本企業による新興国への巨額投資は報道するが、その結果(巨額損失)は報道しない日本の高級経済紙。
1.は意図不明/思考が停止しているだけだが、2と3は、それによって利益を得る側の意図的なプロパガンダだということを理解すべき。
この本は、上記の理由から一般には報道されにくい中国、インド、新興国の実態を暴いている点で、貴重な一冊となっている。
消費電力が減少している実態を無視して、高い経済成長の数値を発表する党幹部たちと、
この数十年、経済成長のみられず、貧困にあえぐ農村を抱える中国。
カースト制度の下で、依然としてなくならない階級差別や民族対立のせいで、
発電所をいくら作っても、送電の途中で電力が盗まれてしまうような体制のインド。
マフィアとゴロつきが、資源を巡って暴力闘争を続け、
日本を上回るペースで人口が減少するロシア。
それなのに、これらの国が有望だ、すばらしいという報道がなされるのはなぜか?
ユダヤの米金融業界が、イスラムのインドネシアを持ち上げないのは
あたりまえ、という見方も含めて、我々は、そうした偏向した情報に
惑わされないようにすることが必要だと、痛感した。
日本に引きこもることを決めた人以外は、この本を読んで、よく考えて見るべきだ。
2011年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ヨーロッパ・米国だけでなく、BRICsをも適切に批評するマスダ節は、今回も絶好調です。
日本のマスコミや「文化人・知識人」が、「ニッポンだめよだめよ」調でご高説をまき散らすなか、日本擁護で孤軍奮闘するマスダ節は、なかなか爽快です。
増田氏のご経歴が、博士号(歴史学・経済学)を米国のジョン・ホプキンス大学で取得され、イギリス系の投資銀行でアナリストとして働いた経験もある、というところが西欧のエリート達の持つ「鼻持ちならない」性格を肌で実感されている根拠となっているのでしょうか?
普通、こういう西欧での歴戦の経歴は、西欧文化とやらに洗脳され「日本ダメダメ団」の一員になって日本の言論界で横柄に振る舞いがちな性格変容をきたしがちですが、それを十分克服されておられますかね?
日本擁護の言説は、広い分野の諸文献を渉猟しつつ、お得意のアナリスト的分析力を生かした思考の末に導きだした結論でしょうが、西欧で博士号を取得して極端な西欧礼賛者に陥りがちな人々比較すると、段違いの知性を感じさせられます。
それにしても、「日本の大衆文化が世界をリードする」という主張、「日本経済が次の時代の経済的な覇者になる」という主張は、西欧人のヨーロッパ優越思想や中国人の中華思想みたいな「独善論」に陥らないか、少し心配なところもあります。
追記1:
もしかして誤植ですか?
p113の「分在」ですが、もしかして「分際」でしょうか。
日本のマスコミや「文化人・知識人」が、「ニッポンだめよだめよ」調でご高説をまき散らすなか、日本擁護で孤軍奮闘するマスダ節は、なかなか爽快です。
増田氏のご経歴が、博士号(歴史学・経済学)を米国のジョン・ホプキンス大学で取得され、イギリス系の投資銀行でアナリストとして働いた経験もある、というところが西欧のエリート達の持つ「鼻持ちならない」性格を肌で実感されている根拠となっているのでしょうか?
普通、こういう西欧での歴戦の経歴は、西欧文化とやらに洗脳され「日本ダメダメ団」の一員になって日本の言論界で横柄に振る舞いがちな性格変容をきたしがちですが、それを十分克服されておられますかね?
日本擁護の言説は、広い分野の諸文献を渉猟しつつ、お得意のアナリスト的分析力を生かした思考の末に導きだした結論でしょうが、西欧で博士号を取得して極端な西欧礼賛者に陥りがちな人々比較すると、段違いの知性を感じさせられます。
それにしても、「日本の大衆文化が世界をリードする」という主張、「日本経済が次の時代の経済的な覇者になる」という主張は、西欧人のヨーロッパ優越思想や中国人の中華思想みたいな「独善論」に陥らないか、少し心配なところもあります。
追記1:
もしかして誤植ですか?
p113の「分在」ですが、もしかして「分際」でしょうか。