平凡パンチやデラパン、アンアンなどの創刊時に編集者として関わった筆者が1960年代後半当時の雑誌編集現場のドタバタを記述している。帯のコピーにあるとおり「人も、時代も、雑誌もなにもかもが面白かった」、そして良くも悪くも大雑把だったことが伝わってくる。おなじ著者の『「アンアン」1970』も併せて読むといっそう楽しめる。
多くの芸能人、作家、クリエイターが、平凡パンチや平凡出版の編集部と関わりがあることに驚いた。この本の舞台だけでも、岡田眞澄、高田賢三、伊丹十三、横尾忠則、小川ローザなどが「普通に」登場してくる。
個人的な発見は、フランスの日本語ミニコミ紙OVNIの前身「いりふねでふね」の制作で使われていた和文タイプライターが、平凡出版の清水達夫がアンアンのアートディレクターだった堀内誠一に預けて手荷物として持ち込まれたものだった、ということ。このミニコミ紙を立ち上げたベルナール・ベローが日本留学中に清水家でホームステイをしていた縁だそうだ。もうひとつ、アンアンの誌名はジャンヌだったかもしれなかったというのも初耳だった。商標がすでに抑えられていたために使えなかったという。
すらすらと楽しんで読める新書なので、通勤電車内での読書には手頃な一冊だと思われる。
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平凡パンチ1964 (平凡社新書 239) 新書 – 2004/9/1
赤木 洋一
(著)
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何より時代が面白かった。そして雑誌も、人も。『平凡パンチ』創刊に新人編集者として参加し、沸騰する文化の渦に飛び込んでいった著者が描く、めくるめく60年代クロニクル。
- 本の長さ279ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2004/9/1
- ISBN-104582852394
- ISBN-13978-4582852394
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著者について
1936年満州奉天市(現中国東北部瀋陽市)生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業。64年平凡出版(現マガジンハウス)入社。『平凡パンチ』、『平凡パンチデラックス』、『アンアン』の創刊スタッフを務める。『アンアン』編集長、広告局次長、『ハナコウエスト』編集長、大阪支局長などを経て、98年代表取締役社長、2002年退任。
登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2004/9/1)
- 発売日 : 2004/9/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 279ページ
- ISBN-10 : 4582852394
- ISBN-13 : 978-4582852394
- Amazon 売れ筋ランキング: - 750,691位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2016年3月8日に日本でレビュー済み
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2008年2月24日に日本でレビュー済み
著者の思い出話だけなのだが、
やはり雑誌の勃興期のお話はおもしろい。
やはり雑誌の勃興期のお話はおもしろい。
2005年2月10日に日本でレビュー済み
つい先日のできごと。雑誌の山ごとアパートの部屋が落下。50代男性も一緒に。多分その中には1960~70年代の「平凡パンチ」「プレイボーイ」等があったのでしょう。さて、本書はパンチ創刊から廃刊までの詳細な記録です。それにしても、私たち団塊の世代の上の人たちは頭が良かった。「少年サンデー・マガジン」で小学生の私たちを虜にし、学生帽、学生服、トレパンの高校生に衝撃を与え、「メンクラ」「アン・ノン」へ....。彼らの戦略が随所に読み取れます。
また、筆者の記憶力と人脈のすごさに圧倒されます。人とのつながりだけで時代を切り拓いていった感じがします。読後、本書に登場する人物の周辺をひもとくだけでも、沢山のストーリーを楽しめる、一粒で二度も三度もおいしい。ひろがりのある良書、抜群のコストパフォーマンス。団塊の世代へ特におすすめです。
また、筆者の記憶力と人脈のすごさに圧倒されます。人とのつながりだけで時代を切り拓いていった感じがします。読後、本書に登場する人物の周辺をひもとくだけでも、沢山のストーリーを楽しめる、一粒で二度も三度もおいしい。ひろがりのある良書、抜群のコストパフォーマンス。団塊の世代へ特におすすめです。
2014年10月22日に日本でレビュー済み
1960年代の日本は今から考えるとあまりも海外の文化が眩しく、何とか文化を創り出そうとエネルギーにあふれていた時代だった。週に一回、本屋でこの平凡パンチと動物の写真に見えるプレイボーイを立ち読みで見るのが楽しみだった。
買うだけの財力と勇気がなく、この雑誌が発信する文化が強烈なパワーであった。
勿論、時代の要請と文化のマンネリにより廃刊となるのだけれどとても文化的にも楽しい雑誌であった。
ポケットパンチなど神田神保町の古本屋で見かけるが、懐かしいなあ と思ってしまう。
ヨタ八、ホンダのs800などとともに是非語り継がれて行く水準のものである。
買うだけの財力と勇気がなく、この雑誌が発信する文化が強烈なパワーであった。
勿論、時代の要請と文化のマンネリにより廃刊となるのだけれどとても文化的にも楽しい雑誌であった。
ポケットパンチなど神田神保町の古本屋で見かけるが、懐かしいなあ と思ってしまう。
ヨタ八、ホンダのs800などとともに是非語り継がれて行く水準のものである。
2005年2月10日に日本でレビュー済み
「平凡パンチ」を開いてみたこともなく、1960年代に青春時代を送った訳でもないけど、ふと手にとってみた。
案の定、当時の風俗描写を読んでもちんぷんかんぷん。
にも関わらず、何か圧倒的な迫力や時代の風を感じた。
週刊誌「平凡パンチ」に始まり、隔月誌「平凡パンチデラックス」へ移行し、やがて女性誌へと変遷していく著者の編集人生のなかでの、各界の雄との出会いと別れがふんだんに散りばめられている。それほど刺激に満ちた時代だったのだろう。また、日本の雑誌が右開きでなければならないこと、海外との写真の規格の違い、雑誌作りにおける欧米との概念そのものの違いなどは素人にも興味深い。
それらが、赤木氏のバイオグラフィーと共に織り込まれている。
決して感傷的に傾くことなく綴られているし、知らない時代の知らない面影なのに微かな胸の疼きを感じずにはいられなかった。
案の定、当時の風俗描写を読んでもちんぷんかんぷん。
にも関わらず、何か圧倒的な迫力や時代の風を感じた。
週刊誌「平凡パンチ」に始まり、隔月誌「平凡パンチデラックス」へ移行し、やがて女性誌へと変遷していく著者の編集人生のなかでの、各界の雄との出会いと別れがふんだんに散りばめられている。それほど刺激に満ちた時代だったのだろう。また、日本の雑誌が右開きでなければならないこと、海外との写真の規格の違い、雑誌作りにおける欧米との概念そのものの違いなどは素人にも興味深い。
それらが、赤木氏のバイオグラフィーと共に織り込まれている。
決して感傷的に傾くことなく綴られているし、知らない時代の知らない面影なのに微かな胸の疼きを感じずにはいられなかった。
2004年10月16日に日本でレビュー済み
昔はよかった、なんてよく言うようになっては人間お終いなのだが、しかし、やっぱり、ユニークで元気な時代だったんですね~、と思わず言いたくなるようなエピソードが満載の本ではある。
男性向け週刊誌というそれまでなかったジャンルへの挑戦。そういうと堅苦しいのだが、その内実としてはばかばかしくておもしろい。編集部員と野坂昭如が飲んでいる席での思いつきから生まれた、五味康祐のマージャン道場。新しいこと、前例が無いことは、やるべきこと、楽しいことだったのだ。
60年代のマガジンハウス(当時は平凡出版)は、マーケティングがどうのこうの、といったリクツでばかり雑誌が作られているいまとは随分様子が違っていたんだな。
男性向け週刊誌というそれまでなかったジャンルへの挑戦。そういうと堅苦しいのだが、その内実としてはばかばかしくておもしろい。編集部員と野坂昭如が飲んでいる席での思いつきから生まれた、五味康祐のマージャン道場。新しいこと、前例が無いことは、やるべきこと、楽しいことだったのだ。
60年代のマガジンハウス(当時は平凡出版)は、マーケティングがどうのこうの、といったリクツでばかり雑誌が作られているいまとは随分様子が違っていたんだな。
2004年9月17日に日本でレビュー済み
日本の黄金時代を1965年から1974年とした場合の、その嵐の中を、今はなき平凡パンチの編集にかかわる形で駆け抜けた著者の1960年代グラフィティです。ここに見られるのはそれまでにない大衆文化の媒体を作り出すことで時代を駆け抜けたさまざまなパーソナリティの群像です。さまざまな才能の持ち主が、海外から一呼吸送れて入ってくる情報をベースとして、工夫を凝らして最先端の新しい雑誌を作り出していく姿がさまざまな当時の有名人との絡みの仲で描かれています。ただ自らが生み出したものが、作成者を越えて、自己運動を繰り広げ、最後には当初は最先端に見えたものを時代遅れにしてしまうパラドックスはここにも当てはまります。それはこのなかで出てくる当時の最先端のプレースポットにも例外なくあてはまります。そして、この回顧録も1969年の時点で終了する形になっています。当時海外でも人気のあったホンダS800を駆っての、著者のヨーロッパドライブ紀行は一読の価値があります。ところで180ページの写真を見る限りでは、どう見てもワルサーPPKではなくワルサーP38(?)に見えるんですけど。