学同院大学のオチケン部員3人、岸、中村、そして新入部員の越智健一が巻き込まれる、学内の事件第三弾です。
今回ものんびりまったりと落語をきくようなテンポで進む物語はふたつのみ。第一話は「幻の男」(このタイトル「幻の女」のパロディですね)。落語の名門倶楽部を有する千条学園大学から、落語会のゲスト高座を依頼された岸が、罠に落とされそうになり、それを見抜くというのが発端、その岸の見識で話は終わるかと思いきや、千条学園の全日本学生落語選手権三連覇をかけての内情から、事件は意外な方向へ転がってゆきます。
どうやら全てを見抜いているらしい岸に、これを聞いてごらんと言われ、聞いた落語からすべてを推理する越智。驚きの結末が、青春ミステリらしくふんわりほのぼのと決まります。
もう一話は「高田馬場」。こちらも仇討ちの演目の名前で、岸はこれを演じることで、越智に真相を暗示します。
水泳部、水球部、ラグビー部を襲う部活動の危機。新学長による圧迫と暴政?に対抗して立ち上がる黎明棟の部長たち。前作からこわもてで登場している意外な人物の意外な侠気も見られ、この第二話は物理的トリックの謎解きが冴えます。
それにしても、仙人のように飄々と落語を演じ、語尾をのばしてしゃべる岸、今回どうも因縁をつけられるためだけに出てきているようなクールハードな中村、右往左往する下っ走りの越智、このオチケントリオはすっかり大学の部活動の中心勢力となったようです。
さらに今回笑えたのはまったく落語と関係ない学生部主任の土屋氏のセリフのかずかず。また勝負服と称して水泳パンツ一丁で歩きまわる水泳部の部長を始め、若者たちの青春の蛮行は何ともすがすがしいです。
青春とは部活動! 作者の実体験と思い出に満ちた日常のミステリ、いよいよ好調です。
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オチケン探偵の事件簿 単行本(ソフトカバー) – 2012/11/21
大倉 崇裕
(著)
究極の巻き込まれ型でお人好し探偵が、キャンパスで起こる奇怪な事件の数々に挑む。事件を解く鍵は落語にアリ?
大学入学早々、落語にまったく興味がないのに、廃部寸前のオチケン(落語研究会)に入部させられた越智健一(おちけんいち)。風変わりな二人の先輩にふりまわされ、キャンパス内で起きる奇妙な事件の捜査に駆り出され、必修科目の出席もままならない中、大学は夏季休暇に突入していた。宿題をきっちり仕上げ、前期のリベンジを誓う越智だが、学生落語選手権で優勝を狙う大学間の抗争に巻き込まれ、次々と予想だにしない事件に直面するはめに……。単位取得が遠のいていく、オチケン探偵の活躍を描く連作ミステリー。オチケンの運命や、いかに!‽
『オチケン! 』『オチケン、ピンチ!!』で大人気。ユーモアと落語の薀蓄が満載の、大学の落語研究会を舞台にした爽やか青春ミステリー。落語好き、ミステリー好き、青春小説好き必読。
大学入学早々、落語にまったく興味がないのに、廃部寸前のオチケン(落語研究会)に入部させられた越智健一(おちけんいち)。風変わりな二人の先輩にふりまわされ、キャンパス内で起きる奇妙な事件の捜査に駆り出され、必修科目の出席もままならない中、大学は夏季休暇に突入していた。宿題をきっちり仕上げ、前期のリベンジを誓う越智だが、学生落語選手権で優勝を狙う大学間の抗争に巻き込まれ、次々と予想だにしない事件に直面するはめに……。単位取得が遠のいていく、オチケン探偵の活躍を描く連作ミステリー。オチケンの運命や、いかに!‽
『オチケン! 』『オチケン、ピンチ!!』で大人気。ユーモアと落語の薀蓄が満載の、大学の落語研究会を舞台にした爽やか青春ミステリー。落語好き、ミステリー好き、青春小説好き必読。
- 本の長さ355ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2012/11/21
- ISBN-104569804314
- ISBN-13978-4569804316
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2012/11/21)
- 発売日 : 2012/11/21
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 355ページ
- ISBN-10 : 4569804314
- ISBN-13 : 978-4569804316
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,658,613位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 39,519位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年6月28日に日本でレビュー済み
2012年に出た単行本の文庫化。
「オチケン」シリーズの第3弾である。
「幻の男」と「高田馬場」の2本の中編が収められている。
大学側の圧政と、学生団体のいざこざ。それをオチケンが見事に解決していく。落語のシーンも生き生きと描かれており、楽しい小説だ。
ただ、物語としては不自然さが目立つし、あまりにリアリティが欠けるように思う。
ラストは続編をほのめかしているが、どうやら出版されていない模様である。
「オチケン」シリーズの第3弾である。
「幻の男」と「高田馬場」の2本の中編が収められている。
大学側の圧政と、学生団体のいざこざ。それをオチケンが見事に解決していく。落語のシーンも生き生きと描かれており、楽しい小説だ。
ただ、物語としては不自然さが目立つし、あまりにリアリティが欠けるように思う。
ラストは続編をほのめかしているが、どうやら出版されていない模様である。