オランダと日本の関わりは、徳川家康と、難破した三浦按針ことウィリアムアダムスの時代にまでさかのぼる。通商は400年の意外と長く、知られていないがカナリの友好国である。鎖国時代も出島を中心とした国交のある特別な国だったわけだ。
本書はいつの時代も日本の先をいっている国、オランダから、いろんなことを学びましょうよ、という一冊である。
面白いのは、オランダから見た日本、日本からオランダという視点で、いろんなことがわかるところだと思う。今でこそ、鎖国鎖国と、如何にも他国との取引を停止したかのような印象だが、徳川幕府としては、取引を停止したわけではなく、出島とい入国管理局を決めて、検閲していたにすぎなかったのだ。鎖国という言葉も明治政府が開国を目指して、徳川幕府を悪く言うのに利用されたみたいで、なるほど〜と妙に納得した。イギリスやスペイン、ポルトガルという国は、キリスト教とのパッケージで商売しようとしたことが、日本人の気質とあわなかったわけだが、オランダだけが商売は商売と、キリスト教を売り込まず、日本の信仰を尊重したからかもしれない。当時としては、キリスト教布教を優先しないのは、先進的な考えによるものだったに違いない。
オランダといえば、ゴッホやフェルメールという画家が有名だが、印象派、光の画家と、新たな技法を積極的に賞賛した芸術にも目が利く国民性である。
この画家たちの本を扱っていながら、オランダ出身だということに、意識しておらず、ホント、申し訳ない、というか、イッペンにオランダのことが好きになってしまった。
オランダに旅行に行くというと、薬でも吸いに行くのかということを日本人はツイツイ言いたくもなるが、それはオランダのことを単に知らないという裏返しでもある。ヨーロッパ人が日本には未だにチョンマゲ、芸者、ハラキリしかないと思っているのと同義である。
オランダが如何に面白い国か、日本以上に優れている国かということは、本書にお任せするとして、九州と同程度の面積と少し多い程度の人口でありながら、一人当たりのGDPや個人個人が感じている幸福感が群を抜いて順位が高いことを知れば、無視するにはもったいない! と思っていただけるのではないだろうか。
オランダといえば風車だが、風車を使って、海抜0m以下の土地から水をくみ上げて、排水するなど、自然と日々闘っている点では、日本と似て、日本以上に進んでいる部分もある。洪水なんかの災害も何度か経験していて、それが今では逆手に取って災害対策のシュミレーションソフトが、アメリカで数百億ドルで取引されたなんて話など、ちょっと日本では考えられない逞しさである。
予断だが、堤防に穴が空いて、手を突っ込んで国を救った少年の話は、実話ではないそうだが、観光客向けに銅像があるのだという。なんだか変わっている国民性だ。
技術大国日本とうつつを抜かしている間に、とんでもなく、ソフト面で出遅れていることが分かった感じがして、がっかりしたやら、なにくそ〜という気にもあるわけです、日本人としては。
オランダサッカーやら、サイクリング王国やら、ケチやらなんやらで、なんだか関西人みたいな、大阪人と京都人を足したようなこの国民性に一気に親近感を感じました。ホントはオランダの教育状況を学びたかったんですけど、幅が広い国でびっくりしました。
う〜ん、行ってみたい。
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幸せな小国オランダの智慧 災害にも負けないイノベーション社会 (PHP新書) 新書 – 2012/1/13
紺野登
(著)
スウェーデン、フィンランドなど北欧諸国を抑えて「子どもの幸福度」1位に輝くオランダ。400年の交流がありながら、日本人はこの小国をあまり意識してこなかった。ところが震災を経て混迷を深めるいま、1000年に及ぶ洪水との死闘を乗り越え、欧州屈指の低失業率で経済的にも安定を続けるオランダが一躍注目されている。
自由闊達な対話を認め、問題解決に向け協力し合う関係性豊かな社会。日本人にもっとも欠けている「不確実性に強い知的弾力性」はどこからくるのか? <オランダ的思考>の強さの秘密。
【オランダから何を学べるか】◎?対話を続けるオランダの災害対策「デルタプラン」 ◎「ポルダー」が地域連携の文化を生み出した ◎オランダでワークシェアリングが成功した理由 ◎1時間当たりのGDPが世界でもっとも高いオランダ ◎世界最大の「農業ビジネス国」 ◎知の交流を促進する新しい「場」のサービス ◎「仕事=会社に来ること」ではない……
自由闊達な対話を認め、問題解決に向け協力し合う関係性豊かな社会。日本人にもっとも欠けている「不確実性に強い知的弾力性」はどこからくるのか? <オランダ的思考>の強さの秘密。
【オランダから何を学べるか】◎?対話を続けるオランダの災害対策「デルタプラン」 ◎「ポルダー」が地域連携の文化を生み出した ◎オランダでワークシェアリングが成功した理由 ◎1時間当たりのGDPが世界でもっとも高いオランダ ◎世界最大の「農業ビジネス国」 ◎知の交流を促進する新しい「場」のサービス ◎「仕事=会社に来ること」ではない……
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2012/1/13
- ISBN-104569803180
- ISBN-13978-4569803180
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2012/1/13)
- 発売日 : 2012/1/13
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4569803180
- ISBN-13 : 978-4569803180
- Amazon 売れ筋ランキング: - 404,326位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,048位PHP新書
- - 41,045位ビジネス・経済 (本)
- - 51,555位社会・政治 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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早稲田大学理工学部(現・理工学術院 創造理工学部)建築学科卒業。株式会社博報堂マーケティング・ディレクターを経て、現在KIRO株式会社(旧株式会社コラム)代表、多摩大学大学院教授(知識経営論)。博士(経営情報学)。慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授。一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)/Future Center Alliance Japan(FCAJ)代表理事。京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター(NEO)特任教授。同志社大学ITEC(技術・企業・国際競争力研究センター )客員フェロー、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェローなどを歴任。著書に『ビジネスのためのデザイン思考』、『幸せな小国オランダの智慧』、『知識創造経営のプリンシプル』、『利益や売上げばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか(目的工学)』、『構想力の方法論』、『イノベーターになる』などがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年2月28日に日本でレビュー済み
本書で解説されるオランダの歴史や、取り組みから、いろいろ日本について思うことが出たが、
1番強く思ったのは、オープンな議論を経て、
コンセンサスを得ると言う、プロセスや気概が日本には1番不足しているのではないか? と感じた。
国会やテレビの討論番組などを見ても、揚げ足取りや、罵り合いをしているだけで、
そもそも共通のコンセンサスを得ようと言う気は感じられない。
日本は戦前、戦後、高度経済成長、バブル、失われた20年など世代間の意識の違いが著しい状況だ。
だからこそ、コンセンサスを得るための議論を、丁寧に積み上げていくことの大切さに、本書で気づいた。
しかし、オランダには国民縦断的な議論は機能し、政策に反映させる仕組みがあるのだろうか?
その点をもう少し、深く掘り下げて欲しかった。
また、仮にオランダ型を日本が導入し成果を挙げたとしても、
今度はオランダ型が金科玉条になり身動きが取れなくならないよう、常に知的弾力性を高めておく必要も感じた。
1番強く思ったのは、オープンな議論を経て、
コンセンサスを得ると言う、プロセスや気概が日本には1番不足しているのではないか? と感じた。
国会やテレビの討論番組などを見ても、揚げ足取りや、罵り合いをしているだけで、
そもそも共通のコンセンサスを得ようと言う気は感じられない。
日本は戦前、戦後、高度経済成長、バブル、失われた20年など世代間の意識の違いが著しい状況だ。
だからこそ、コンセンサスを得るための議論を、丁寧に積み上げていくことの大切さに、本書で気づいた。
しかし、オランダには国民縦断的な議論は機能し、政策に反映させる仕組みがあるのだろうか?
その点をもう少し、深く掘り下げて欲しかった。
また、仮にオランダ型を日本が導入し成果を挙げたとしても、
今度はオランダ型が金科玉条になり身動きが取れなくならないよう、常に知的弾力性を高めておく必要も感じた。
2012年2月28日に日本でレビュー済み
町の中にはいくつもの運河が流れ、街を出れば見渡す限りの農地と運河が広がる、世界で最も特徴的な国土を持つオランダ。一人当たりGDPは日本人よりはるかに多いし、サッカーの強さは前回ワールドカップで日本人はよく知っている。フェルメールもオランダ出身だ。本書に書かれていないが、ノーベル賞受賞者も日本人より多い。そして、400年前に「日の沈まない帝国」スペインから独立して以降、せっせと水を掻き出しては自分たちの住む土地を作り続けた。世界の海の主役でもあり、鎖国の日本国内に唯一、世界の最新情報を日本に提供し続けた。有り体に言って本書は、「400年たっても日本はまだオランダに学ぶべきである」と訴える本だ。世界で最も水害と戦い続け、農業でも世界最先端を走る国、オランダに3.11後を生きる智慧があるのではないか、と問う。
オランダ式運営システム「ポルダーモデル」について、本書の一番のキモであるにもかかわらず、著者は「こうだ」とはっきり説明してくれない。だが、私の理解したイメージでは、「将来は不確実でどうしようもないが、その中でどうするか自分で決める自由はある。メンバー全員が考え話し合い、協力して行動する」という感じ。オランダ人ヨハン・クライフが率いたバルササッカーも、フィールドをポジションではなくスペースから考えるトータルフットボールで世界のサッカー戦術を変えてしまった。なぜ、江戸幕府がオランダをビジネス相手に選んだのかの分析も面白い。17世紀初頭、スペインポルトガルも宗教と貿易はワンセットだったが、日本貿易独占を狙ったオランダだけが、「無宗教ビジネス」を提案して採用された。ちなみにダッチシェルもオイルショック後の原油価格低下を予測し、シェア拡大に成功したという。人生のすべてにおいて神様、王様が絶対だった時代に、ビジネスに宗教を持ち込まず、「無敵艦隊」から独立しようと考えた人たちなら、大災害だって「想定の範囲内」となるのだろう。
全体的な印象として、コンサルタントである著者のビジネス論やソーシャルキャピタル論が多く、回り道になってしまった感は否めない。もっと具体的にオランダの人たち、歴史、産業から「オランダの智慧」を汲み出してほしかった。とはいえエピソードは豊富で、オランダ人のユニークな思考法と、桁外れの進取の精神が分かる本である。
オランダ式運営システム「ポルダーモデル」について、本書の一番のキモであるにもかかわらず、著者は「こうだ」とはっきり説明してくれない。だが、私の理解したイメージでは、「将来は不確実でどうしようもないが、その中でどうするか自分で決める自由はある。メンバー全員が考え話し合い、協力して行動する」という感じ。オランダ人ヨハン・クライフが率いたバルササッカーも、フィールドをポジションではなくスペースから考えるトータルフットボールで世界のサッカー戦術を変えてしまった。なぜ、江戸幕府がオランダをビジネス相手に選んだのかの分析も面白い。17世紀初頭、スペインポルトガルも宗教と貿易はワンセットだったが、日本貿易独占を狙ったオランダだけが、「無宗教ビジネス」を提案して採用された。ちなみにダッチシェルもオイルショック後の原油価格低下を予測し、シェア拡大に成功したという。人生のすべてにおいて神様、王様が絶対だった時代に、ビジネスに宗教を持ち込まず、「無敵艦隊」から独立しようと考えた人たちなら、大災害だって「想定の範囲内」となるのだろう。
全体的な印象として、コンサルタントである著者のビジネス論やソーシャルキャピタル論が多く、回り道になってしまった感は否めない。もっと具体的にオランダの人たち、歴史、産業から「オランダの智慧」を汲み出してほしかった。とはいえエピソードは豊富で、オランダ人のユニークな思考法と、桁外れの進取の精神が分かる本である。
2018年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
簡単なことを難しく表現されていて、注釈もついていないので、読むのに辞書が必要です。読者に英語を習わせたいのですか??
用語が論理を邪魔しています。
用語が論理を邪魔しています。
2017年2月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
震災時の話には感激しました。
この本を読んで以降、新しいトモダチや、戻って来てくれたトモダチがいます。
またトモダチが増えました。
Facebookの頭に写真を載せて、言い聞かせています。
忘れていたことだなと、感じました。
チューリップ好きなので、オランダはもともと好きなのですが、お手本でもありますが、ますます良いところだなと感じました。
自殺率が低いのも、納得出来ます。
この本を読んで以降、新しいトモダチや、戻って来てくれたトモダチがいます。
またトモダチが増えました。
Facebookの頭に写真を載せて、言い聞かせています。
忘れていたことだなと、感じました。
チューリップ好きなので、オランダはもともと好きなのですが、お手本でもありますが、ますます良いところだなと感じました。
自殺率が低いのも、納得出来ます。
2013年12月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オランダ人の発想がよくわかります。
日本が幸せにならない理由も・・・
オランダがとても好きになりました。
日本が幸せにならない理由も・・・
オランダがとても好きになりました。
2012年2月19日に日本でレビュー済み
他のレビューとは全く異なった意見です。
今ある書評は著者の友人や出版社が
高いレビューをあらかじめ書き込んだ
宣伝文にしか感じられないな〜。
私は読書は大好きで特に政治や社会の仕組み
国民性に関する本をよく読みます。
一般庶民だから分からないことを学びたいと
いう意識は当然 高いわけです。
しかし、この本は、よっぽど歴史や思想、その他
を詳しく分かっていないと理解しにくい単語や
表現箇所が多すぎます。
しかも薄っぺらな表現で断定的に結論づけ進行して
いくスタンスに ついていけない感じを強めました。
その他、原発やその他、日本の重要課題に対して
この本の目指す方向性に直接関係は薄いが その認識力
が不足してる側面を感じ残念です。
著者に恨みも何も無いが、こういった文章では
いつまでたっても日本国民が共有しうる智慧を伝える
力になり得ない。
一般庶民の「学びたい」気持ち
に答える表現が必要だと思います。
今ある書評は著者の友人や出版社が
高いレビューをあらかじめ書き込んだ
宣伝文にしか感じられないな〜。
私は読書は大好きで特に政治や社会の仕組み
国民性に関する本をよく読みます。
一般庶民だから分からないことを学びたいと
いう意識は当然 高いわけです。
しかし、この本は、よっぽど歴史や思想、その他
を詳しく分かっていないと理解しにくい単語や
表現箇所が多すぎます。
しかも薄っぺらな表現で断定的に結論づけ進行して
いくスタンスに ついていけない感じを強めました。
その他、原発やその他、日本の重要課題に対して
この本の目指す方向性に直接関係は薄いが その認識力
が不足してる側面を感じ残念です。
著者に恨みも何も無いが、こういった文章では
いつまでたっても日本国民が共有しうる智慧を伝える
力になり得ない。
一般庶民の「学びたい」気持ち
に答える表現が必要だと思います。
2016年7月27日に日本でレビュー済み
店頭購入です。たしかになるほどという箇所がいくつかあり、それはそれでいいのですが、負の側面に触れられていないというのは如何なものなんですかね。それに、幸せというのは数値化、一般化できるものではないですよね。
実際、移民や難民とオランダ人のいざこざは後を絶ちません。移民、難民はおそらく幸せでないから、不満を爆発させるのではないかと思います。
実際、移民や難民とオランダ人のいざこざは後を絶ちません。移民、難民はおそらく幸せでないから、不満を爆発させるのではないかと思います。