ホプラ文庫版に、香川照之(映画で稔役を演じた俳優)が執筆したエピローグが収録されていると聞き、読んでみた。
完っ璧だった。ぐうの根も出ないほど説得力のある姿でそこに稔が存在していた。私の甘やかな妄想など非情な現実の前に砕け散る…かと思いきや、2パターン目はまさに思い描いた通りで、でも1パターン目を読んだ後ではもうそれが最高のハッピーエンドとも思えなくて、心が複雑骨折した。
稔にとって刑務所での生活がそれまでより”自由”であったこと。猛と比べられることなく、良い兄を演じることもなく、ただ一心に野球ボールを追いかける瞬間、ようやく彼自身で居られたこと。それがあまりにリアルに想像できて、もはや猛と会うことは元の檻に戻る行為のような気がして…稔には、どこまでも逃げてほしい。そして猛には、残りの人生を懸けて自分の行いを悔いてほしい。という、映画を観た直後の自分とは相反する願いが芽生えた。
映画の外伝を演じ手が書くのは初めて見たけど、もっと見てみたくなった。公式のニュアンスを帯びる以上、脚本家や原作者との折り合いが難しそうではある。しかし読み手としては、役者がどのような解釈で役に挑んだか知るのは興味深いし、香川氏のように考察を重ねた方の手によって映画では見ることの出来なかった場面を読めるようになるのは嬉しい。
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ゆれる 単行本 – 2006/6/1
西川 美和
(著)
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- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社ポプラ社
- 発売日2006/6/1
- ISBN-104591093034
- ISBN-13978-4591093030
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商品の説明
出版社からのコメント
監督デビュー作『蛇イチゴ』で、どこにでもある平凡な家庭の中に渦巻く人間の醜くも切ない業を繊細かつ大胆に描き出して高い評価を獲得、一躍日本映画の次代を担う監督として脚光を浴びた西川美和さん。彼女の4年ぶりとなるオリジナル長編が『ゆれる』です。
第59回カンヌ国際映画祭・監督週間部門に日本映画として唯一正式出品され、上映後はスタンディングオベーションがしばらく鳴りやまないほどの賞賛を浴びました。そんな彼女が自作の小説化という初めての試みに挑戦した本作は、映画とはまた趣向の違う面白さと奥深さを堪能できる佳編に仕上がりました。人間という不確かで曖昧で、だからこそ愛しい存在を正面から捉え描ききった、近年稀に見る上質のエンターテイメント作。映画監督だけではなく、小説化としての今後も大変に楽しみな西川さんの才能、ぜひご堪能下さい!
第59回カンヌ国際映画祭・監督週間部門に日本映画として唯一正式出品され、上映後はスタンディングオベーションがしばらく鳴りやまないほどの賞賛を浴びました。そんな彼女が自作の小説化という初めての試みに挑戦した本作は、映画とはまた趣向の違う面白さと奥深さを堪能できる佳編に仕上がりました。人間という不確かで曖昧で、だからこそ愛しい存在を正面から捉え描ききった、近年稀に見る上質のエンターテイメント作。映画監督だけではなく、小説化としての今後も大変に楽しみな西川さんの才能、ぜひご堪能下さい!
登録情報
- 出版社 : ポプラ社 (2006/6/1)
- 発売日 : 2006/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 220ページ
- ISBN-10 : 4591093034
- ISBN-13 : 978-4591093030
- Amazon 売れ筋ランキング: - 674,504位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 15,515位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画視聴後に読了。
映画の完成度は言わずもがな、此方も非常に完成度が高いと思います。
映画内では描ききれなかった、登場人物の心の機微や残された人達の心中、閉塞感のある地方の様子が硬質な文体で、精緻に描かれています。
但し、この本だけを読んでも今一この作品を味わう事は出来ないと感じました。
やはり映画を視聴後にディテールを補完する様な位置付けの本だと思います。
この映画に強い情念を感じた人であれば、読むべきだと思います。
映画の完成度は言わずもがな、此方も非常に完成度が高いと思います。
映画内では描ききれなかった、登場人物の心の機微や残された人達の心中、閉塞感のある地方の様子が硬質な文体で、精緻に描かれています。
但し、この本だけを読んでも今一この作品を味わう事は出来ないと感じました。
やはり映画を視聴後にディテールを補完する様な位置付けの本だと思います。
この映画に強い情念を感じた人であれば、読むべきだと思います。
2017年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
事件が起こってそれに関わった人々の語りで物語は進行していきます。
死んだ人の語りもあって違和感がありましたが、物語を理解するには仕方がなかったのかもしれません。兄弟間の感情のやりとりがメインですが、わかりづらくて読後も消化不良で私には難しかった感じです。
死んだ人の語りもあって違和感がありましたが、物語を理解するには仕方がなかったのかもしれません。兄弟間の感情のやりとりがメインですが、わかりづらくて読後も消化不良で私には難しかった感じです。
2018年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
心の奥にある思いを見透かされた感じ。なんとなく、この気持ちわかるな~と。それぞれの人物による語りで進められて行って、どんどん惹き付けられて行く。
2020年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
DVDでの鑑賞に続き、気になって小説を手に取りました。
各当事者からの独白という形式で、登場人物の内面や背景を補完できます。
映画を見ずに小説だけ読んだ場合にどのような印象を持つかは分かりませんが、映画を気に入った方は是非読んでみてはいかがでしょうか。なお個人的に香川照之さんの大ファンですが、最後の解説はいらないと思います。
各当事者からの独白という形式で、登場人物の内面や背景を補完できます。
映画を見ずに小説だけ読んだ場合にどのような印象を持つかは分かりませんが、映画を気に入った方は是非読んでみてはいかがでしょうか。なお個人的に香川照之さんの大ファンですが、最後の解説はいらないと思います。
2009年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画「ゆれる」の小説版。
映画は間違いなく、傑作。是非多くの方に見てもらいたい作品です。
個人的には映画を見てから小説を見るのをお勧めいたします。
映画では猛視点で物語が進んでいきますが、小説では様々な人物の視点からになります。
これが小説版の見どころでもあるかと。
文庫版のみ、香川照之さんの「あとがき」がありますが、文才のある方ですので、やはり巧いですね。
2つの終わり方(いわゆる希望バージョン、絶望バージョン)を書いていらっしゃいますが、どちらも好きです。
稔を演じた香川さんの文章だからこそ、読んでいて感慨深いものがあります。
映画では基本的に全編に渡って「自分の思うように解釈してくれ」という感じですので、「どういう最後か、真実はいったいどうだったのか」は人それぞれ考えているものが違うと思います。
小説から読んでも良い作品であることには変わりありませんが、最初に書いたように是非映画から見ていただきたいですね。
映画は間違いなく、傑作。是非多くの方に見てもらいたい作品です。
個人的には映画を見てから小説を見るのをお勧めいたします。
映画では猛視点で物語が進んでいきますが、小説では様々な人物の視点からになります。
これが小説版の見どころでもあるかと。
文庫版のみ、香川照之さんの「あとがき」がありますが、文才のある方ですので、やはり巧いですね。
2つの終わり方(いわゆる希望バージョン、絶望バージョン)を書いていらっしゃいますが、どちらも好きです。
稔を演じた香川さんの文章だからこそ、読んでいて感慨深いものがあります。
映画では基本的に全編に渡って「自分の思うように解釈してくれ」という感じですので、「どういう最後か、真実はいったいどうだったのか」は人それぞれ考えているものが違うと思います。
小説から読んでも良い作品であることには変わりありませんが、最初に書いたように是非映画から見ていただきたいですね。
2021年7月3日に日本でレビュー済み
西川美和さんの作品は
人間の奥の奥を想像させてくれるよう
描いて下さる力が素晴らしくて大好きです。
家族の不器用な関係性が見事に描かれていて
兄弟間で起こり得そうな細かい摩擦のような悲しいすれ違いだとかが繊細に描写されていて泣いてしまう。自分を重ねてしまうのだ。
女性ならではだからこそ描ける視点かな。
女性たちの心情の描写もとても上手。
いつも素敵な作品をありがとうございます。
人間の奥の奥を想像させてくれるよう
描いて下さる力が素晴らしくて大好きです。
家族の不器用な関係性が見事に描かれていて
兄弟間で起こり得そうな細かい摩擦のような悲しいすれ違いだとかが繊細に描写されていて泣いてしまう。自分を重ねてしまうのだ。
女性ならではだからこそ描ける視点かな。
女性たちの心情の描写もとても上手。
いつも素敵な作品をありがとうございます。
2011年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画を先に観ました。
とても「ゆれる」感情が描き出されていて印象的な映画でした。
原作本では「ゆれていない」気がします。
ネタばれになるといけないのですが、
「ゆれる」気持ちがもっと描き出されていたほうがいいと思うし
映画のほうが感情が入って行ったと思います。
映画監督なのだから当たり前かもしれませんが。
とても「ゆれる」感情が描き出されていて印象的な映画でした。
原作本では「ゆれていない」気がします。
ネタばれになるといけないのですが、
「ゆれる」気持ちがもっと描き出されていたほうがいいと思うし
映画のほうが感情が入って行ったと思います。
映画監督なのだから当たり前かもしれませんが。