「小倉金之助」(1885〜1962)という名に接したのは、岩波新書『日本の数学』によります。その著者紹介で、戦前から戦後にかけての重要な研究者と知らされるとともに、内容はもちろんですが、文章からもどういうかたかとの関心を抱いたものです。さすがに全集までは手を出しかねますが、この阿部氏の著書とはそうした興味から出あうことになりました。
阿部氏は、巻末の著者紹介や出版案内をみると、山形県立高校教諭で、この出版社からほかにも『石原莞爾 上・下』(2005)『土門拳』(1997)などを出版している郷土史家のようです。また、小倉の『われ科学者たるを恥ず』(2007)の編集にも携わっています。
さて、この1992年初版発行・2007年新装版発行という小倉金之助の伝記ですが、あからさまな偉人伝ではないにしろ、そうした視点が支配していることは否めないように感じました。全体として穏当な書きっぷりで、それはそれで好もしいものなのですが、「生涯とその時代」との副題に見合う充分な記述がなされているかということになると、あるいは踏み込みが足りないと感じるかもしれません。どうもじっくりと深読みをする必要がありそうですし、そのための最低限の記述はされているように思います。たいへん難しい時代を生きたかたですから、読み手も少し心してかからなければいけないといったところでしょうか。
いかにも大学の名を冠した出版社のものらしく、一般向けの読みやすい書ですが、各事項の典拠も物々しくなく示され、また、年譜・主要参考文献・人名索引のついたしっかりしたつくりになっています。
すこし時間をおいて再読してみたいと思います。
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小倉金之助: 生涯とその時代 単行本 – 1992/2/1
阿部 博行
(著)
ダブルポイント 詳細
- 本の長さ364ページ
- 言語日本語
- 出版社法政大学出版局
- 発売日1992/2/1
- ISBN-104588316087
- ISBN-13978-4588316081
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
酒田の廻漕問屋に生まれ、独学によって数学に開眼し、数学史・科学史研究とその大衆化に巨大な足跡を残した小倉金之助の生涯。
登録情報
- 出版社 : 法政大学出版局 (1992/2/1)
- 発売日 : 1992/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 364ページ
- ISBN-10 : 4588316087
- ISBN-13 : 978-4588316081
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,682,043位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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