一読して、姜氏の東北アジアの将来に対する深い想いが強く伝わってきた。日本の論壇に、これだけ総論から各論までの様々なレベルで、東北アジアの将来構想を立ち上げられる人物が居るかどうか。我々はもう少しアジアに思いを馳せるべきなのだろう。21世紀はアジアの世紀なのだから。
姜氏は、朝鮮半島を永世中立化し、米中日ロが集団安全保障体制を築く構想を描いている。またこの中で、日本が積極的な役割を担えば、米国一辺倒のゆがみを矯正できるとしている。「文明の衝突」(サミュエル・ハチントン著)にもあるように、日本は歴史的に強国と寄り添う事で存続してきた「独立した文明」だ。様々なアジアブームが示すとおり、したたかな日本人は既にアジアへのシフトを開始している。日本人が、「欧米シフト」になったのはたかだか南京条約以後でその前の「アジアシフト」の時代のほうがずっと長い。心配なのは、政府機構や官僚機構は常に対応が鈍いことである。
日韓関係において姜氏は、歴史認識を共有する事は不可能とした上で、何故違うか、どこが違うか、を理解しあう為の様々な方策を提案している。伊藤博文と彼を暗殺した安重根の人生を日韓合作の映画にする、というのもその一つだ。伊藤博文を韓国人に、安重根を日本人に、という配役も指定している。是非見たいものだ。
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東北アジア共同の家をめざして 単行本 – 2001/11/1
姜 尚中
(著)
- 本の長さ231ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2001/11/1
- ISBN-104582702341
- ISBN-13978-4582702347
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
21世紀におけるアジアの中の日本はいかにあるべきか。冷戦構造とナショナリズムを超えた東アジアの新たな秩序と日本の取るべき政治の構想力を、気鋭の論者が大胆に提言する。
登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2001/11/1)
- 発売日 : 2001/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 231ページ
- ISBN-10 : 4582702341
- ISBN-13 : 978-4582702347
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,286,149位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 356位アジア・アフリカのエリアスタディ
- - 4,646位国際政治情勢
- - 8,889位政治入門
- カスタマーレビュー:
著者について
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姜尚中(カン サンジュン)
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。
東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史。
著書に『マックス・ウェーバーと近代』、『オリエンタリズムの彼方へ』、『ナショナリズム』、『東北アジア共同の家をめざして』、『日朝関係の克服』、『姜尚中の政治学入門』、『ニッポン・サバイバル』『悩む力』ほか。
共著回編者に『ナショナリズムの克服』、『デモクラシーの冒険』、『在日一世の記憶』ほか。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年5月8日に日本でレビュー済み
私個人は著者の意見に総論としては賛成できる。私自身がおそらくどちらかというと右派を嫌う考えを持っているからだと思う。
朝日新聞を、大変不満だがいちばんマシかな、と購読し、プロ野球の開幕戦を西武ドームに見に行って、国歌斉唱の際に
戸惑って座っていたのが私である。だから、著者とはすごく意見が合うはず…。
だと思ったのですが、結局他の政治家と同様、個人の意見を言っているだけの本だと感じました。
例えば「はじめに」で登場した「内戦は、宗教集団の闘争によって説明されるのではなく、逆に宗教集団は内戦の
結果として現実の存在になったのである」という意見は、確かに宗教闘争を内戦の理由とするよりは有益な意見だろう。
だからといって矢印を逆にしたらそれで終わりではない。しかし、それを断定調で片付け、その意見を前提に「とすれば…」
「つまり…」と議論が続く。それが一冊続くがために有益な意見でも読者に大きな違和感を与えてしまう。
結局、著者は優れているものの、意見の異なる人と歩み寄ろうと言う意識がないと感じた。違った意見を持つ人に配慮する
議論がほとんどないのもそうだ。だから、著者の意見に限りなくシンクロできる人間でない限り、筆者の意見を受け入れられない。
さらに、話が長くて要点が次第にずれていく。途中収録されている中谷元防衛庁長官とのやりとりは面白い。
お互いに意見が全くかみ合わず、質問しても答えがストレートに返ってこない。話が間延びしてぼかされる。
結局何の理解の進展のないまま、議論がないまま「ありがとう」で議論が終わる。これでは右派だの左派だのがそれぞれ
別の道を行くだけだ。終始このような感じで議論が行われ、いい意見を言っていてもかき消されてしまう。
自分の意見を主張するばかりでなく、政治的に違った意見をもつ人間と、しっかりダイアログしようとする意識を持つべきだと考えた。
これでは折角の研究や思考が台無しである。六カ国協議を早くから提唱していたことなど、言っていること自体は
悪くないのだから…。
朝日新聞を、大変不満だがいちばんマシかな、と購読し、プロ野球の開幕戦を西武ドームに見に行って、国歌斉唱の際に
戸惑って座っていたのが私である。だから、著者とはすごく意見が合うはず…。
だと思ったのですが、結局他の政治家と同様、個人の意見を言っているだけの本だと感じました。
例えば「はじめに」で登場した「内戦は、宗教集団の闘争によって説明されるのではなく、逆に宗教集団は内戦の
結果として現実の存在になったのである」という意見は、確かに宗教闘争を内戦の理由とするよりは有益な意見だろう。
だからといって矢印を逆にしたらそれで終わりではない。しかし、それを断定調で片付け、その意見を前提に「とすれば…」
「つまり…」と議論が続く。それが一冊続くがために有益な意見でも読者に大きな違和感を与えてしまう。
結局、著者は優れているものの、意見の異なる人と歩み寄ろうと言う意識がないと感じた。違った意見を持つ人に配慮する
議論がほとんどないのもそうだ。だから、著者の意見に限りなくシンクロできる人間でない限り、筆者の意見を受け入れられない。
さらに、話が長くて要点が次第にずれていく。途中収録されている中谷元防衛庁長官とのやりとりは面白い。
お互いに意見が全くかみ合わず、質問しても答えがストレートに返ってこない。話が間延びしてぼかされる。
結局何の理解の進展のないまま、議論がないまま「ありがとう」で議論が終わる。これでは右派だの左派だのがそれぞれ
別の道を行くだけだ。終始このような感じで議論が行われ、いい意見を言っていてもかき消されてしまう。
自分の意見を主張するばかりでなく、政治的に違った意見をもつ人間と、しっかりダイアログしようとする意識を持つべきだと考えた。
これでは折角の研究や思考が台無しである。六カ国協議を早くから提唱していたことなど、言っていること自体は
悪くないのだから…。
2010年9月23日に日本でレビュー済み
東アジア共同の家をつくるための思想が盛り込まれています
姜尚中先生の最高傑作ではないでしょうか
韓国や中国の情勢を理解するうえでも有益ですし何より中国
がもっとも民主主義的な国になるであろうという予測は的を
得ています
人権を重視する共同体としても人命尊重の精神からしても
これからは中国を中心としてEUのような新たな共同体を
作り上げていくべき時なのではないでしょうか
難しい部分もありますが是非是非多くの人に勧め
姜尚中先生の最高傑作ではないでしょうか
韓国や中国の情勢を理解するうえでも有益ですし何より中国
がもっとも民主主義的な国になるであろうという予測は的を
得ています
人権を重視する共同体としても人命尊重の精神からしても
これからは中国を中心としてEUのような新たな共同体を
作り上げていくべき時なのではないでしょうか
難しい部分もありますが是非是非多くの人に勧め
2006年2月1日に日本でレビュー済み
どちらかというと、私は「右」にシンパシーを、かんじているものであるが、彼の言う言葉に、全面的に賛成である。いわゆる日韓緊密化、統一朝鮮の実現、それを願うのは当然のことであり、横井小楠に「大東邦論」もほぼ同一な物である。また一進会という組織が、右にも、左にも誤解されているようだか、ようは日韓の対等な連合を模索していたのであり、韓国を日本に売り渡さんとしていたのでない。
「親日派」(チニルパ)と呼ばれることは、韓国社会で差別的な扱いをうけるらしい。こういう書を書いたこと自体、姜尚中氏を称えようではないか?
「親日派」(チニルパ)と呼ばれることは、韓国社会で差別的な扱いをうけるらしい。こういう書を書いたこと自体、姜尚中氏を称えようではないか?