この本は、根源悪とは何か?について考察しています。前半はカント、ヘーゲル、シェリング、ニーチェ、フロイトらの哲学者たちの悪の定義について論じ、後半は「アウシュヴィッツ」以後としてレビュナス、ヨーナス、アーレントらの悪の定義について論じ、「アウシュヴィッツ」の根源悪というものを考察しています。レビュナス、ヨーナス、アーレントはユダヤ人で三人はハイデガーから学んでいます。ナチの高官アイヒマンは裁判において自らの行為を正当化するためカントを引用し「自分は自分の義務を果しただけ」と主張したという。ヒトラーは憲法上適切な手続きで総統になった君主であり部下が上司に逆らうことはできない。反乱は秩序の破滅を招き命令には従わなければならない。しかし「アウシュヴィッツ」の根源悪はカントのいう道徳法則に反しており、カントの義務に従えと道徳法則に従えとの定義が破綻していることを指摘している。「アウシュヴィッツ」以前の哲学者たちには「アウシュヴィッツ」は想像もしえなかったことだろうし、カントの「邪悪な人間でさえ悪そのもののために悪をなすことはできない」という主張では「アウシュヴィッツ」の根源悪は理解することができないという。
読後感は、悪とは何か、について追求したおもしろいものになっていると思う。自由があるがゆえに、行為には責任が伴う、しかし責任について再考する必要があるというのだが……、
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
根源悪の系譜: カントからアーレントまで (叢書・ウニベルシタス 987) 単行本 – 2013/1/29
リチャード・J. バーンスタイン
(著),
Richard J. Bernstein
(原名),
阿部 ふく子
(翻訳),
後藤 正英
(翻訳),
齋藤 直樹
(翻訳),
菅原 潤
(翻訳),
田口 茂
(翻訳)
&
4
その他
二十世紀の歴史に癒しえぬ傷を残した数々の大量虐殺のあとで、哲学は「悪」をどう語りうるのか。カントが創出した「根源悪」の概念を軸に、人間が罪悪を犯す生来の可能性や必然性を熟考した思想家の系譜──ヘーゲル、シェリング、ニーチェ、フロイト、レヴィナス、ヨーナス、アーレント──を鋭く一望する。弁神論による「悪」の正当化が困難な今日、倫理の根源を問い質す碩学の労作。
- 本の長さ446ページ
- 言語日本語
- 出版社法政大学出版局
- 発売日2013/1/29
- ISBN-104588009877
- ISBN-13978-4588009877
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
(Richard J. Bernstein)
1932年生まれ。ペンシルヴァニア大学、マサチューセッツ工科大学などを経て現在はニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチに所属。主としてプラグマティズムを研究するが、ヨーロッパ大陸の哲学にも造詣が深い。今は亡きリチャード・ローティの思想的盟友としても知られる。単著に『ジョン・デューイ』、『実践と行為』、『科学・解釈学・実践』(邦訳、岩波書店)、『手すりなき思考』(邦訳、産業図書)、『ハーバーマスとモダニティ』、『ハンナ・アーレントとユダヤ人問題』、『フロイトとモーゼ神話』、『悪の濫用』および『プラグマティズム的転回』がある。
1981年生まれ。日本学術振興会特別研究員(新潟大学)。共著書に『ヘーゲル体系の見直し』(理想社)、論文に「哲学と人間形成──ニートハンマーとシェリングの教養形成論をめぐって」(『シェリング年報』第19号)ほか。
1974年生まれ。佐賀大学准教授。共著書に『ユダヤ人と国民国家──「政教分離」を再考する』(岩波書店)、『ドイツ観念論を学ぶ人のために』(世界思想社)、共訳書に『シェリング著作集 (1b) 自然哲学』(燈影舎)ほか。
1970年生まれ。盛岡大学准教授。共著書に『21世紀の哲学史』(昭和堂)、共訳書にブプナー『美的経験』(法政大学出版局)、論文に「ツァラトゥストラの「言語」──情動的言語使用の音楽的基礎」『理想』(第684号)ほか。
1963年生まれ。長崎大学大学院教授。著書に『環境倫理学入門──風景論からのアプローチ』(昭和堂)、『「近代の超克」再考』(晃洋書房)、『昭和思想史とシェリング──哲学と文学の間』(萌書房)ほか。
1932年生まれ。ペンシルヴァニア大学、マサチューセッツ工科大学などを経て現在はニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチに所属。主としてプラグマティズムを研究するが、ヨーロッパ大陸の哲学にも造詣が深い。今は亡きリチャード・ローティの思想的盟友としても知られる。単著に『ジョン・デューイ』、『実践と行為』、『科学・解釈学・実践』(邦訳、岩波書店)、『手すりなき思考』(邦訳、産業図書)、『ハーバーマスとモダニティ』、『ハンナ・アーレントとユダヤ人問題』、『フロイトとモーゼ神話』、『悪の濫用』および『プラグマティズム的転回』がある。
1981年生まれ。日本学術振興会特別研究員(新潟大学)。共著書に『ヘーゲル体系の見直し』(理想社)、論文に「哲学と人間形成──ニートハンマーとシェリングの教養形成論をめぐって」(『シェリング年報』第19号)ほか。
1974年生まれ。佐賀大学准教授。共著書に『ユダヤ人と国民国家──「政教分離」を再考する』(岩波書店)、『ドイツ観念論を学ぶ人のために』(世界思想社)、共訳書に『シェリング著作集 (1b) 自然哲学』(燈影舎)ほか。
1970年生まれ。盛岡大学准教授。共著書に『21世紀の哲学史』(昭和堂)、共訳書にブプナー『美的経験』(法政大学出版局)、論文に「ツァラトゥストラの「言語」──情動的言語使用の音楽的基礎」『理想』(第684号)ほか。
1963年生まれ。長崎大学大学院教授。著書に『環境倫理学入門──風景論からのアプローチ』(昭和堂)、『「近代の超克」再考』(晃洋書房)、『昭和思想史とシェリング──哲学と文学の間』(萌書房)ほか。
登録情報
- 出版社 : 法政大学出版局 (2013/1/29)
- 発売日 : 2013/1/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 446ページ
- ISBN-10 : 4588009877
- ISBN-13 : 978-4588009877
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,457,839位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 478位西洋近現代思想
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3つ
5つのうち3つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
1グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ