ジュンク堂が池袋に開店して以来、つまり、東京に進出して以来のベテラン店員が、Web に連載していたエッセイをまとめた本だ。
週に3回以上書店に行く本の虫としては、反対側から見た書店というのはなかなか面白かった。特に、有為の書店員の棚へのこだわりは、普段感じていた、本の選びやすい書店と選びにくい書店の違いがこのように生じるのか見えて興味深かった。
ただ、私にとっては、内容が面白い割に、引っかかるところの多い本でもあった。一点目は文章のところどころに、東京で生まれ育った人にしばしばある、地方に対する無理解 (蔑視とまでは言いません) を感じたことだ。まあ、私は大阪生まれだから、大阪は好きになれないと、もろ書かれると、多少おだやかでないものもあります。でも、それだけでなく、地方の書店などが話題に出るたびに、なんとなく、東京からの視点が感じられるのであります。
もう一点は、再販制度維持を強く訴えていること。いえ、それだけならいいのだが、著者が述べている書籍流通に関する不満のかなりの部分は、再販制度によって守られている業界であるがゆえの合理化の遅れ、ないしは、競争の欠如が原因と思える。再販制度を守れという主張も、さほど検討されることもなく、ドグマティックで、説得するつもりもなさそうだ。ちょっと、世界が狭いように思う。(ドグマティックは紛争世代の特徴?)
と、不満を述べたが、まあ、ブログをまとめたような本なのだから、ちょっと、高望みなのだろう。全体としては、本好きの人にはお薦めだ。
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書店繁盛記 単行本 – 2006/9/6
田口 久美子
(著)
- 本の長さ307ページ
- 言語日本語
- 出版社ポプラ社
- 発売日2006/9/6
- ISBN-104591094332
- ISBN-13978-4591094334
登録情報
- 出版社 : ポプラ社 (2006/9/6)
- 発売日 : 2006/9/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 307ページ
- ISBN-10 : 4591094332
- ISBN-13 : 978-4591094334
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,826,734位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 514位書店・古書店の本
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上位レビュー、対象国: 日本
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2007年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年2月5日に日本でレビュー済み
確かに部分的には面白く読ませるのです。書店の内部模様がよく解るのですが、それは読者がそれなりに書物に対しての知識もあり、書籍の流通に対して理解があればこそでしょう。やたらと著者の周囲の書店人名が、いきなり登場します。そして、出版界の事情というより専門的な事務手続きが開陳されますが、どうも著者はそれを一般向けに説明する気は無い、というよりそれに気付いていないようです。一方的に話が展開していくので、読みづらく何度か中断してしまったのは自分だけでしょうか? 周囲の書店員向けのものではないと思うのですが・・・・。
著者はリブロにいたことを何度も繰り返し記述していますが、それにしてはジュンクに転職したことも含め、何度かの職場を換えて事に関しての事情の説明は一切ありません。それにからまる人間関係の相克、待遇面での差、職責面でのやりがい等、職業というものを語るならばある程度は書くべきではなかったのでしょうか? 最前線で読者というものを理解した人が書く作物ならば、そこらあたりは書店員というものを一層理解させる上で必要とわかっていると思うのですが。
ベストセラーを始めとする各書物への言及、クレームへの対処等読ませることも多いのですが、なんだか独りよがりな読み難い文章を追っていった読後感で、どうしても高い評価を与えられないのです。もっと一般人を意識して書いて欲しかったと残念な思いです。
著者はリブロにいたことを何度も繰り返し記述していますが、それにしてはジュンクに転職したことも含め、何度かの職場を換えて事に関しての事情の説明は一切ありません。それにからまる人間関係の相克、待遇面での差、職責面でのやりがい等、職業というものを語るならばある程度は書くべきではなかったのでしょうか? 最前線で読者というものを理解した人が書く作物ならば、そこらあたりは書店員というものを一層理解させる上で必要とわかっていると思うのですが。
ベストセラーを始めとする各書物への言及、クレームへの対処等読ませることも多いのですが、なんだか独りよがりな読み難い文章を追っていった読後感で、どうしても高い評価を与えられないのです。もっと一般人を意識して書いて欲しかったと残念な思いです。
2006年10月20日に日本でレビュー済み
池袋のジュンク堂には社長から3万円あずかって工業英語辞典や関連書をかいにいきました。
ジュンク堂を選んだのは関西在住のベテラン実務翻訳家からすすめられたからでした。
確かに理工書は充実しておりました。たくさん買ったので喫茶券をもらいましたが
残念ながらつかいそびれました。
そのジュンク堂の副店長さんが書いた内幕物です。
ポプラ社の出版物というのが意外でした。
webマガジンの「書店日記」に加筆修正して出版したとのこと(奥付前ペイジ参照ください)
ということで、よくもあしきもいわゆる「読ませる」文章とは一味違います。
が、書店勤務経験のある人形美(当方)といたしましては、
本当に興味深い本です。ABC(青山ブックセンター)のこと、洋販のこと、
棚づくり、棚を任せられることの意味、などなど…
アマゾンもとうていかなわないコンペティターとしてでてきます。
それにしても豪華な面子によるトークイベントを開催していらしたのですね!
すばらしい! 本好きにはとにかく お も し ろ い で す。
ただ、悲哀もかんじさせます。このさき本の小売業界はどうなるのだろうかと。
ジュンク堂を選んだのは関西在住のベテラン実務翻訳家からすすめられたからでした。
確かに理工書は充実しておりました。たくさん買ったので喫茶券をもらいましたが
残念ながらつかいそびれました。
そのジュンク堂の副店長さんが書いた内幕物です。
ポプラ社の出版物というのが意外でした。
webマガジンの「書店日記」に加筆修正して出版したとのこと(奥付前ペイジ参照ください)
ということで、よくもあしきもいわゆる「読ませる」文章とは一味違います。
が、書店勤務経験のある人形美(当方)といたしましては、
本当に興味深い本です。ABC(青山ブックセンター)のこと、洋販のこと、
棚づくり、棚を任せられることの意味、などなど…
アマゾンもとうていかなわないコンペティターとしてでてきます。
それにしても豪華な面子によるトークイベントを開催していらしたのですね!
すばらしい! 本好きにはとにかく お も し ろ い で す。
ただ、悲哀もかんじさせます。このさき本の小売業界はどうなるのだろうかと。
2006年11月15日に日本でレビュー済み
毎日新聞の紹介記事を見て、早速、読んでみた。
日頃、ジュンク堂池袋店を愛用しているのだけれど、
その理由は、どの店員さんも感じがよいから。
駅ビルのなかにあるような、にぎわっている書店は
店員さんに殺気が漂っていて(いつも混んでいる時間帯に行くせいかも)、
聞きたいことがあっても、その隙があまりない。
ジュンク堂の書店員さんは、今までに質問した人はみな、
手をとめて、きちんと話を聞き、本のある場所に案内してくれた。
本書を読んで、そんな現場の雰囲気が、
どのように作られているのかがよくわかった。
峰岸達のイラストと、つけられているコメントも楽しい。
本好きの人なら、きっと微笑んでしまうはず。
本好きを自認する人が、書店への不満を口にしているのをよく目にするが、
現場の大変さがどれだけわかっているのかな、と、この本を読むと思う。
閉店時間が延び、過酷といっていい状況のなかで、
若い書店員が奮闘している様子には、やはり希望があると思いたい。
それにしても、著者のような上司がいたら、
本当に働きやすいだろうなあ〜、とうらやましくなった。
日頃、ジュンク堂池袋店を愛用しているのだけれど、
その理由は、どの店員さんも感じがよいから。
駅ビルのなかにあるような、にぎわっている書店は
店員さんに殺気が漂っていて(いつも混んでいる時間帯に行くせいかも)、
聞きたいことがあっても、その隙があまりない。
ジュンク堂の書店員さんは、今までに質問した人はみな、
手をとめて、きちんと話を聞き、本のある場所に案内してくれた。
本書を読んで、そんな現場の雰囲気が、
どのように作られているのかがよくわかった。
峰岸達のイラストと、つけられているコメントも楽しい。
本好きの人なら、きっと微笑んでしまうはず。
本好きを自認する人が、書店への不満を口にしているのをよく目にするが、
現場の大変さがどれだけわかっているのかな、と、この本を読むと思う。
閉店時間が延び、過酷といっていい状況のなかで、
若い書店員が奮闘している様子には、やはり希望があると思いたい。
それにしても、著者のような上司がいたら、
本当に働きやすいだろうなあ〜、とうらやましくなった。
2006年10月7日に日本でレビュー済み
大型書店・ジュンク堂の東京池袋本店・副店長が書いた業界裏話エッセイ。この著者は以前渋谷にあった書店リブロに勤務していた経験があり、当時の思い出を綴った『
書店風雲録
』を物しています。本書「書店繁盛記」はそのいわば姉妹編にあたる一冊です。
読みづらさを感じたのは私だけでしょうか。業界の専門用語が若干出てくるのですが、私のような門外漢には思いのほか説明不足のままお話が進んでしまう箇所がいくつかありました。
また著者の句読点の打ち方はかなり変則的だとも感じます。一文がかなり長くて意味が取りづらいなと思って読み返すと、本来は句点を打って二文に分けるべきところに読点が打たれているという場合が一度ならずありました。
とはいうものの、書店経営の厳しい時代の苦労に満ちた裏話は、本好きの私にとってはとても興味深いものです。売り場面積2000坪という、日本ではなかなか他所ではお目にかかれない規模を持つこの書店で働く人々の、一所懸命さは十分伝わる書といえます。クレーム好きや異臭を放つ「困ったちゃん」系のお客との悲しく、時に不毛なバトルは、サラリーマンである私には大いに共感を覚えるエピソードでした。
たまたま本書をJR線電車の中で読み終えたので、池袋まで寄り道して5年ぶりにジュンク堂まで足を伸ばしてみました。本書に実名で出てくる書店員のお一人をお見かけしました。表紙イラストとは全然似ていらっしゃいませんでしたけど、メガネをかけて精悍なお顔立ちで店内を足早に歩いている姿と、本書のエピソードを重ねてみるのも不思議な感じの経験でした。
読みづらさを感じたのは私だけでしょうか。業界の専門用語が若干出てくるのですが、私のような門外漢には思いのほか説明不足のままお話が進んでしまう箇所がいくつかありました。
また著者の句読点の打ち方はかなり変則的だとも感じます。一文がかなり長くて意味が取りづらいなと思って読み返すと、本来は句点を打って二文に分けるべきところに読点が打たれているという場合が一度ならずありました。
とはいうものの、書店経営の厳しい時代の苦労に満ちた裏話は、本好きの私にとってはとても興味深いものです。売り場面積2000坪という、日本ではなかなか他所ではお目にかかれない規模を持つこの書店で働く人々の、一所懸命さは十分伝わる書といえます。クレーム好きや異臭を放つ「困ったちゃん」系のお客との悲しく、時に不毛なバトルは、サラリーマンである私には大いに共感を覚えるエピソードでした。
たまたま本書をJR線電車の中で読み終えたので、池袋まで寄り道して5年ぶりにジュンク堂まで足を伸ばしてみました。本書に実名で出てくる書店員のお一人をお見かけしました。表紙イラストとは全然似ていらっしゃいませんでしたけど、メガネをかけて精悍なお顔立ちで店内を足早に歩いている姿と、本書のエピソードを重ねてみるのも不思議な感じの経験でした。
2011年3月7日に日本でレビュー済み
本好きの人には堪らない一冊です。
私自身、書店で本を探すのが楽しみな人間で、思わぬところで自分好みの本を見つけると嬉しくなってしまいます。
この本を読んで、書店員さんたちが工夫を凝らして作ってくれる「棚」に一層興味がわきました。
これからは、そうした視点でも書店の「棚」を見てみたいと思います。
この本は、書店の内部事情を的確に表現し、そこで働く人々の悲喜こもごもが良く伝わってきます。
同時に、「本」の将来と言うものへの危惧を伴ったことがらも多く書かれていて、これからどうなってしまうのだろうと言うことも考えさせられます。
しかし、私が一番興味深かったことは、ここに書かれていることが「書店」と言う枠に留まっていないことで、それだけ著者の「目」の観察力を強く感じました。
その「目」は「書店」を通して、世の中一般的な関心事として私たちに訴えかけているように思います。
最後に言いたいと思います。
「書店員さん、頑張れ!」
私自身、書店で本を探すのが楽しみな人間で、思わぬところで自分好みの本を見つけると嬉しくなってしまいます。
この本を読んで、書店員さんたちが工夫を凝らして作ってくれる「棚」に一層興味がわきました。
これからは、そうした視点でも書店の「棚」を見てみたいと思います。
この本は、書店の内部事情を的確に表現し、そこで働く人々の悲喜こもごもが良く伝わってきます。
同時に、「本」の将来と言うものへの危惧を伴ったことがらも多く書かれていて、これからどうなってしまうのだろうと言うことも考えさせられます。
しかし、私が一番興味深かったことは、ここに書かれていることが「書店」と言う枠に留まっていないことで、それだけ著者の「目」の観察力を強く感じました。
その「目」は「書店」を通して、世の中一般的な関心事として私たちに訴えかけているように思います。
最後に言いたいと思います。
「書店員さん、頑張れ!」
2006年12月9日に日本でレビュー済み
前作「風雲録」は、リブロにいた著者の視点からの70〜90年代の本をめぐる現場の記録。
本作は、その後職場はジュンク堂に変わり時代も変わったものの、やはり書店の現場からの日々のレポートをまとめたもの。
本への愛情と書店で働く人たちの思いが、率直に伝わってくる。
まえがきによれば、「全ての書店が繁盛しますように」との願いから「書店繁盛記」というタイトルはつけられたそうだ。
著者はここ数年の書店を取り巻く状況の変化を深く憂いている。
そしてこの変化がもたらす更なる状況への危機感は強い。
故に、言う。
「日本の「知の現場」の水準を維持するのは、この書店という場に来てくださる読者というお客様なのです。決して創っている人々ではありません」と。
「知の現場の水準の維持」という発想は、書店人かつ読書人ならではのものかも知れない。
5年後、10年後、人はどこでどうやって本を買うのだろうか?
本作は、その後職場はジュンク堂に変わり時代も変わったものの、やはり書店の現場からの日々のレポートをまとめたもの。
本への愛情と書店で働く人たちの思いが、率直に伝わってくる。
まえがきによれば、「全ての書店が繁盛しますように」との願いから「書店繁盛記」というタイトルはつけられたそうだ。
著者はここ数年の書店を取り巻く状況の変化を深く憂いている。
そしてこの変化がもたらす更なる状況への危機感は強い。
故に、言う。
「日本の「知の現場」の水準を維持するのは、この書店という場に来てくださる読者というお客様なのです。決して創っている人々ではありません」と。
「知の現場の水準の維持」という発想は、書店人かつ読書人ならではのものかも知れない。
5年後、10年後、人はどこでどうやって本を買うのだろうか?
2007年5月4日に日本でレビュー済み
サラリーマン時代は、個性派で、よく上司と意見のバッティングがありました。
こんな本屋さんに勤めていたら、居心地が良くて、売り上げも伸ばせたかも知れませんね。
そう、社員の個性を殺さずに、精一杯伸ばそうとする会社って、将来性もありますね。
そういえば、最近駅前にあるK書店に行かなくなりました。
誰もが一生にそう何冊も本を読める訳でないのです。せっかく買って読む本への期待と、
いい本で感動したい道しるべも探しているのです。コミュニケーションもあったらいい
ですね。
「店員作家」という言葉もありますが、平積みの横に売り口上でなく「純粋にこの本
が好き」という個性と説得力のある書評を書いてくれたら、きっと買い求めるでしょうね。
こんな本屋さんに勤めていたら、居心地が良くて、売り上げも伸ばせたかも知れませんね。
そう、社員の個性を殺さずに、精一杯伸ばそうとする会社って、将来性もありますね。
そういえば、最近駅前にあるK書店に行かなくなりました。
誰もが一生にそう何冊も本を読める訳でないのです。せっかく買って読む本への期待と、
いい本で感動したい道しるべも探しているのです。コミュニケーションもあったらいい
ですね。
「店員作家」という言葉もありますが、平積みの横に売り口上でなく「純粋にこの本
が好き」という個性と説得力のある書評を書いてくれたら、きっと買い求めるでしょうね。