Molly Harrisonの『The Kitchen in History』（1972年）の翻訳。
著者はロンドンのジェフリ博物館の館長を務めた人物。イギリス人の生活や道具などを歴史的に展示したところらしい。
内容は、イギリスの台所の歴史について、多数の図をまじえながら通観したもの。アメリカについても一部。
台所という空間そのものと、そこで働く人々をテーマとした本であり、調理法や料理についてはあまり触れられていない。そういう本を探している人は他を当たるべきだろう。
炉やオーブンの進歩や発明、水道や電気といったライフラインの整備の歴史がよく分かる。また、台所で働くサーヴァントやコックたちの一日の仕事、給与、待遇などが詳しく書かれているのもおもしろかった。
訳文は読みやすいが、ちょっと不自然な箇所も。キッチンの道具や仕組み、詩の訳にかなり苦労したあとがうかがえる。
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