吉本先生の指摘は的を得たものであり、某政治家の「日本もギリシャの様になる」はヨタ話であり、円と元を統合する通貨共同体の提唱をした政治家も目を覚ましてもらいたいものである。
一般的な報道を見ていると、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、アイルランドの国家経済運営の悪さを非難するばかりだが、そうでは無くそれらの国のユーロ導入が誤りだったということだ。
賢明であり狡猾な英国はEUには加盟しているが、ユーロ導入やシェンゲン条約は回避している。
人口から見ても人口5000万人以上はドイツ(約8200万人)、フランス(約6500万人)、イタリア(約6000万人)の三カ国。
ユーロ圏の経済重心は国家人口も多く人口集積首位のベルリン(約350万人)であり、情報、物流、金融、人的交流もベルリンからの距離で優劣が生じる。
経済危機もベルリンから遠い国家で発生しており、為替レート調整による経済調和が実行できないことに悲劇がある。
日本国内も東京一極集中で同様な現象が起きている。
借金大国の米国が所得収支では大幅な黒字ということは、円安に傾斜した薄利多売の売上高至上主義の鎖国的経営と真逆な経営である。
もちろん日本企業にもグローバルな経営拠点展開を行っているところは、今回のアベノミックスによる株価回復が顕著である。
対ドルでなく対ウォンで介入すべきという指摘は、韓国サムスンのひとり勝ちで日本家電敗戦の結果で明白だろう。
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「世界金融危機」のカラクリ (PHPビジネス新書) 新書 – 2012/11/17
吉本 佳生
(著)
「貿易収支は赤字でいい」
「ユーロ危機と日本の状況は決定的に違う」
「介入すべきはドルではなくウォン」
「アメリカは超巨大投資ファンドのようなもの」
「ギリシャの問題は、お金よりも人の流出」
アメリカの赤字、欧州諸国の危機、そして日本の財政問題と、多くの難題を抱える世界経済。
だが、データを細かく「複眼思考」で見ていくと、上記のような、従来の常識とは違う世界が見えてきた!
本書は人気エコノミストが膨大なデータを独自の視点で解析し、世界金融危機の「本当の問題」をあぶりだしていくもの。
各国の借金、経常収支や貿易収支といった国際収支統計、為替レート、失業率、あるいは「ビッグマックの価格」など、データを読み解くポイントがよくわかる内容となっている。
そして、データ解析の結果見えてきた、従来の常識とはまったく異なった「日本の進むべき道」とは?
世界経済の全貌が一気に見えてくる一冊。
「ユーロ危機と日本の状況は決定的に違う」
「介入すべきはドルではなくウォン」
「アメリカは超巨大投資ファンドのようなもの」
「ギリシャの問題は、お金よりも人の流出」
アメリカの赤字、欧州諸国の危機、そして日本の財政問題と、多くの難題を抱える世界経済。
だが、データを細かく「複眼思考」で見ていくと、上記のような、従来の常識とは違う世界が見えてきた!
本書は人気エコノミストが膨大なデータを独自の視点で解析し、世界金融危機の「本当の問題」をあぶりだしていくもの。
各国の借金、経常収支や貿易収支といった国際収支統計、為替レート、失業率、あるいは「ビッグマックの価格」など、データを読み解くポイントがよくわかる内容となっている。
そして、データ解析の結果見えてきた、従来の常識とはまったく異なった「日本の進むべき道」とは?
世界経済の全貌が一気に見えてくる一冊。
- 本の長さ231ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2012/11/17
- ISBN-104569808573
- ISBN-13978-4569808574
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登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2012/11/17)
- 発売日 : 2012/11/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 231ページ
- ISBN-10 : 4569808573
- ISBN-13 : 978-4569808574
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,001,207位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 684位PHPビジネス新書
- - 3,625位経済学 (本)
- - 57,292位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1963年、三重県紀北町(旧紀伊長島町)生まれ。エコノミスト。名古屋市立大学経済学部経済学科卒業、住友銀行勤務、名古屋市立大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、広島市立大学国際学部専任講師、南山大学経済学部准教授、関西大学会計専門職大学院特任教授を経て、現在はフリーランスの著述家。専門分野は生活経済、マクロ経済、日本経済、金融経済、国際金融。NHK教育・総合テレビで21回(再放送をふくめると50回以上)放送された、経済学教育番組「出社が楽しい経済学」の出演・監修者。『金融工学の悪魔』(日本評論社)、『金融広告を読め』(光文社新書)、『スタバではグランデを買え!』(ダイヤモンド社)、『出社が楽しい経済学』(NHK出版)、『数字のカラクリを見抜け!』(PHPビジネス新書)、『確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり』『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』(以上、講談社ブルーバックス)、『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)、『スマホは人気で買うな!』(日経プレミアムシリーズ)、『ニュースと円相場で学ぶ経済学』(日経ビジネス人文庫)など著書多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年10月25日に日本でレビュー済み
2012年の本。著者は元銀行員のエコノミスト。
曰く・・・
アメリカは、政府が国債で海外から資金を集め、民間企業がそれを対外直接投資に回す。債務国だがトータルのリターンはプラス。アメリカの対外直接投資の収益率は非常に高い。証券投資は内外利回りに差がつきにくいが、直接投資は市場成長性、労働コスト、技術力や経営力などで収益率が決まるので、内外で異なる方がむしろ自然。直接投資を中心に対外収益を稼ぐ体質がアメリカの強み。アメリカは、アメリカ国債の信用を背景にして海外から巨額のお金を集め、アメリカ企業の海外ビジネスの能力を武器にして集めたお金を直接投資で増やす、一種の超巨大投資ファンドと見ることができる。
サブプライム問題が表面化するまで、ユーロ圏各国の長期金利に大差はなかったが、リーマン・ショックの影響がヨーロッパに飛び火し、ギリシャの不正会計が発覚すると、信用不安が長期金利を高めた国(PIIGSなど)と、それらの国債市場から逃避した資金が流れ込んで長期金利を押し下げた国(独仏など)にはっきりと分かれた。
アメリカが金本位制を維持できなくなるのではないかという不安があったとき、フランスは米ドルをアメリカにもちこんで金に換え、国際市場で高いレートで金を売り、そうして得た米ドルをまたアメリカに持ち込む、という操作を繰り返して儲けている。フランスの利己的行動がブレトンウッズ体制の崩壊を早めた。
経常収支赤字の根本原因は2つであり、一つは労賃が海外から見て高いことであり(為替レートで是正される)、もう一つは国内過剰消費体質(マクロ経済政策で消費を抑制する)。緊縮的なマクロ経済政策による対処は消費需要を減らすことで失業者を増やす。為替レート調整は国際的に見た労賃は下がるが失業者は減る。
経済発展の度合いが大幅に異なる地域で同一通貨を使って、人が完全に自由移動できると、人の大量移動が発生し、危機が深刻化しやすい。ユーロ圏ではこの問題が起きている。一方、中国は人の移動がある程度制限されているので、地域格差が大きくてもひとつの通貨を使う仕組みを維持できている。
21世紀に入ってから、世界全体がモノやサービスに対する需要不足に陥り、その状態が続いているため、先進諸国ではモノのインフレを抑えやすくなっている。インフレの心配さえなければ自国通貨安にして輸出競争力を高めたくなる。
日本の輸出メーカーが円高で困っている、というとき特に気にしているのは対ウォン、対人民元、対台湾ドルなどアジア諸国の通貨に対する円相場である。
外国為替相場の米ドルはシェアが大きいため、対米ドルで為替介入しても量的効果はほとんど期待できない。一方、ウォンはシェアが非常に小さいので、対ウォンで介入する方がはるかに効果的。しかし、日本は対韓国の経常収支が大きな黒字なので円安誘導の大義名分が立ちにくい。
日本は対外直接投資が小さいし、海外からの対内直接投資も小さい。日本の国際金融取引は証券投資中心。しかし、証券投資を中心にする限り、所得収支の黒字を伸ばしにくい。
長期的には、日本は直接投資を中心に所得収支の黒字をもっと増やし、貿易・サービス収支の赤字が少しずつ拡大して、経常収支も赤字化し、対外債務国の借金返済をアシストできる国になること、これが日本経済の目指すべき姿である。
みたいな話。
曰く・・・
アメリカは、政府が国債で海外から資金を集め、民間企業がそれを対外直接投資に回す。債務国だがトータルのリターンはプラス。アメリカの対外直接投資の収益率は非常に高い。証券投資は内外利回りに差がつきにくいが、直接投資は市場成長性、労働コスト、技術力や経営力などで収益率が決まるので、内外で異なる方がむしろ自然。直接投資を中心に対外収益を稼ぐ体質がアメリカの強み。アメリカは、アメリカ国債の信用を背景にして海外から巨額のお金を集め、アメリカ企業の海外ビジネスの能力を武器にして集めたお金を直接投資で増やす、一種の超巨大投資ファンドと見ることができる。
サブプライム問題が表面化するまで、ユーロ圏各国の長期金利に大差はなかったが、リーマン・ショックの影響がヨーロッパに飛び火し、ギリシャの不正会計が発覚すると、信用不安が長期金利を高めた国(PIIGSなど)と、それらの国債市場から逃避した資金が流れ込んで長期金利を押し下げた国(独仏など)にはっきりと分かれた。
アメリカが金本位制を維持できなくなるのではないかという不安があったとき、フランスは米ドルをアメリカにもちこんで金に換え、国際市場で高いレートで金を売り、そうして得た米ドルをまたアメリカに持ち込む、という操作を繰り返して儲けている。フランスの利己的行動がブレトンウッズ体制の崩壊を早めた。
経常収支赤字の根本原因は2つであり、一つは労賃が海外から見て高いことであり(為替レートで是正される)、もう一つは国内過剰消費体質(マクロ経済政策で消費を抑制する)。緊縮的なマクロ経済政策による対処は消費需要を減らすことで失業者を増やす。為替レート調整は国際的に見た労賃は下がるが失業者は減る。
経済発展の度合いが大幅に異なる地域で同一通貨を使って、人が完全に自由移動できると、人の大量移動が発生し、危機が深刻化しやすい。ユーロ圏ではこの問題が起きている。一方、中国は人の移動がある程度制限されているので、地域格差が大きくてもひとつの通貨を使う仕組みを維持できている。
21世紀に入ってから、世界全体がモノやサービスに対する需要不足に陥り、その状態が続いているため、先進諸国ではモノのインフレを抑えやすくなっている。インフレの心配さえなければ自国通貨安にして輸出競争力を高めたくなる。
日本の輸出メーカーが円高で困っている、というとき特に気にしているのは対ウォン、対人民元、対台湾ドルなどアジア諸国の通貨に対する円相場である。
外国為替相場の米ドルはシェアが大きいため、対米ドルで為替介入しても量的効果はほとんど期待できない。一方、ウォンはシェアが非常に小さいので、対ウォンで介入する方がはるかに効果的。しかし、日本は対韓国の経常収支が大きな黒字なので円安誘導の大義名分が立ちにくい。
日本は対外直接投資が小さいし、海外からの対内直接投資も小さい。日本の国際金融取引は証券投資中心。しかし、証券投資を中心にする限り、所得収支の黒字を伸ばしにくい。
長期的には、日本は直接投資を中心に所得収支の黒字をもっと増やし、貿易・サービス収支の赤字が少しずつ拡大して、経常収支も赤字化し、対外債務国の借金返済をアシストできる国になること、これが日本経済の目指すべき姿である。
みたいな話。
2021年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
殆んどの経済学書物が国際収支を軽視しているが、この本はそれを重視している。国際収支を軽視する経済学書を私は偽学と断じる。なぜなら国際収支こそ国家が生き残るための最も重要な指標だからだ。天然資源を買い入れるために必要なお金であるからだ。家計が借金まみれにならないことが重要なのと同じで、国家は国際収支で借金まみれとなっては、生き残るすべを失う。また国民を裕福に暮らさせるすべを失う。或いは国家が持つ実物資産である天然資源や土地を他国に食いつぶされることになる。
今もだが今まで、財政収支が赤字では国家破綻を迎えると主要な経済評論が国民を恐れおののかせ、緊縮財政やむなしと納得させてきたが、本来、国家にとってのお金の収支は財政収支ではなく国際収支なのだ。
そしてそのお金である国際収支のストックは外貨として日本は、360兆円もの巨額の保有を誇っている。世界一の保有量のこのお金が失われない限り日本国民は、国家の真の財政破綻であるハイパーインフレに見舞われ苦しむことはない。
最期に★4っつとした理由をのべると、財政赤字危機の主流派経済学を非難していない点で評価を下げた。
今もだが今まで、財政収支が赤字では国家破綻を迎えると主要な経済評論が国民を恐れおののかせ、緊縮財政やむなしと納得させてきたが、本来、国家にとってのお金の収支は財政収支ではなく国際収支なのだ。
そしてそのお金である国際収支のストックは外貨として日本は、360兆円もの巨額の保有を誇っている。世界一の保有量のこのお金が失われない限り日本国民は、国家の真の財政破綻であるハイパーインフレに見舞われ苦しむことはない。
最期に★4っつとした理由をのべると、財政赤字危機の主流派経済学を非難していない点で評価を下げた。
2013年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
データをたくさん使っての解説であり、説得力もあり面白かったです。
マスコミを含め、世の中の議論は定性的ではっきりしないものが多いように思います。特に経済の話は、データもなく、”インフレがいい”などという話が独り歩きしていますので、このような本を読んで、流説に惑わされない定見を得ることは大切なことだと思います。
マスコミを含め、世の中の議論は定性的ではっきりしないものが多いように思います。特に経済の話は、データもなく、”インフレがいい”などという話が独り歩きしていますので、このような本を読んで、流説に惑わされない定見を得ることは大切なことだと思います。
2013年2月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は複眼的思考で経済問題を分析できる信頼に足る経済学者の一人である。現在のアメリカ、ユーロ、日本の金融危機をそれぞれ紐解いて行く。基本的に債務問題は、ストックの債務残高とフローの経常収支の両方を見る必要があると説く。
特に経常収支のうち所得収支に注目する。ストックの債務残高が信用不安になるには金利が上昇して負担になる場合である。アメリカやフランスは対外的に巨額の債務残高を抱えながら、なかなか危機に陥らない。それはフローの所得収支が黒字であるからだ。日本は約250兆円という世界最大の対外純資産高を保有し、貿易収支こそ近年減って来たが所得収支で稼いでいるので近い将来に財政破綻は起こらないだろう。著者の鋭い分析には敬意を表する。
私が金融危機問題を個人的に考える際、ひとつの視点を重要にしている。それは自分の残された寿命と大いに関係すると思われる「時間軸」である。現時点での分析は今後どのくらい有効なのか?5年以内か10年以内か、はたまた20年以内か?
吉本氏の経済分析は現時点から5年くらいは信頼できそうだ。
ただし「経済・市場予測は当たらない」という定説に従えば、将来のリスクシナリオもいくつか考慮しなければならない。
多くの経済学者の論争が咬み合わないのはそれぞれが想定している時間軸がばらばらであることに起因している。
将来を予測するには遠く歴史に学ぶのもひとつの方法だろう。ジャック・アタリ「国家債務危機」、ラインハート&ロゴフ「国家は破綻する」等の対国内債務のデフォルトに言及したレトロスペクティブな論説・研究も無視できない。
特に経常収支のうち所得収支に注目する。ストックの債務残高が信用不安になるには金利が上昇して負担になる場合である。アメリカやフランスは対外的に巨額の債務残高を抱えながら、なかなか危機に陥らない。それはフローの所得収支が黒字であるからだ。日本は約250兆円という世界最大の対外純資産高を保有し、貿易収支こそ近年減って来たが所得収支で稼いでいるので近い将来に財政破綻は起こらないだろう。著者の鋭い分析には敬意を表する。
私が金融危機問題を個人的に考える際、ひとつの視点を重要にしている。それは自分の残された寿命と大いに関係すると思われる「時間軸」である。現時点での分析は今後どのくらい有効なのか?5年以内か10年以内か、はたまた20年以内か?
吉本氏の経済分析は現時点から5年くらいは信頼できそうだ。
ただし「経済・市場予測は当たらない」という定説に従えば、将来のリスクシナリオもいくつか考慮しなければならない。
多くの経済学者の論争が咬み合わないのはそれぞれが想定している時間軸がばらばらであることに起因している。
将来を予測するには遠く歴史に学ぶのもひとつの方法だろう。ジャック・アタリ「国家債務危機」、ラインハート&ロゴフ「国家は破綻する」等の対国内債務のデフォルトに言及したレトロスペクティブな論説・研究も無視できない。
2013年1月19日に日本でレビュー済み
本書は、世界各国の金融情勢を分析し、今後の日本経済の進むべき方向性を主張した本です。世界経済を揺るがしている昨今の「世界金融危機」を中心に記述していますが、アメリカや日本の状況も記述しており、幅広く現状を解説した本です。
また、本書は、対外純資産や国際収支統計等の面から「各国の現状(借金残高や黒字・赤字の状況)」が書かれている本であり、「金融システムそのものの解説」が書かれた本ではありません。
「世界金融危機」をテーマにしているというと、かなり難しそうな印象がありますが、本書は次の配慮がなされており、ある程度の知識のある人(日経新聞が普通に読める人程度?)であれば、十分に楽しんで読むことができると思います。
(a) この本は、全体が231ページであるが、適度なページ数の章(序章と7つの章)で構成されており、1章ずつ理解しながら読み進むことができる。
(b) 全部で68もの図表(グラフ、統計表、説明図)が掲載されている。それぞれの図表はていねいに作られており、理解しやすい。
(c) 数式はほとんど(全く?)出てこない。世界金融の現状をデータやグラフをもとに、著者が上手に説明している。
本書を読むと、世界各国の状況がくっきりと描かれており、「あっ。そうだったのか。」と思わせる部分が随所に出てきます。とても興味深い本です。
・ アメリカが借金大国(対外負債が対外資産を上回っている)なのに、直接投資で利益を稼ぎ、所得収支の黒字が急増している。一方、対外純資産世界1位の日本はどうか。
・ ユーロ各国の中では、為替の調整ができないユーロの枠組みの下で、労働市場改革に成功したドイツが独り勝ち状態になっていること。これを是正するのは容易ではないこと。
・ 日本は対米ドル相場を問題視するよりも、対韓国ウオン相場を重視すべきである。
等々が説得力を持って記述されています。
読みやすく、ためになる本であり、お薦めできる良書だと思います。
また、本書は、対外純資産や国際収支統計等の面から「各国の現状(借金残高や黒字・赤字の状況)」が書かれている本であり、「金融システムそのものの解説」が書かれた本ではありません。
「世界金融危機」をテーマにしているというと、かなり難しそうな印象がありますが、本書は次の配慮がなされており、ある程度の知識のある人(日経新聞が普通に読める人程度?)であれば、十分に楽しんで読むことができると思います。
(a) この本は、全体が231ページであるが、適度なページ数の章(序章と7つの章)で構成されており、1章ずつ理解しながら読み進むことができる。
(b) 全部で68もの図表(グラフ、統計表、説明図)が掲載されている。それぞれの図表はていねいに作られており、理解しやすい。
(c) 数式はほとんど(全く?)出てこない。世界金融の現状をデータやグラフをもとに、著者が上手に説明している。
本書を読むと、世界各国の状況がくっきりと描かれており、「あっ。そうだったのか。」と思わせる部分が随所に出てきます。とても興味深い本です。
・ アメリカが借金大国(対外負債が対外資産を上回っている)なのに、直接投資で利益を稼ぎ、所得収支の黒字が急増している。一方、対外純資産世界1位の日本はどうか。
・ ユーロ各国の中では、為替の調整ができないユーロの枠組みの下で、労働市場改革に成功したドイツが独り勝ち状態になっていること。これを是正するのは容易ではないこと。
・ 日本は対米ドル相場を問題視するよりも、対韓国ウオン相場を重視すべきである。
等々が説得力を持って記述されています。
読みやすく、ためになる本であり、お薦めできる良書だと思います。