約150年前の明治初期、1人のイギリス人女性が、関東から北陸、東北を通ってはるばる北海道まで旅をしました。
イザベラ・バードさんというこの女性、日本人通訳1人と共に悪路を馬で進み、時に嵐の中、川や山や海を越えていきます。まさに外国人版『奥の細道』的紀行文。
彼女の描く明治初期の農村は、決して牧歌的な美しいだけの世界ではなく、赤貧と苦難にあえぐ民衆の暮らしそのものであり、現代の私達からすると隔世の感があります。
しかし貧しい生活にも関わらず、村人達が勤勉で礼儀正しく、チップを固辞して受け取らなかったり、物の売買において不正をしなかったりという日本人の良さが描かれてあり、嬉しくなります。女性が1人旅をしても安全という治安の良さも、素晴らしいなと思いました。
もっとも外国人が珍しかったためか、イザベラさんの宿に見物人が何百人も押し寄せ、障子や壁の穴から覗き見するというエピソードもあり、良いことばかり書いてないのも一興。
紀行文全般を通して、戸惑いながらもフラットな姿勢で日本文化に対峙する彼女の姿が感じられ、私達が異文化に出会う際、大切にすべきことについても考えさせられます。
結局のところそれは「相手をよく知りたい」「なるべくちゃんと理解したい」といった、上質な好奇心かもしれません。イザベラさんの勇気やバイタリティは、同じ女性として尊敬します。
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イメージ付きのレビュー
漫画が面白いので、原作も読んでみた結果
漫画は面白いが演出過多ぽい場面もあり、実際のところはどうだったのかを確かめるために読み始めたが、ページをめくる手が止まらなくなった。メディアでこの旅行記を紹介する時は日本の良いところだけが聞こえてくるが、日本の田舎の不衛生さや貧困さなどもちゃんと記してあり、単に日本を褒めるだけの本じゃなくてホッとしました。Googleマップを片手に行く先々を検索しながら読み進めるのが楽しかったです。中でも、大雨の中で増水した川を渡り峠を超えて青森県のとある町に着いて、そこで観た光景を画像検索した時は感動して目頭が熱くなりました。”たった”150年前の日本…。気になる所だらけで付箋がたくさんです。いずれ、他の翻訳本も読みたいです。
