国史で8世紀といえば、古代律令制国家がひととおり完成を見た時代であり、
それはおおむね技術文明、言語文化、民族形成の3点で、本邦が統合体としてまとまりをなしてくる画期であろう。
飛鳥から奈良への遷都が710年、記紀の編纂事業や万葉集の成立のころとおおかた重なり、
また地方でも風土記などから、ゆたかな地方色とともに中央集権体制への編入統合が看取される。
一方、723年には三世一身の法、743年には墾田永年私財法が制定運用されるなど、
墾田地系荘園も広がりだし、やがて中央の貴族寺社への寄進地系荘園制として国衙と事実上両立してゆくことになり、
公武二元統治体制のみなもとをなしてくる。いわば荘園側は、そうした中で激増していった逃散農民らをとり囲う形で、
さらに開墾を進め、中央の貴族寺社を頂点とする寄進地系荘園制は確立し、武家政権誕生を準備していったといえよう。
話はやや後世にくだるが、鎌倉幕府の後、再び京都に室町幕府が開かれるが、
そのころ本邦の庶民的な伝統文化は質実などの要素を加えて定着を見たのであり、
当時代はナショナルアイデンティティの形成史にとって不可欠とされている点留意される。
アジア史という視点からは、700~750年頃、シャンカラという哲学者が、インドにおいて、
ヴェーダーンタの思想体系を整理し、唯一無二の宇宙論哲学を提唱している。
本書はこうした国史のながれの中で、飛鳥から奈良への平城遷都から1300年を経たことを記念し、
その大造営事業と束の間の繁栄ぶりの実態を、豊富なCGデータをもとに紙面上に再現し、時宜的な解説を施したもの。
いにしえとはいいながらも、おおむね生活技術を洗練した縄文文明と建築技術を陶冶した弥生文明による、
技術的なハイブリッド形成を基盤とした、基層的な縄文文化と渡来的な弥生文化のこれまたハイブリッドな文化形成に、
縄文人と弥生人も融合するなど混淆的な民族形成も帰一的に進んでいった点を踏まえた好編集になっている、
と思います。ご一読願えれば、と思います。
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飛鳥から平城京へ: 平城遷都1300年CGでよみがえる古の日本の京 (双葉社スーパームック CG日本史シリーズ) ムック – 2009/1/1
後藤 克典
(イラスト)
- 本の長さ50ページ
- 言語日本語
- 出版社双葉社
- 発売日2009/1/1
- ISBN-104575450553
- ISBN-13978-4575450552
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登録情報
- 出版社 : 双葉社 (2009/1/1)
- 発売日 : 2009/1/1
- 言語 : 日本語
- ムック : 50ページ
- ISBN-10 : 4575450553
- ISBN-13 : 978-4575450552
- Amazon 売れ筋ランキング: - 728,331位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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