本書は、ハイエクの唱える自由主義哲学そのものについての分析ではなく、
その背景にある思考フレームについて、
著者が捉えている存在論・認識論のフレームに基づいた分析です。
従って、ハイエクの自由主義哲学の内容そのものを吟味したり、
代替案を提示したりしているものではありません。
著者のアプローチが学術的にどのような位置づけと役割を果たしているのかはよくわかりませんし、
本書で展開されている分析が著者のアプローチありきのものですので、分析が適切なものかもよくわかりません。
しかし、この分析を通して浮かび上がってくるものは、
結果としてハイエクの洞察の深さを改めて光らせるものです。
社会全般について個々の学問領域にいたずらに分解せずに社会そのものを捉えてようとしていることや、
あくまでも人を中心とした社会のありようを洞察しようとしていることや、
当時の認知心理学を積極的に採用することで、今日の神経科学にまでうまくつながるような基礎を与えていることがわかります。
ハイエク哲学の深さを再認識させてくれるものとなっています。
2008/3/13読了
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ハイエクのポリティカル・エコノミー: 秩序の社会経済学 単行本 – 2006/2/1
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社法政大学出版局
- 発売日2006/2/1
- ISBN-104588645404
- ISBN-13978-4588645402
登録情報
- 出版社 : 法政大学出版局 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 320ページ
- ISBN-10 : 4588645404
- ISBN-13 : 978-4588645402
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,158,289位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 942位経済思想・経済学説 (本)
- - 161,358位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年4月11日に日本でレビュー済み
著者はプロの自転車レーサーから経済学者になった遅咲きのきれものらしい。
ハイエクに関する本をいくつか読んでみるとわかることではあるけれど、ハイエクの書く文章が抽象的であるためか、あるいはハイエク自身の思想に転換があったのか、ハイエクを解釈する人によって見解が統一されていないように思います。
そしてこの本では、後者、つまり、ハイエクの思想の転換に力点を置いています。ハイエクの思想の転換を扱った本は以外に多くないように思います。また、この本はそれが、体系的にわかりやすく説明されています。
この本は、存在論や、認識論に焦点が当てられているので、経済学を学んでいる方には敬遠されやすいかもしれません。しかし、著者が言っているように、あらゆる学問は、存在論を仮定しているのであり、経済学もその例外ではありません。
確かに、哲学の色彩が強いけれど、経済学にとどまらない、応用可能性の高い視点を提供してくれているこの本は、良書です。
ハイエクに関する本をいくつか読んでみるとわかることではあるけれど、ハイエクの書く文章が抽象的であるためか、あるいはハイエク自身の思想に転換があったのか、ハイエクを解釈する人によって見解が統一されていないように思います。
そしてこの本では、後者、つまり、ハイエクの思想の転換に力点を置いています。ハイエクの思想の転換を扱った本は以外に多くないように思います。また、この本はそれが、体系的にわかりやすく説明されています。
この本は、存在論や、認識論に焦点が当てられているので、経済学を学んでいる方には敬遠されやすいかもしれません。しかし、著者が言っているように、あらゆる学問は、存在論を仮定しているのであり、経済学もその例外ではありません。
確かに、哲学の色彩が強いけれど、経済学にとどまらない、応用可能性の高い視点を提供してくれているこの本は、良書です。