昔、図書館にリクエストしてハードカヴァーで読みましたが、手元に置いておきたくて購入。
色々な意味で刺激を受ける内容です。
著者は社会学者であり、軍事に精通している訳ではないのですが、それ故、ゲームを変える機械の登場と、
その存在や威力を知りながら無視してしまう、将星たちが生んだ大惨事を生々しく描いています。
図版も面白いですが、WW1の際の仏軍ポスター(機銃陣地ににじり寄る“勇敢な”仏軍ライフル兵)を見る
ためだけでも購入する価値はあると思います
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機関銃の社会史 (平凡社ライブラリー エ 2-1) ペーパーバック – 2008/2/8
発明当初、アフリカ・アジアの植民地の拡大に使用された機関銃は、第一次世界大戦ではより強力な武器として世界史を変えた。軍事技術と社会のかかわりを鋭く追究した名著。
- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2008/2/8
- 寸法1.4 x 11.2 x 16 cm
- ISBN-104582766358
- ISBN-13978-4582766356
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登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2008/2/8)
- 発売日 : 2008/2/8
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 344ページ
- ISBN-10 : 4582766358
- ISBN-13 : 978-4582766356
- 寸法 : 1.4 x 11.2 x 16 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 550,927位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年9月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年7月5日に日本でレビュー済み
機関銃の開発とその実戦への応用、それがもたらした戦争の変容(人間主体から機械主体へ)、さらにはそれが他の兵器にとって代わられていく過程がていねいに描かれている。なかでも、機関銃が最初に実戦に投入されたアメリカ(南北戦争時)が貴族制度が存在せず、軍の上層部に大量殺戮兵器(従来の戦争観の変更を迫り、英雄の存在を不要にするもの)に対する抵抗が少なかった社会であったこと、さらにその後機関銃の標的となったのが(植民地獲得戦争の際の)アフリカの先住民という、当時のヨーロッパ人からすると「人間以下」の存在であったこと、そしてようやく機関銃が本格的に用いられ、大きな成果を挙げたのが第一次世界大戦時の西部戦線で、いわば必要に迫られたものであり、これを契機として戦争が新たなステージに入っていったという説明には非常に説得力がある。
してみれば、機関銃の開発とその実戦活用は、その後の第二次大戦での原子爆弾の使用、さらには、湾岸戦争でのハイテク兵器の大規模動員、そして現在のアフガニスタンでの無人兵器の広範な活用へと至る、戦争の主役が人間から機械へと移行していく道筋の突破口を開いたといえよう。さまざまなことを考えさせてくれる示唆に富んだ一冊である。
してみれば、機関銃の開発とその実戦活用は、その後の第二次大戦での原子爆弾の使用、さらには、湾岸戦争でのハイテク兵器の大規模動員、そして現在のアフガニスタンでの無人兵器の広範な活用へと至る、戦争の主役が人間から機械へと移行していく道筋の突破口を開いたといえよう。さまざまなことを考えさせてくれる示唆に富んだ一冊である。
2008年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は軍事の専門家ではないらしくオタク的な記述がされていないことが
逆に示唆を多く与えてくれる本でした。(逆に物足りなさもあるのですが・・。)
本書とは関係ありませんが機関銃が当時の先鋭的な人々にどう移っていたかはモダニズム、
特に未来派のマリネッティ等をお調べになると面白いと思います。
資料が今ないのですが当時の前衛ダンスにマシンガンを振り付けしたものもあったと
記憶しています・・。さて当時どの国の銃器発明家にも機関銃の発想はありましたが、
始めに工業製品化出来たのはアメリカだけでした。背景はかの国には職人と言う階級が
もとより不在で機械化、自動化する事によってしか需要に応える術がなかったと言うこと
なんですな。これが後々、アメリカの近代化、勃興を支えるきっかけになるのは興味深い
所です。機関銃の開発者がほぼ全てアメリカ人なのも面白い一致でしょう。
フランスのホチキスも実はアメリカ人だったりするのです。本書はガトリングガン、
マキシムマシンガン、ノルデンフェルトマシンガン、ホチキスマシンガンと主に黎明期の
重機関銃の発展、開発と社会がどう受け入れたかが記述されており、専門的な内容に
は触れられていません。後の軽機やサブマシンガンにもさらっと触れられていますが
著者はその位置付けを門外漢なのでもてあましているのが判ってしまうのがちょっと
残念です。ミトレイユーズの記述も著者がそもそもどのような兵器だったかどうも
判っていないのがバレバレですし、日露戦争で日本軍がマキシムを使えなかった背景
を書かなかったのを浅学と言ってしまうのは言いすぎかもしれません。
しかし本書の意義はそんな所にあるのではありません。
第一次大戦で死傷者の80%を機関銃よって生み出したその背景が丁寧に考察されている
のです。当時のニュークリアウェポンたる機関銃は異民族に対してはなんら躊躇される
ことなく使用されていたにもかかわらず白人は自らが白人にそれを向けることを
考えていなかった、考えたくなかった背景を著者は丁寧に読者へ提示していきます。
著者は断定と断罪を避け読者へひたすら無言で背景を提示してくる構成で好感が持てます。
名著です。さらっと読める本なのでご一読をお勧めします。
ここで長いですが名言・・。
「キッチナーの言う一番多い数をとれ。それを二乗して、その答えをさらに2倍にせよ、
その答えがわかったら、念のためその数字をさらに二倍にせよ。」
byロイド・ジョージ(機関銃の増産に乗り気でない軍部に対してのお言葉。)
逆に示唆を多く与えてくれる本でした。(逆に物足りなさもあるのですが・・。)
本書とは関係ありませんが機関銃が当時の先鋭的な人々にどう移っていたかはモダニズム、
特に未来派のマリネッティ等をお調べになると面白いと思います。
資料が今ないのですが当時の前衛ダンスにマシンガンを振り付けしたものもあったと
記憶しています・・。さて当時どの国の銃器発明家にも機関銃の発想はありましたが、
始めに工業製品化出来たのはアメリカだけでした。背景はかの国には職人と言う階級が
もとより不在で機械化、自動化する事によってしか需要に応える術がなかったと言うこと
なんですな。これが後々、アメリカの近代化、勃興を支えるきっかけになるのは興味深い
所です。機関銃の開発者がほぼ全てアメリカ人なのも面白い一致でしょう。
フランスのホチキスも実はアメリカ人だったりするのです。本書はガトリングガン、
マキシムマシンガン、ノルデンフェルトマシンガン、ホチキスマシンガンと主に黎明期の
重機関銃の発展、開発と社会がどう受け入れたかが記述されており、専門的な内容に
は触れられていません。後の軽機やサブマシンガンにもさらっと触れられていますが
著者はその位置付けを門外漢なのでもてあましているのが判ってしまうのがちょっと
残念です。ミトレイユーズの記述も著者がそもそもどのような兵器だったかどうも
判っていないのがバレバレですし、日露戦争で日本軍がマキシムを使えなかった背景
を書かなかったのを浅学と言ってしまうのは言いすぎかもしれません。
しかし本書の意義はそんな所にあるのではありません。
第一次大戦で死傷者の80%を機関銃よって生み出したその背景が丁寧に考察されている
のです。当時のニュークリアウェポンたる機関銃は異民族に対してはなんら躊躇される
ことなく使用されていたにもかかわらず白人は自らが白人にそれを向けることを
考えていなかった、考えたくなかった背景を著者は丁寧に読者へ提示していきます。
著者は断定と断罪を避け読者へひたすら無言で背景を提示してくる構成で好感が持てます。
名著です。さらっと読める本なのでご一読をお勧めします。
ここで長いですが名言・・。
「キッチナーの言う一番多い数をとれ。それを二乗して、その答えをさらに2倍にせよ、
その答えがわかったら、念のためその数字をさらに二倍にせよ。」
byロイド・ジョージ(機関銃の増産に乗り気でない軍部に対してのお言葉。)
2002年9月18日に日本でレビュー済み
機関銃の果たした役割が大きかったらしいことは、薄々知っていた。銃剣突撃が無力になって、大損害を出したという類いのこと。
本書では、機関銃の原理、いろいろな形式が詳細に述べられる。「機関銃」でなく、ガトリング、マクシム、ブラウニング、ノルデンフェルトなど固有名詞で語るリアリティーが圧倒的な質感を持つ。歴史では、こうしたリアリティーが重要だ。
そのうえで、「機関銃が使われなかったら、イギリスの南アフリカ会社はローデシアを失っていただろうし・・・」の記述は、深く納得する事ができるのだ。
まことに「マクシムがいなければ、その後の世界史の歴史は、だいぶ変わっていたはずだ」。
本書では、機関銃の原理、いろいろな形式が詳細に述べられる。「機関銃」でなく、ガトリング、マクシム、ブラウニング、ノルデンフェルトなど固有名詞で語るリアリティーが圧倒的な質感を持つ。歴史では、こうしたリアリティーが重要だ。
そのうえで、「機関銃が使われなかったら、イギリスの南アフリカ会社はローデシアを失っていただろうし・・・」の記述は、深く納得する事ができるのだ。
まことに「マクシムがいなければ、その後の世界史の歴史は、だいぶ変わっていたはずだ」。
2018年7月17日に日本でレビュー済み
19世紀後半、華々しくも恐ろしくデビューした「機関銃」。その成立から発展の社会史です。
たくさんのレヴューがありますから、焦点をしぼって面白かった部分を。
面白いなあと感じたのは、発明・各国への売り込み・不採用、の繰り返し歴史部分。
画期的であった「ガトリング砲」も発明当初は全く見向きもされず、ようやくにして売れ始めたのは、「南北戦争」だったこと。
それも、戦争当事者のアメリカ人が貴族ではなかったからという指摘のおもしろさ。
ガトリングの後、19世紀末に相次いで誕生した、マキシム、ホチキス、ブローニングなどの機関銃はヨーロッパでは全く売れない。
なぜか?
著者の主張はこうです。
軍は、連綿と続く貴族・上流階級たちの独壇場であり、士官は「古きよき伝統」を守る最後の砦であった。
軍の決戦思想は、歩兵が銃剣を連ねて突撃して雌雄を決する白兵思想であり、戦争の美学にまで高められていた。
機関銃は、「古きよき伝統」を破壊し、貴族階級の存在を脅かす産業革命の産物であり労働者階級の象徴でもあった。
だからこそ、軍はかたくなに機関銃の導入を拒否してきた。と。
しかしそんな中、機関銃に対する抵抗感も持たず積極導入する国もあった。それがロシアであり、日本であった。
「日露戦争」 特に旅順攻略の一連の塹壕戦は、ロシア軍のマキシム機関銃の威力をまざまざと見せつけ、ベトンで固められたトーチカから放たれた弾幕は日本兵の屍を築き上げた。
日本軍は、軽量なホチキス機関銃を大量装備してこれに対抗し、白兵思想に機関銃をうまく取り入れ運用した。トーチカの銃眼に機関銃を連射し、その隙に突撃するという運用を。
日露戦争を観戦したヨーロッパ各国の武官は、ここで初めて「機関銃」の有用性、(防御戦・攻撃戦での有用性)もはや無視することのできない技術革新を目の当たりにする。
これを、さっそく軍装備に反映したのは、しかしドイツ帝国だけで、フランス・大英帝国は依然「古きよき伝統」にしがみつき、装備を拒否する。
文は平易で読みやすいです。ただ叙述はあまり「社会科学的」ではなく、どちらかというと「文学的」な書き方をされていて、好みが分かれると思います。
それでも、機関銃を通して当時の社会文化を見るという試みはおもしろく、一読の価値はあると思います。
たくさんのレヴューがありますから、焦点をしぼって面白かった部分を。
面白いなあと感じたのは、発明・各国への売り込み・不採用、の繰り返し歴史部分。
画期的であった「ガトリング砲」も発明当初は全く見向きもされず、ようやくにして売れ始めたのは、「南北戦争」だったこと。
それも、戦争当事者のアメリカ人が貴族ではなかったからという指摘のおもしろさ。
ガトリングの後、19世紀末に相次いで誕生した、マキシム、ホチキス、ブローニングなどの機関銃はヨーロッパでは全く売れない。
なぜか?
著者の主張はこうです。
軍は、連綿と続く貴族・上流階級たちの独壇場であり、士官は「古きよき伝統」を守る最後の砦であった。
軍の決戦思想は、歩兵が銃剣を連ねて突撃して雌雄を決する白兵思想であり、戦争の美学にまで高められていた。
機関銃は、「古きよき伝統」を破壊し、貴族階級の存在を脅かす産業革命の産物であり労働者階級の象徴でもあった。
だからこそ、軍はかたくなに機関銃の導入を拒否してきた。と。
しかしそんな中、機関銃に対する抵抗感も持たず積極導入する国もあった。それがロシアであり、日本であった。
「日露戦争」 特に旅順攻略の一連の塹壕戦は、ロシア軍のマキシム機関銃の威力をまざまざと見せつけ、ベトンで固められたトーチカから放たれた弾幕は日本兵の屍を築き上げた。
日本軍は、軽量なホチキス機関銃を大量装備してこれに対抗し、白兵思想に機関銃をうまく取り入れ運用した。トーチカの銃眼に機関銃を連射し、その隙に突撃するという運用を。
日露戦争を観戦したヨーロッパ各国の武官は、ここで初めて「機関銃」の有用性、(防御戦・攻撃戦での有用性)もはや無視することのできない技術革新を目の当たりにする。
これを、さっそく軍装備に反映したのは、しかしドイツ帝国だけで、フランス・大英帝国は依然「古きよき伝統」にしがみつき、装備を拒否する。
文は平易で読みやすいです。ただ叙述はあまり「社会科学的」ではなく、どちらかというと「文学的」な書き方をされていて、好みが分かれると思います。
それでも、機関銃を通して当時の社会文化を見るという試みはおもしろく、一読の価値はあると思います。
2009年2月6日に日本でレビュー済み
機関銃が発明されてから普及していくにしたがって世間の目がどうゆう風に代わって言ったかを知るにはよい資料になります。しかしヨーロッパ各国において普及が進まなかった原因を軍隊の保守主義だけで説明しているのは少々説明不足だと思います。
この本の中でも触れているように当時は科学技術と工業の発達速度がすざましい時代であり軍事関係の技術も飛躍的に発達していました。
そのため軍には機関銃以外にも導入すべきものが多くあり(特に軽量化と射程の延長が同時におきていた大砲)、機関銃の調達の優先順位が下がっていたことも説明しておくべきだったのではないかと思います。
よって星四つ評価。
この本の中でも触れているように当時は科学技術と工業の発達速度がすざましい時代であり軍事関係の技術も飛躍的に発達していました。
そのため軍には機関銃以外にも導入すべきものが多くあり(特に軽量化と射程の延長が同時におきていた大砲)、機関銃の調達の優先順位が下がっていたことも説明しておくべきだったのではないかと思います。
よって星四つ評価。
2003年8月15日に日本でレビュー済み
19世紀に機関銃が登場したとき、ある人はこの兵器のあまりの強力さにより戦争は無くなるだろうと予言したということである。
実際はかつてない大量殺戮の時代をむかえたわけだが、この考え方は後の「核抑止論」のはしりであると考えると、現代はまったく恐ろしい時代になったものだと改めて認識しないわけにはいかない。
また、機関銃が登場してかなりの期間、西欧の軍隊ではこの新兵器がいままでの戦い方を根本的に変えてしまうということを容易には認めたがらなかった歴史が存在した。
北米や朝鮮で機関銃が戦争の局面を大きく変えたことを知っても、当時の西欧の軍隊のありようや、歪んだ人間中心主義的な考え方が「戦争は勇猛果敢な訓練された人間の突撃のみが勝敗を決する」との認識を第1次世界大戦に入るまで変えることがなかった。
だが、どんなに勇敢な兵士であっても、機関銃の前では無力だということが「西欧の戦争」第1次世界大戦で実証されると、おびただしい数の機関銃が製造され、多くの人間が兵士として戦場に送り出され死んでいった。
それから、機関銃に対抗する手段として戦車が発明され、さまざまな殺戮機械が怒濤のように造られる時代に変わっていく…
実際はかつてない大量殺戮の時代をむかえたわけだが、この考え方は後の「核抑止論」のはしりであると考えると、現代はまったく恐ろしい時代になったものだと改めて認識しないわけにはいかない。
また、機関銃が登場してかなりの期間、西欧の軍隊ではこの新兵器がいままでの戦い方を根本的に変えてしまうということを容易には認めたがらなかった歴史が存在した。
北米や朝鮮で機関銃が戦争の局面を大きく変えたことを知っても、当時の西欧の軍隊のありようや、歪んだ人間中心主義的な考え方が「戦争は勇猛果敢な訓練された人間の突撃のみが勝敗を決する」との認識を第1次世界大戦に入るまで変えることがなかった。
だが、どんなに勇敢な兵士であっても、機関銃の前では無力だということが「西欧の戦争」第1次世界大戦で実証されると、おびただしい数の機関銃が製造され、多くの人間が兵士として戦場に送り出され死んでいった。
それから、機関銃に対抗する手段として戦車が発明され、さまざまな殺戮機械が怒濤のように造られる時代に変わっていく…