大学の授業というのはひどいもので、わけがわからない、役に立たない、つまらないと、散々非難されている。東大でもそれは同じであり、なまじ教授も学生も自意識が過剰なため、「他人のために」というサービス精神が欠けているのが現状だ。
そんな中で、著者の石浦先生は、東大の授業を良くしたいと思っている数少ない東大教授の1人である。教養学部の仕組みから始まり、H13年度から始まった授業評価、そしてその結果及び考察と本書は進む。
内容的には、少々物足りないというかデータが少ない。平均値などの加工済みのデータしかないため、読者がデータを考察する余地はほとんどない。本書を読んだだけで、東大の授業を定性的に評価することはほとんど不可能であろう。
むしろ、東大教授のエッセイ、授業改善への記録として読むと、面白い。データは、文章のためのおまけのようなものである。
大学の授業、そして大学教育のあり方に疑問を持っている教授の奮闘記、それが本書である。
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東大教授の通信簿: 「授業評価」で見えてきた東京大学 (平凡社新書 263) 新書 – 2005/3/1
石浦 章一
(著)
東大教養学部で学生による授業評価が行われた! サスガとうならせる授業から、低級(!?)な授業まで、調査から見えてきた「日本の最高峰の学府」東京大学の実態とは。
- 本の長さ190ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2005/3/1
- ISBN-104582852637
- ISBN-13978-4582852639
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商品の説明
著者について
石浦章一(いしうらしょういち)
1950年石川県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。同大学院理学系研究科修了。国立精神・神経センター、東京大学分子細胞生物学研究所を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。理学博士。専門は、神経生化学・分子生物学。現在は、アルツハイマー病をはじめとする神経難病の発症機構の解明と治療開発の研究を行っている。著書に『よくわかる生命科学』(サイエンス社)、『新版 脳内物質が心をつくる』『遺伝子が明かす脳と心のからくり』(いずれも羊土社)など。
1950年石川県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。同大学院理学系研究科修了。国立精神・神経センター、東京大学分子細胞生物学研究所を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。理学博士。専門は、神経生化学・分子生物学。現在は、アルツハイマー病をはじめとする神経難病の発症機構の解明と治療開発の研究を行っている。著書に『よくわかる生命科学』(サイエンス社)、『新版 脳内物質が心をつくる』『遺伝子が明かす脳と心のからくり』(いずれも羊土社)など。
登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2005/3/1)
- 発売日 : 2005/3/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 190ページ
- ISBN-10 : 4582852637
- ISBN-13 : 978-4582852639
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,119,329位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1950年、石川県生まれ。東京大学教養学部卒業。同大大学院理学系研究科博士課程修了。国立精神・神経センター神経研究所、東京大学分子細胞生物学研究所を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。理学博士。専攻、分子認知科学。東大での講義の傍ら、一般向けの書籍を多数執筆している。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 科学の知識であなたが変わる (ISBN-10: 4902462141)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年10月2日に日本でレビュー済み
本書は東大教養学部での取り組みを紹介したものだが、大学関係者の話を総合すると、他の大学でも状況はそう変らないようだ。
確かに、20年ほど前の大学には意識が低い教員が多かったと思う。何度も休講したり、毎年同じ内容の講義をしたり、学期末に毎回同じ試験問題を出したり・・・(ただし、こうしたことは学生側にも歓迎するる声があり、当時の学生は反省しなければならない)。
ただし、未だそのころの空気を引きずってしまっている50代以降の教員を除けば、ここ数年大学に入りつつある若手教員(と言っても40代くらいまで含まれるが)は意識・実力ともに優れているそうだ。残念ながら採用数自体が絞り込まれてしまっているので、そうした教員はまだまだ少数派のようだが・・。
大学の問題は高年齢層の教員を今後どう処遇していくかにあり、将来を見越したリストラは実質的には完了していると考えられるだろう。
今後は他の政府部門、各省庁や関連団体に改革を求めて行かなくてはならない。
確かに、20年ほど前の大学には意識が低い教員が多かったと思う。何度も休講したり、毎年同じ内容の講義をしたり、学期末に毎回同じ試験問題を出したり・・・(ただし、こうしたことは学生側にも歓迎するる声があり、当時の学生は反省しなければならない)。
ただし、未だそのころの空気を引きずってしまっている50代以降の教員を除けば、ここ数年大学に入りつつある若手教員(と言っても40代くらいまで含まれるが)は意識・実力ともに優れているそうだ。残念ながら採用数自体が絞り込まれてしまっているので、そうした教員はまだまだ少数派のようだが・・。
大学の問題は高年齢層の教員を今後どう処遇していくかにあり、将来を見越したリストラは実質的には完了していると考えられるだろう。
今後は他の政府部門、各省庁や関連団体に改革を求めて行かなくてはならない。
2005年3月15日に日本でレビュー済み
大学の授業についてアンケートなどによって学生が評価するという、FD制度がいま、さまざまな大学ではじまっている。この本は、東京大学教養学部でのFDの試みが述べられている。「東大の」という点では興味深い点もあるが、FDについていままで書かれてきた報告や著作と比べてとくに目新しいことは書いていない。ただ、この種のほかの本に比べて、読後感が悪い。なぜ悪いのかというと、著者の「オレ様」調の記述が目立つ点だ。たとえば、文科系の学問をばかにしたものいいがあったり、自分の被引用文献数を年齢別に一覧にしたり(被引用数6000で普通だそうです)、「女子学生に人気がある」と自由記述ランに書かれたとさりげなく自慢するところや、オレに文句を言うなら俺のように人の2倍仕事しろと書くところなどである。しかし、「著名な教育系研究会での統計の使い方がひどい」として、文科系の学問を非難しておきながら、FDの数値を論ずるのに平均値のみで議論していて、分布についての記述がなかったり、自分の論文の引用データのみで、年齢に伴う研究生産性を一般化していたり、100個以上のデータがないと比較できないなどと理論的な根拠がないことが書いてあったりする。FDに関心がある人は、もっと読後感がよく、しっかりとした提言が書いてある本がたくさんあるので、そちらの本を読むべきだろう。