本書のキーとなっている発想は「観察の観察」あるいは「他者言及と自己言及」であろう。
観察者は、他者を観察する際に常に何らかの区分を設けて観察しているがために、その区分を観察されることにより自らの観察の限界が表れる。
この「観察の観察」は、観察対象を自己に転換させる自己言及的な行為となり、それにより自身の不完全性、矛盾性が露わとなるのである。
こうした観察において用いられる区分がさまざまなシステムであり、たとえば学システム(学問)における「真/偽」、法システムにおける「適法/違法」などのコードが用いられている。
だがそれらは上記の限界があるがゆえに、観察に際しては常にシステムの外部とつながっている必要がある。しかし一方でシステム作動時には外部は切り離されるのである。
本書後半では偶然性やリスクの話が、システムの理論に基づいて説明される。
本書は後期ルーマン格好の入門書とのことらしい。
確かにそれほど分厚くないという意味では読みやすいのかもしれないし、特殊な用語も用いられていないが、それでもわかりやすいとは思わなかった。
あと、話が抽象的なので、もうちょっと具体的なシステムにひきつけた話の方がよかった。
とはいえ、他のルーマンの著作を読んでみようかな、と思わせてはくれるという意味では、やはり入門書として成功しているのかもしれないが。
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近代の観察 (叢書・ウニベルシタス 766) 単行本 – 2003/3/1
- 本の長さ226ページ
- 言語日本語
- 出版社法政大学出版局
- 発売日2003/3/1
- ISBN-104588007661
- ISBN-13978-4588007668
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
「機能分化」「閉鎖性」の概念を軸に、現代社会における諸システムの比較・解明を試み、未来の可能性を探る、ルーマン晩年の関心を縮約。ルーマン理論全体を見直し、理解するための契機となる論集。
登録情報
- 出版社 : 法政大学出版局 (2003/3/1)
- 発売日 : 2003/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 226ページ
- ISBN-10 : 4588007661
- ISBN-13 : 978-4588007668
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,282,852位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,318位社会一般関連書籍
- - 25,156位社会学概論
- - 111,655位ビジネス・経済 (本)
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