小沼純一の著書においては、ことばの縁が、書くうちに、読むうちに、しだいに、拡張されていく。作曲家の輪郭が、じわっと、膨らんでいく。そういうことが、可能のなのは、著者が、すでにある概念的な枠組みによって、何かを裁断することを、拒んでいるからだろう。書きぶりの、柔らかさの割に、いつも、姿勢はラディカルだ。反時代的であると言っても、許されるだろう。優しいのに、鋭くあることができる人なのだ。
同じ平凡社から出ている『音楽に自然を聴く』においても、「自然」をあらかじめ定義するではなく、この言葉を、いわば、ラテン語起源のnatureや、ギリシア語のピュシス、じねん、道、などの結節点として扱っている。言葉には、無数の接続点が見出しうる、ということが示されるのだ。
「オーケストラ」然り。近代市民社会の成立とともに成立し、植民地主義とともに成長した西欧のオーケストラのみならず、集まってする音の営み全般に光を当てていく。
開かれた「耳」にとっては、今聞いている世界の音そのものが、オーケストラ的であるとも言えるだろう。
「オーケストラ」を問うことは、社会そのものを問うことにもなるし、共にあって何かに一緒に取り組むとはどういうことかを問うことにもつながっていく。
視点を開く本であって、西欧近代に特殊な、オーケストラの様々な形態について、説く本ではないので、この点は、あらかじめ認識された上で、ご購入ください。
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オーケストラ再入門 (平凡社新書) 新書 – 2012/8/12
小沼 純一
(著)
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- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2012/8/12
- 寸法11 x 1.2 x 17.6 cm
- ISBN-104582856535
- ISBN-13978-4582856538
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登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2012/8/12)
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 223ページ
- ISBN-10 : 4582856535
- ISBN-13 : 978-4582856538
- 寸法 : 11 x 1.2 x 17.6 cm
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2020年7月18日に日本でレビュー済み
「人が集まって音楽すること」オーケストラどころか、「人が集まって鑑賞すること」コンサートすら難しくなってくるかもしれません。
コロナは21世紀の文化に大きな影響を与えるような気がする。
本書はオーケストラが経済的に難しくなって来ているということを社会史的に述べています。
これからますます厳しくなるでしょう。
帯に書いてあった坂本龍一の質問2、下記への答えはありませんでした。
「なぜ映画の初期、というか20世紀の前半まで、映画音楽はオーケストラが多用されたのか?」
多分ルミエールの映画が映画館という舞台で上映するものであったため、コンサートやバレエ同様大音量が必要だっかからでしょう。PAも貧弱でしたし。
オーケルトラというものに対する視野は開けましたが、内容は薄い本でした。
コロナは21世紀の文化に大きな影響を与えるような気がする。
本書はオーケストラが経済的に難しくなって来ているということを社会史的に述べています。
これからますます厳しくなるでしょう。
帯に書いてあった坂本龍一の質問2、下記への答えはありませんでした。
「なぜ映画の初期、というか20世紀の前半まで、映画音楽はオーケストラが多用されたのか?」
多分ルミエールの映画が映画館という舞台で上映するものであったため、コンサートやバレエ同様大音量が必要だっかからでしょう。PAも貧弱でしたし。
オーケルトラというものに対する視野は開けましたが、内容は薄い本でした。
2013年1月4日に日本でレビュー済み
本書はオーケストラについて幅広く解説した入門書だ。前半では「オーケストラとはそもそもどのようなものなのか」やオーケストラを構成する楽器について解説されている。そして後半では著者のオーケストラ論が展開されている。
本書が扱うテーマは幅広い。たとえば「オーケストラ」という言葉を聞くと,僕ならすぐに西洋風なものをイメージしてしまう。しかし,日本にも東南アジアにも「オーケストラ」は昔から存在してきたのだという。このような多種多様なオーケストラについての話はとても興味深い。また,オーケストラそのものではなく,オーケストラに関連したテーマにも章が割かれている。第六章「映画のなかのオーケストラ」はオーケストラにまつわる多くの映画を紹介している。そのうちの幾つかは実際に観てみたいと思った。
タイトルに「なんとか入門」と入っている本(特に新書など)では,対象となる「なんとか」がどういうものなのかをざっと紹介し,なんとかについての知識がざっくりと披露されることが多いだろう。そして,入門本を手に取る読者も,広く浅い知識を手っ取り早く知りたいというひとが多いのではないだろうか。
そういった視点でみると,本書は本当の初心者(僕もそうだ)にはあまり向いていないように思う。例えばオーケストラの構成楽器の名称をさらりと書かれても,そもそもその楽器がどういうものなのかが判らない。写真を載せてあればまだ判ったかもしれないが。そして初心者にとってはオーケストラ論を展開されてもぴんとこない。もっともこの点については,急に社会や文化を論じ始めている(ように見える)せいもあるだろう。
本書のタイトルはあくまで「再入門」である。きっと多少なりともオーケストラをかじったことがあるひとに向けた本なのだろう。そういったひとにとってはおススメできる本なのかもしれない。
本書が扱うテーマは幅広い。たとえば「オーケストラ」という言葉を聞くと,僕ならすぐに西洋風なものをイメージしてしまう。しかし,日本にも東南アジアにも「オーケストラ」は昔から存在してきたのだという。このような多種多様なオーケストラについての話はとても興味深い。また,オーケストラそのものではなく,オーケストラに関連したテーマにも章が割かれている。第六章「映画のなかのオーケストラ」はオーケストラにまつわる多くの映画を紹介している。そのうちの幾つかは実際に観てみたいと思った。
タイトルに「なんとか入門」と入っている本(特に新書など)では,対象となる「なんとか」がどういうものなのかをざっと紹介し,なんとかについての知識がざっくりと披露されることが多いだろう。そして,入門本を手に取る読者も,広く浅い知識を手っ取り早く知りたいというひとが多いのではないだろうか。
そういった視点でみると,本書は本当の初心者(僕もそうだ)にはあまり向いていないように思う。例えばオーケストラの構成楽器の名称をさらりと書かれても,そもそもその楽器がどういうものなのかが判らない。写真を載せてあればまだ判ったかもしれないが。そして初心者にとってはオーケストラ論を展開されてもぴんとこない。もっともこの点については,急に社会や文化を論じ始めている(ように見える)せいもあるだろう。
本書のタイトルはあくまで「再入門」である。きっと多少なりともオーケストラをかじったことがあるひとに向けた本なのだろう。そういったひとにとってはおススメできる本なのかもしれない。
2012年8月22日に日本でレビュー済み
著者の小沼さんは早大教授、音楽関係の著書が多数あります。
私達がオーケストラについて考えてみると、通常思いつくのはいわゆるクラシックのオーケストラの事です。元々オーケストラという言葉は、古代ギリシャにおいて悲劇を上演する劇場の舞台と客席にある空間の事を意味していました。しかし、長期間使用されず、再び使用されるのは、フランス革命の頃です。
著者の小沼さんは、従来クラシックに限定使用されていたオーケストラの概念を拡げ、大勢の人が集まって音楽をし、この音楽で何かを提示するものとして捉え直しています。従って、ジャズのビック・バンド、日本の雅楽、バリのガムラン、タンゴのオルケスタ、吹奏楽(ウインド・オーケストラ)もその範疇に入ると考えています(しかしさすがにジャズのサン・ラー、ガンラム、YMOまで入れるのは少し無理があるかなと思いますが)。小沼さんに本書を書かせるきっかけになったのは、1:オーケストラを巡る幾つかのドキュメンタリー映画に接した事 2:東日本大震災とその後の社会的あるいは音楽における諸状況 3:オーケストラと共にレクチャー・コンサートを行なう機械を得た事 だそうです。
元々オーケストラに使用される楽器は起源、由来の違うものが集められ、また、楽器自体も色々な地域の自然物の組み合わせで出来ています。そして、その多様性がオーケストラの力の源泉と考えられています。そして、このオーケストラの為に数多くの人が参加、参与、分担し、各々が違う事をして、それが一体になって素晴らしい音楽を形成する事になります。
昨今、経済状況の悪化でオーケストラに対する補助金のカット、減額(東京、大阪)、名門オケのフィラデルフィア管弦楽団の倒産、等の暗いニュースが目に付きますが、一方、ベネズエラのエル・システマ、バレンボイム=サイードによるオーケストラに対する新しい試みも出てきています。果たしてオーケストラの未来は・・・?
本書は、オーケストラの概念、過去、そして、未来について考えさせてくれます。
私達がオーケストラについて考えてみると、通常思いつくのはいわゆるクラシックのオーケストラの事です。元々オーケストラという言葉は、古代ギリシャにおいて悲劇を上演する劇場の舞台と客席にある空間の事を意味していました。しかし、長期間使用されず、再び使用されるのは、フランス革命の頃です。
著者の小沼さんは、従来クラシックに限定使用されていたオーケストラの概念を拡げ、大勢の人が集まって音楽をし、この音楽で何かを提示するものとして捉え直しています。従って、ジャズのビック・バンド、日本の雅楽、バリのガムラン、タンゴのオルケスタ、吹奏楽(ウインド・オーケストラ)もその範疇に入ると考えています(しかしさすがにジャズのサン・ラー、ガンラム、YMOまで入れるのは少し無理があるかなと思いますが)。小沼さんに本書を書かせるきっかけになったのは、1:オーケストラを巡る幾つかのドキュメンタリー映画に接した事 2:東日本大震災とその後の社会的あるいは音楽における諸状況 3:オーケストラと共にレクチャー・コンサートを行なう機械を得た事 だそうです。
元々オーケストラに使用される楽器は起源、由来の違うものが集められ、また、楽器自体も色々な地域の自然物の組み合わせで出来ています。そして、その多様性がオーケストラの力の源泉と考えられています。そして、このオーケストラの為に数多くの人が参加、参与、分担し、各々が違う事をして、それが一体になって素晴らしい音楽を形成する事になります。
昨今、経済状況の悪化でオーケストラに対する補助金のカット、減額(東京、大阪)、名門オケのフィラデルフィア管弦楽団の倒産、等の暗いニュースが目に付きますが、一方、ベネズエラのエル・システマ、バレンボイム=サイードによるオーケストラに対する新しい試みも出てきています。果たしてオーケストラの未来は・・・?
本書は、オーケストラの概念、過去、そして、未来について考えさせてくれます。
2013年5月9日に日本でレビュー済み
他のレビューも言及しているが、オーケストラ=西洋のクラシック音楽の楽団という先入観に捕らわれず、あらゆる楽団をオーケストラという概念で捉え直そう、という主題は意欲的なものであり、素晴らしい問題提起であろう。
しかし、本論の展開が意欲的か、といえば全くそんなことはない。ギリシアの昔にさかのぼって「オーケストラ」の語源をさかのぼるまではよいのだが、その後は延々と、「西洋のオーケストラは・・・」「ジャズの起源は・・・」「映画音楽の歴史は・・・」とそれぞれの音楽の歴史と現在を辞書的に羅列するばかりで、その意味で全く独自性がない。言葉は悪いが、各音楽ジャンルの入門書の第一章をつぎはぎ細工して作り上げたような内容で、従って読み応えというものがまるでなかった。
結論に至っても、著者のビジョンや思想がはっきりと展開されることはなく、なんだが狐につままれたような気分で読了することになる。
そんなわけで、現代に至るまでの音楽史の流れを浅く広く俯瞰したい人にとっては悪くない本かもしれないが、音楽を巡る哲学的考察のような読み応えのあるものを期待する読者にとっては肩すかしな結果に終わるであろう一冊であった。
しかし、本論の展開が意欲的か、といえば全くそんなことはない。ギリシアの昔にさかのぼって「オーケストラ」の語源をさかのぼるまではよいのだが、その後は延々と、「西洋のオーケストラは・・・」「ジャズの起源は・・・」「映画音楽の歴史は・・・」とそれぞれの音楽の歴史と現在を辞書的に羅列するばかりで、その意味で全く独自性がない。言葉は悪いが、各音楽ジャンルの入門書の第一章をつぎはぎ細工して作り上げたような内容で、従って読み応えというものがまるでなかった。
結論に至っても、著者のビジョンや思想がはっきりと展開されることはなく、なんだが狐につままれたような気分で読了することになる。
そんなわけで、現代に至るまでの音楽史の流れを浅く広く俯瞰したい人にとっては悪くない本かもしれないが、音楽を巡る哲学的考察のような読み応えのあるものを期待する読者にとっては肩すかしな結果に終わるであろう一冊であった。