シェイクスピア作品の中でも一番心惹かれる「マクベス」を下敷きにした作品、
しかもあの三人の魔女側から書かれたものだということで、久しぶりに厚い本に手を出してみた。
小さな頃から憎しみを自らの糧として生きてゆくことが、時に自分に良くしてくれた人たちすらも
不幸に巻き込んでしまうという筋はこびは、かつての自分の心情・状況に添って、共感よりもむしろ
苦い追体験を呼び起こしたりした。
アメリカ人女性の作品の所為か、ラストはフェミニズム臭とハリウッド映画のごとき楽観てんこもりで、
こんなに簡単でいいのかと、少々鼻白んでしまった。
映画「バクダット・カフェ」が脳裏をよぎった。
結局マクベスが悪者になることでまとめられていて、デティールが読ませるだけに、拍子抜け感は否めません。
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三番目の魔女 単行本 – 2007/5/1
- 本の長さ453ページ
- 言語日本語
- 出版社ポプラ社
- 発売日2007/5/1
- ISBN-104591097846
- ISBN-13978-4591097847
登録情報
- 出版社 : ポプラ社 (2007/5/1)
- 発売日 : 2007/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 453ページ
- ISBN-10 : 4591097846
- ISBN-13 : 978-4591097847
- Amazon 売れ筋ランキング: - 481,941位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,269位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
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2007年6月30日に日本でレビュー済み
これはシェイクスピアの「マクベス」を題材に、そこに登場する3人の魔女の中の一人を主人公にして、その少女の冒険、苦難、成長を描いた物語だ。店頭で見かけた時、一瞬で「これは面白そうだ!」と買うのを決めた。作者の女性はアメリカの劇作家で、これが小説デビュー作。高校で演劇を教える教師・演出家でもある。期待に違わず面白かった。
さて、そもそも「マクベス」はシェイクスピアの中でも異様な傑作だ。高校時代に読んだ時の興奮を憶えている。例の有名な言葉「きれいは汚い、汚いはきれい」は、反キリスト的価値転倒の現れとしての「魔女」という存在の象徴的な言葉であろうが、それとは別に作品中の他の魔女の言葉、「女から生まれた男にお前が殺されることはない」、「バーナムの森が動かぬ限りお前は滅びない」という、本来強い否定の意味の比喩、レトリックに過ぎなかった筈のものが、〈帝王切開で生まれたので、その例外〉、〈兵団の偽装の為に樹を伐って枝葉を身に纏って進軍したので森が動いたように見えた〉というオチには感心したものだ。この〈ひっかけ〉、ちょっと無理があるんじゃ?とも少しは思ったが…。
で、この「端役」ではありながらマクベスの生を翻弄し、死に至らしめる重要な役どころを演じた魔女たちの一人を主人公にする、なんて途方も無い設定ではないか! なんという着眼点だろう! そして見事に成功している。
単に視点を変えて「マクベス」を語り直す、というのではない。「マクベス」本編の冒頭、彼が3人の魔女に会うシーンは、この小説の中では半分まで進行してやっと出て来る。
つまり、そこに至るまでの少女の苦難、復讐を誓ってマクベスに近づこうとするまでのディテールが、極めてリアルに紙幅を費やして描かれているのだ。中世スコットランドのお城の中、台所の様子などが克明に描かれる。時折原作のシーンも挿入されるが、この作品はその「マクベス」の範疇を抜け出て、別の新たな血沸き肉踊る作品として成立させるのに成功しているのだ。
マクベスを知っている人は勿論、そうでない人でも十分楽しめるだろう。
さて、そもそも「マクベス」はシェイクスピアの中でも異様な傑作だ。高校時代に読んだ時の興奮を憶えている。例の有名な言葉「きれいは汚い、汚いはきれい」は、反キリスト的価値転倒の現れとしての「魔女」という存在の象徴的な言葉であろうが、それとは別に作品中の他の魔女の言葉、「女から生まれた男にお前が殺されることはない」、「バーナムの森が動かぬ限りお前は滅びない」という、本来強い否定の意味の比喩、レトリックに過ぎなかった筈のものが、〈帝王切開で生まれたので、その例外〉、〈兵団の偽装の為に樹を伐って枝葉を身に纏って進軍したので森が動いたように見えた〉というオチには感心したものだ。この〈ひっかけ〉、ちょっと無理があるんじゃ?とも少しは思ったが…。
で、この「端役」ではありながらマクベスの生を翻弄し、死に至らしめる重要な役どころを演じた魔女たちの一人を主人公にする、なんて途方も無い設定ではないか! なんという着眼点だろう! そして見事に成功している。
単に視点を変えて「マクベス」を語り直す、というのではない。「マクベス」本編の冒頭、彼が3人の魔女に会うシーンは、この小説の中では半分まで進行してやっと出て来る。
つまり、そこに至るまでの少女の苦難、復讐を誓ってマクベスに近づこうとするまでのディテールが、極めてリアルに紙幅を費やして描かれているのだ。中世スコットランドのお城の中、台所の様子などが克明に描かれる。時折原作のシーンも挿入されるが、この作品はその「マクベス」の範疇を抜け出て、別の新たな血沸き肉踊る作品として成立させるのに成功しているのだ。
マクベスを知っている人は勿論、そうでない人でも十分楽しめるだろう。