プロレタリア文学、というと、学校の文学史で「読まねばならない資料」として学んだ記憶しかない。
その時点で「しんどそう」と敬遠してしまっていたのだが、荒俣さんの手にかかると、これがすこぶる面白い。
深い文学的素養があるからこそ、だが・・・見どころ、読みどころ、面白どころ(!)を、なかなか手に入らないような資料も含めて、
「ねえねえ、どうよどうよ、これいいじゃない?」という気軽さで示してくれる。
研究者的な観点からではなく、ごく普通の一般市民が読んで面白いかどうか、という目で丸ごと本を読み直してくれた上での
新鮮なガイドブックになっているのだ。
人間そのもの、を、真剣に真面目にリアリスティックに見つめれば見つめるほど、その滑稽さや悲哀が際立って見えてくる。
そこにドラマが生まれる、という真実を図らずも露わにしてしまうところに、現代の私たちをひきつける魅力が宿っているのかもしれない。
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プロレタリア文学はものすごい (平凡社新書 57) 新書 – 2000/10/1
荒俣 宏
(著)
プロレタリア文学は、そのシリアスな主題と裏腹の痛快な面白さを秘めていた。なぜ今頃プロレタリア文学を?とお思いの方も、一読すれば目からウロコが落ちる、楽しい文学ガイド。
- 本の長さ258ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2000/10/1
- ISBN-10458285057X
- ISBN-13978-4582850574
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登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2000/10/1)
- 発売日 : 2000/10/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 258ページ
- ISBN-10 : 458285057X
- ISBN-13 : 978-4582850574
- Amazon 売れ筋ランキング: - 460,609位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 428位平凡社新書
- - 81,310位ノンフィクション (本)
- - 126,212位文学・評論 (本)
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2015年2月15日に日本でレビュー済み
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2013年9月4日に日本でレビュー済み
博覧強記の荒俣宏さんによるプロレタリア文学ガイド本です。
プロレタリア文学というと、虐げられた労働者や貧者の塗炭の苦しみを扱った文学なのだから、書き手の抱えた現実に配慮して真面目に読まねばならないという先入観がありました。
しかし本書を読んで、かの文学に関する見方が変わりました。前述のような作品もある反面、そうでもない・・・実に人間臭い多種多様な作品も沢山あったのだということを初めて知りました。また西洋近代文学との奇妙な符合性を読み説くあたりは非常に面白い。
これからは気楽に堂々とプロレタリア文学を読みたいと思いました。
プロレタリア文学というと、虐げられた労働者や貧者の塗炭の苦しみを扱った文学なのだから、書き手の抱えた現実に配慮して真面目に読まねばならないという先入観がありました。
しかし本書を読んで、かの文学に関する見方が変わりました。前述のような作品もある反面、そうでもない・・・実に人間臭い多種多様な作品も沢山あったのだということを初めて知りました。また西洋近代文学との奇妙な符合性を読み説くあたりは非常に面白い。
これからは気楽に堂々とプロレタリア文学を読みたいと思いました。
2004年2月22日に日本でレビュー済み
たまに図書館に行くと、相変らず、装丁が同じ日本文学全集が並んでいます。有名な巨匠と並んで、複数のもう忘れ去られたであろう作家数人がその狭い背表紙に並んでいるものもあります。この忘れ去られた作家の代表がいわゆるプロレタリア文学です。この忘れ去られた文学を、プロパガンダとしてではなく、現代にもう一度”作品”として呼び起こすためには、荒俣さんのように、プロレタリア文学を”公共的なホラー小説、変態小説、ポルノ小説(233ページ)”と捉えるアプローチしかありえないのでしょうね。また現代の厳しい出版事情では、これらの作品は、このような形でしか、取り上げることが許されないのかもしれません。この中で取り上げられているものは、有名なものから、もはや作品としても忘れ去られたものまで、多数含まれています。”24の瞳”や”平林たい子”の部分は特に、参考になります。著者の結論は、”正直なコミュニストにとっては、闘いの連続でとても文学なぞ書いている暇はなかった”ですが、つまるところ、この文学も、時代の流行の最先端を行く人々の一種の知的fadだったのでしょうね。そうであるとすると、世紀末フランスのデカダンス文学との強い関連も納得が行きます。ともあれ、読んでみてください。
2000年12月15日に日本でレビュー済み
博学の人、荒俣さんが、プロレタリア文学について書いた本。荒俣さんはプロ文の研究者ではありませんが、現代のプロレタリア文学研究が課題としている問題に鋭く関わる読み方を、しかもものすごく面白く書いている。プロレタリア文学に興味を持つ人が増えるのは、たいへん喜ばしく思います。
2021年4月9日に日本でレビュー済み
労働運動を宣揚し、虐げられ搾取される生ける屍労働者の実態をリアリズムに徹して描写するという公式的プロレタリア文学の見解に対して、作者はプロレタリア文学は〈ホラー小説〉〈探偵小説〉〈セックス小説〉〈SF〉〈立川文庫〉だったというテーゼを掲げ、従来の常識に果敢に挑む。そして、その試みはかなりの説得力を持って成功しているようだ。暗くて陰惨なプロレタリア文学も見方を変えれば、こんなに愉快な?ものなのかと刮目させられる。更には、『夜明け前』を論じ志賀直哉論を展開する。ホラーのルーツ「グラン・ギニョール」の紹介をするに至っては些か食傷の気味さえある。ことほど作者荒俣宏の博覧強記が随所に炸裂している作品である。