「いわゆるオカルト現象の心理と病理（Zur Psychologie und Pathologie sogenannter okkulter Phanomene）1902年」と「潜在記憶（Kryptomnesie）1905年」の２篇が収録されている。
前者は、ユングの博士論文で、霊媒として死者を降霊する少女について分析したもの。実際に何度もユング自身が出席した上での研究である。19世紀後半の欧米では社会現象として心霊主義が流行したが、それを精神分析として取り上げると、このようになるのかと興味深い。ただ、説明の方式としてはこれで充分なのかという疑問も？
「潜在記憶」も心霊現象のひとつである、憑依によって自分の知るはずのない出来事や言語を話すようになることについて論じたもの。潜在的な記憶によるのだと述べ、さまざまな実例を挙げている。
訳文は分かりやすく、解説も充実している。
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