“わたし”(はるか)と“しーちゃん”(小清水さん)の中2から高1の2学期までの
ひっつきもっつきしていた時間を綴った物語。
しーちゃんの特異性が強調されていることから、どうしてもはるかの方に肩入れして
読んでしまう。
一方、しーちゃんの視点から描かれたのが、作中に登場するもう一つの「中等部超能力戦争」
なのだが、こちらはエキセントリックな扱われ方をしているのと、しーちゃんのはるかに
対する執着を表す材料となっているので、読者の共感を呼ぶかという点では、
やはりあまり力を持たない。
個人的には、超能力戦争の部分をふくらませて、この部分が独立した読み物となっていたら
面白かったと思う。
はるかを語り手にしているのだから当然なのだが、その比率が少し傾きすぎているように
思える。
何より、しーちゃんのキャラクターが突出しているので読者はしーちゃんに愛情を持ちにくい。
学生時代というのは小さな裏切りや嫉妬やコンプレックスが渦巻いている。
と同時に友情や日常の小さな幸せだって確かに存在している。
たとえ、その時は気付かなかったとしても。
それを等価に扱ってこそカタルシスが得られるのではないだろうか。
作者も私立の中・高一貫教育出身者らしく、ディテールのリアリティは抜群で、とっくに
卒業した感情であるにも関わらず、胸が痛いというより、下腹部あたりに鈍痛を残す作品だった。
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中等部超能力戦争 (双葉文庫) (双葉文庫 ふ 22-1) 文庫 – 2010/6/10
藤野 千夜
(著)
はるかの友人、しーちゃんはプライドが高くわがままで、そのうえおかしな力を発揮して人を困らせる。今は恋に生きたいはるかだが、しーちゃんとの関係がしだいにぎくしゃくしはじめて、ついにある日、思いもよらぬ出来事が…。どこかユーモラスで、でもちょっとダークな学園小説。
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社双葉社
- 発売日2010/6/10
- ISBN-104575513601
- ISBN-13978-4575513608
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登録情報
- 出版社 : 双葉社 (2010/6/10)
- 発売日 : 2010/6/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 304ページ
- ISBN-10 : 4575513601
- ISBN-13 : 978-4575513608
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,538,313位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1962年福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒。95年『午後の時間割』で第14回海燕新人文学賞、98年『おしゃべり怪談』で第20回野間文芸新人賞、99年『夏の約束』で第122回芥川賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 中等部超能力戦争 (ISBN-13: 978-4575513608 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年11月19日に日本でレビュー済み
とある女の子の中学〜高校時代の日常を描いた青春小説
私は30才過ぎの男性です
登場人物の女の子達には、全く感情移入できなかったので、
集中して、イッキに読みきることはできなかった
少しづつ、時間を掛けて読み進めました
また、彼女らの日常や感情の描写がどこまでリアルなのかも、
良くわかりません
しかし、最後までおもしろく読めました
主人公の女の子はちょっとしたお嬢様
そして、その同級生の友達には噂が付きまとっていた
その噂とは、チョッとした超能力があるといったものだった
タイトルに超能力戦争と付いていますが、
実際にはサイキックバトル的なシーンはありません
この超能力も基本は少し物が動くといった感じです
物語の内容は、あくまでも人との距離感の取り方や思春期特有の感情の不安定さを描いたものだった
超能力はそこに、アクセントを添えているといった感じでした
私は30才過ぎの男性です
登場人物の女の子達には、全く感情移入できなかったので、
集中して、イッキに読みきることはできなかった
少しづつ、時間を掛けて読み進めました
また、彼女らの日常や感情の描写がどこまでリアルなのかも、
良くわかりません
しかし、最後までおもしろく読めました
主人公の女の子はちょっとしたお嬢様
そして、その同級生の友達には噂が付きまとっていた
その噂とは、チョッとした超能力があるといったものだった
タイトルに超能力戦争と付いていますが、
実際にはサイキックバトル的なシーンはありません
この超能力も基本は少し物が動くといった感じです
物語の内容は、あくまでも人との距離感の取り方や思春期特有の感情の不安定さを描いたものだった
超能力はそこに、アクセントを添えているといった感じでした
2007年6月12日に日本でレビュー済み
都市伝説みたいなうわさを持つ同級生って、同じクラスになってもあまり仲良くしたくないもの。
そんなうわさが初等部で流れていた小清水さんと、中等部で仲良くなってしまった磯島はるか。
小清水さんに対して邪魔臭くなったりしながらも、適度に関係が続いていた二人だったが・・・
彼氏が出来て生活の中心が彼氏になって女友達がおろそかになってしまう時、向こうにも彼氏がいたらいいけど片方だけの時、女の友情ってけっこう煩わしい。
彼氏中心になってしまう気持ちが友達に彼氏が居ないと理解してもらえなくて、男好きみたないな言い方で傷付けてくるからだ。
この本の場合その悪口が、著名なB賞を受賞までしてしまう。
自己中心的な理由で出てくるしょぼい超能力と、中等部から高等部までの女の友情。
主人公はるかの心の動きに共感して一気に読みました。
そんなうわさが初等部で流れていた小清水さんと、中等部で仲良くなってしまった磯島はるか。
小清水さんに対して邪魔臭くなったりしながらも、適度に関係が続いていた二人だったが・・・
彼氏が出来て生活の中心が彼氏になって女友達がおろそかになってしまう時、向こうにも彼氏がいたらいいけど片方だけの時、女の友情ってけっこう煩わしい。
彼氏中心になってしまう気持ちが友達に彼氏が居ないと理解してもらえなくて、男好きみたないな言い方で傷付けてくるからだ。
この本の場合その悪口が、著名なB賞を受賞までしてしまう。
自己中心的な理由で出てくるしょぼい超能力と、中等部から高等部までの女の友情。
主人公はるかの心の動きに共感して一気に読みました。