秋田県で幼児二人を殺害した罪で逮捕された畠山鈴香の事件発生から逮捕、裁判の様子を語る。
事件の起きた秋田県は人口減少が著しい過疎地帯であり、畠山鈴香が住む場所も例外ではない。
鈴香の家庭環境で問題なのは父親の暴力である。トラック運転手の父親は酒に酔ったり機嫌が悪いと鈴香や母親に暴力を振るい、それが鈴香には恐怖だった。
小・中・高校と成績は中と言う感じで目立つ生徒ではなく、暗い印象で同級生たちからは疎外されていた。
高校時代にはバトミントン部であったが、教師の机の上に置かれていたお金を盗んで停学になっていた。
卒業が危ぶまれたが、何とか卒業はして就職する。実家を離れて鬼怒川温泉の旅館では働いたが、父親の支配から逃れられずに故郷に呼び戻される。やがて年下の恋人ができて結婚して後に殺害する女の子が生まれたが、夫の借金と女性問題、さらには育児をしないなどが理由で離婚してしまう。
シングルマザーになってから団地で母子家庭の二人暮らしだったが、職を転々とする。
借金を背負っており、自由に働けず八方塞がりの中で娘にせがまれて橋の上から魚を見に行って、そのまま娘を川に突き落としたというのが事件の様相だ。
が、鈴香は何故かその事を忘れてしまい、娘が行方不明になったとして警察に連絡し、後日川の下流で娘は水死体として発見されたが「事故」として処理されて事件としては扱われなかった。
つまり「警察の捜査ミス」が明確にあったのだが、警察がそれに気が付いたのは鈴香が娘の友達の男の子を殺害した後のことである。それが無ければ事故として処理されて終わってしまっていた。
それは鈴香には都合が良かったはずだが、何故か彼女は警察の捜査が怠慢だと周囲に漏らして、自らビラを作成して娘の死の謎を解くような活動を開始する。
その過程で、娘の友達だった男の子を自宅に誘い込み、娘が死んだのに何故この子は生きているんだというような嫉妬にも似た気持ちが芽生えて衝動的に男の子を絞殺し、死体を河原に遺棄した。
・・・・・こうして経過を整理しても鈴香が何故子供二名を殺害したのかよく理解できないだろう。
自分の娘は「シングルマザーで自身の体調が悪く、借金も抱えて八方塞がりの中で、娘が邪魔になった末の犯行」と考えれば理解できなくもないが、その後に何故娘の仲良くしていた友達の男の子まで殺害したのかがよく理解できずに戸惑うだろう。
全編を読んでも最後までこの点については理解できないまま終わるのだが、警察の取り調べも前述のように初動捜査からミスをしているにも関わらず、精神的・肉体的圧迫を鈴香に加えて自白を引き出そうとするなどまともなものではない。
鈴香についた弁護士二名も刑事事件を担当した経験が浅く、終始検察側に押されっぱなしという印象がしてしまって鈴香には不利なことが多かった。
裁判の様子だけはやたら詳しく描写しているが、そもそも鈴香自身も何故子供二人の命を奪ってしまったのかよく理解できておらず、記憶も曖昧な点が多いので満足な回答は得られないまま判決が下った。
マスコミの過剰報道や警察の違法捜査などの問題を端々に孕んでいるのは分かったのだが、肝心の事件の核心についてはこの本を読んでも「よく分からなかった」というのが読者の本音になることだろう。
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橋の上の「殺意」: 畠山鈴香はどう裁かれたか 単行本 – 2009/6/1
鎌田 慧
(著)
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2009/6/1
- ISBN-104582824528
- ISBN-13978-4582824520
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登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2009/6/1)
- 発売日 : 2009/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 318ページ
- ISBN-10 : 4582824528
- ISBN-13 : 978-4582824520
- Amazon 売れ筋ランキング: - 780,399位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 98,671位社会・政治 (本)
- カスタマーレビュー:
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2021年12月5日に日本でレビュー済み
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2023年5月10日に日本でレビュー済み
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極刑とは何だろか?死刑か無期懲役(仮保釈無し)か。はたまた色々な精神障害があるのだなとも。今の時代、誰がなってもおかしく無い。明日の畠山鈴香は貴女かも知れない。
2015年6月3日に日本でレビュー済み
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畠山鈴香がどういう子供時代を経てきたのか、綾香ちゃんを少しは可愛いと思って育てていたのか知りたくて買いました。
事件後に出た鈴香に対する噂(男が来ると綾香ちゃんを締め出す、綾香ちゃんはお風呂もろくに入れてもらえなかった、など)を著者は否定しているが、その根拠も示していないし、何より擁護し過ぎている感がある。
朝起きられない鈴香。
綾香ちゃんの朝食はコンビニ弁当かカップ麺。
しかしそれは前日から準備してあったものだ、という箇所を読んだ時、ダメだこりゃ。と思いましたね。
その逆に、米山さんに関する記述はなぜか批判的な気持ちが見え隠れしているように思える。
裁判に出廷する時「いつも喪服のような黒いスーツ」
それのどこが悪いんですか?
大事な子供をわけもわからず殺されたんですよ、その裁判に出るのに喪に服すような服を着てくるのはごく当たり前だと思うんですが。
綾香ちゃんが亡くなったあと、豪憲君と綾香ちゃんが遊んでいるビデオを鈴香にあげたことが、鈴香が豪憲君を殺害したきっかけになったようなことも書いてあり、違和感を覚えた。
そしてところどころに唐突に出てくる自民党と安部批判。
そして絶対出ると思った死刑反対論。
この著者は年齢から言っても極左なんだな、と思いました。
買うんじゃなかった。
内容がどうのより、この著者が自分の本が売れたことで自分の思想が受け入れられたと勘違いすることがイヤです。
事件後に出た鈴香に対する噂(男が来ると綾香ちゃんを締め出す、綾香ちゃんはお風呂もろくに入れてもらえなかった、など)を著者は否定しているが、その根拠も示していないし、何より擁護し過ぎている感がある。
朝起きられない鈴香。
綾香ちゃんの朝食はコンビニ弁当かカップ麺。
しかしそれは前日から準備してあったものだ、という箇所を読んだ時、ダメだこりゃ。と思いましたね。
その逆に、米山さんに関する記述はなぜか批判的な気持ちが見え隠れしているように思える。
裁判に出廷する時「いつも喪服のような黒いスーツ」
それのどこが悪いんですか?
大事な子供をわけもわからず殺されたんですよ、その裁判に出るのに喪に服すような服を着てくるのはごく当たり前だと思うんですが。
綾香ちゃんが亡くなったあと、豪憲君と綾香ちゃんが遊んでいるビデオを鈴香にあげたことが、鈴香が豪憲君を殺害したきっかけになったようなことも書いてあり、違和感を覚えた。
そしてところどころに唐突に出てくる自民党と安部批判。
そして絶対出ると思った死刑反対論。
この著者は年齢から言っても極左なんだな、と思いました。
買うんじゃなかった。
内容がどうのより、この著者が自分の本が売れたことで自分の思想が受け入れられたと勘違いすることがイヤです。
2020年1月23日に日本でレビュー済み
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具体的な内容が薄いね
2017年12月19日に日本でレビュー済み
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精神科の抗精神病薬を服用してところどころで記憶が途切れる、有り得る事ですが、都合良く使っている感じです。
事故死任意の保険に入っていればお金が入りますが生活保護なので入っていないでしょう、殺人事件の場合は確か1000万円以上の見舞金が支払われます、お金が欲しかったのだと思います、無期懲役を打たれていますので。30年以上経過しないと100%保釈はありません。
事故死任意の保険に入っていればお金が入りますが生活保護なので入っていないでしょう、殺人事件の場合は確か1000万円以上の見舞金が支払われます、お金が欲しかったのだと思います、無期懲役を打たれていますので。30年以上経過しないと100%保釈はありません。
2014年12月8日に日本でレビュー済み
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筆者が畠山鈴香の生い立ちや精神疾患を、他のメディアや検察、裁判官より多角的に見ることによって事件像を明らかにしようという姿勢に強い共感を覚えました。ただ、全体的にやや情報不足な感じがしました。彼女についてこれまで公になっていなかった面をこの本で見て考えてみたいという欲求があったのですが、読後は少し不完全燃焼な感触が残りました。
2015年6月7日に日本でレビュー済み
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畠山鈴香は当時週刊誌に出ていたような、鬼畜では無い事が分かった。それでも殺人は絶対に許されないが、自分の意志とは違うものが働いて
殺人を犯してしまう事もあるのかもしれないと思った著書だった。
殺人を犯してしまう事もあるのかもしれないと思った著書だった。
2013年11月28日に日本でレビュー済み
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この事件から先、毎日のようにワイドショーなどで取り上げられたが、裁判の様子などを知りたくなり、読みました。
これより以前に、「大阪二児置き去り死事件」「ネグレクト・育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか」を読んでいましたが、なんとなく、自身の子供を死なせてしまったり、そして、畠山被告のように、さらに近所の子供さんを手にかけてしまう母親たちの、共通した「過去」には、ほんの少しの同情も感じますが、世の中は複雑になり、貧富の差も激しくなり、小さなお子さんだけでなく、虐待・誘拐・殺人…などが、日本でも日々行われ、その犯人は、うつ病や神経症など、「心の病」で、通院していたりもします。
人は、多かれ少なかれ、生い立ちにも、過去の人生にも、耐え難い傷を受けているものです。
そんな状態だったから、といって刑が減刑される日本は、まだ「緩い」のかな、とも思います。
「人の命を奪ったら、自分の命で償え」については、自身で答えが出せていませんが、極刑にせず、被告の一生をもって償わせるという量刑のがつらいこともあると思います。
ただ、最近、いつも感じているのは、この世に生を受けてから間もない子供さんが、理不尽に命を奪われ、もう何も言えない姿になってしまったのに、被告が、心の病だから、などの理由から守られている、と感じることが増えていることには、哀しみや怒りを感じます。
確かに、たいていの人間は、犯行時、通常の状態ではないのでしょうけれど、この事件のように、まだこれから長い年月を生きることのできたお子さんらのために、うやむやのうちに裁判が進み、刑が確定してしまうことは、避けて欲しいです。
被告の過去が、悲惨だったとしても、ひとの命を奪って良いことにはならないと、思います。
被告には、一生をかけて、償ってほしい。
二児童のご冥福を祈ります。
これより以前に、「大阪二児置き去り死事件」「ネグレクト・育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか」を読んでいましたが、なんとなく、自身の子供を死なせてしまったり、そして、畠山被告のように、さらに近所の子供さんを手にかけてしまう母親たちの、共通した「過去」には、ほんの少しの同情も感じますが、世の中は複雑になり、貧富の差も激しくなり、小さなお子さんだけでなく、虐待・誘拐・殺人…などが、日本でも日々行われ、その犯人は、うつ病や神経症など、「心の病」で、通院していたりもします。
人は、多かれ少なかれ、生い立ちにも、過去の人生にも、耐え難い傷を受けているものです。
そんな状態だったから、といって刑が減刑される日本は、まだ「緩い」のかな、とも思います。
「人の命を奪ったら、自分の命で償え」については、自身で答えが出せていませんが、極刑にせず、被告の一生をもって償わせるという量刑のがつらいこともあると思います。
ただ、最近、いつも感じているのは、この世に生を受けてから間もない子供さんが、理不尽に命を奪われ、もう何も言えない姿になってしまったのに、被告が、心の病だから、などの理由から守られている、と感じることが増えていることには、哀しみや怒りを感じます。
確かに、たいていの人間は、犯行時、通常の状態ではないのでしょうけれど、この事件のように、まだこれから長い年月を生きることのできたお子さんらのために、うやむやのうちに裁判が進み、刑が確定してしまうことは、避けて欲しいです。
被告の過去が、悲惨だったとしても、ひとの命を奪って良いことにはならないと、思います。
被告には、一生をかけて、償ってほしい。
二児童のご冥福を祈ります。