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スパイラル 単行本 – 2007/12/1
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ボーダーレス・サスペンスの傑作だ。----新堂冬樹(作家)
これは男と女が出会ったときにおきる化学反応の一部始終を、
隔離された別荘を舞台に描ききった作品である
----池上冬樹(「asta*」1月号より)
深い森の別荘に閉じ込められた、片桐春彦と東城秋生。出口のない緊張空間で欲望が結びついたとき、二人の運命は衝撃の結末へと動き出す----。
東城秋生は、ある朝目覚めると、見知らぬベッドの上にいた。そこへ現れたのは仕事相手の片桐春彦。片桐は前の晩、泥酔した秋生にせがまれて、自分の別荘に連れてきたというが、秋生には記憶がない。疑念が交錯する中、嵐のため帰路は絶たれてしまう。私は、監禁されているのだろうか?
閉ざされた空間で、二人の危険な駆け引きがはじまる----。
気鋭の著者による、渾身の書き下ろし小説
- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社ポプラ社
- 発売日2007/12/1
- ISBN-10459110009X
- ISBN-13978-4591100097
商品の説明
著者からのコメント
このような状況に追い込まれたら、あなたならどうしますか?
男と女の心理の相違。己の想像力が及ぶ領域。他者とは、真の意味で理解し合えるのか。
この小説のテーマは、そんな様々なクェスチョンです。
もしも、あなたがこの状況に遭遇したなら、どのように感じ、どのように想像し、どのような行動をとるでしょうか。
抜粋
Sat.
閉じた瞼の裏が、赤く発光していた。体内を侵略するような強さだった。
少しずつ目を開けた。その睫毛の隙間から、今度は透明な白が飛び込んできた。
東城秋生は、光のほうに視線を動かした。窓から太陽光が降り注いでいた。その眩しさに一瞬、眉を顰めた。
横になった躰を支えているものは、いつもと少し感触が違っていた。背中や腰に感じる強いスプリング。わずかに湿ったシーツ。マットレスからは微かに黴の匂いがする。広さからするとダブルベッドのようだ。
自分の部屋ではなかった。
上半身を起こすと、痛みがこめかみを刺した。鉛を詰め込んだように頭が重い。頭骨の内側に、何か固いものがぶつかる感覚がある。
ここは、どこなのだろう----。
ゆっくりと辺りを見回した。視界はまだ、曇りガラス越しに見るようにぼんやりとしている。
アンティーク調の壁紙。窓の隅に纏められた、黒いベルベットのカーテン。古びたトルコ調柄の絨毯。他には何もなかった。
発光する視界の中で、見覚えのあるものを見つけた。枕元に置かれた、A4サイズの書類が入る黒革のバッグ。壁のコートハンガーに掛けられている、ライトグレーのパンツスーツと黒いブラウス。どちらも自分のものだ。
秋生は自分の躰を見た。黒いキャミソール型のインナー、ブラジャーとショーツ。身に着けているのは、それだけだった。
どういう状況におかれているのか、全く理解ができなかった。ここでこうして眠るまでの経緯に、記憶はなかった。なぜ、自分はここにいるのか。
突然、鼓膜に音が忍び込んだ。ドアをノックする音。
「目が覚めた?」
男の声。振り返った。
ドアの前に人影があった。秋生は視線を上げ、その顔に焦点を合わせた。それは、よく知っている人物だった。
片桐春彦、仕事の相手。昨夜、この男と飲んでいた。金曜の夜、六本木のバーで。
秋生は肩まで布団を掛け直した。咄嗟のことに言葉が出なかった。
片桐は、四十歳にしては引き締まった体躯をしていた。無駄を嫌うような躰に、品のいい小さな顔がついている。そしてその顔はいつも、柔らかさと鋭さを併せ持っていた。共存する対極の印象。決して美形でもスタイルがいいわけでもなかった。だが、どこか人を惹き付ける雰囲気のある男。
著者について
登録情報
- 出版社 : ポプラ社 (2007/12/1)
- 発売日 : 2007/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 222ページ
- ISBN-10 : 459110009X
- ISBN-13 : 978-4591100097
- カスタマーレビュー:
著者について
清野かほり KAORI KIYONO
Born in 1968 from Fukushima
2003 "石鹸オペラ" で第9回 小説新潮長編新人賞受賞
"The soap opera" The 9th novel SHINCHO a long novel newcomer award winner
◆ 単行本/Book (Japanese)
'04 『石鹸オペラ』受賞作/長編小説(新潮社)
award-winning work "The soap opera" Long novel (SHINCHO company)
’05『テッキーヤ!』長編小説(講談社)
"TEKKIYA! "Long Novel (Kodansha)
’07 『スパイラル』長編小説(ポプラ社)
"Spiral" Long novel (Poplar company)
’09 『万華鏡』短編小説集(朝日新聞出版)
"Kaleidoscope" short stories collection (Asahi Shimbun publication)
’14『ID・アイディー』長編小説(牧野出版)
"ID " Long novel (MAKINO Publishing)
↓
インタビュー映像/Interview video
https://www.youtube.com/watch?v=ul8V1tjfQUw
◆ 電子書籍/E-book (Kindle edition , Other/Japanese)
’12 『万華鏡』短編小説集(朝日新聞出版)
"Kaleidoscope" short stories collection (Asahi Shimbun publication)
’15 『天国へダイヴ』短編小説
"Dive to Heaven" short novel
’15 『欲望のアクア』短編小説
"Aqua of Desire" short novel
’15 『愛を喰うひと』中編小説
"People who eat love" mid-course novel
’15 『石鹸オペラ』受賞作/長編小説
"Soap Opera" award-winning work / Long novel
’16 『熱波 3.11』長編小説
"Heat wave 3.11" Long novel
’16 『ID外伝』掌編小説
"ID Side Story" very short novel
’16 『イデアの恋人』短編小説
"The Lover of Idea" short novel
’17 『(続)ストレンジな人びと・ちまたで出会った変な人』エッセイ
(Sequel) "strange people, strange people I met at city" Essay
’17 『最後の花粉症者』短編小説
“The hay fever man of last” short novel
’18 『全人類女性化計画』短編小説
"All humanity feminization plan" short novel
’18 『ペイン・スコール』長編小説
"Pain Squall" Long novel
’19『ストレンジな人びと〈危〉男性考察編』エッセイ
“Strange People, (Dangerous) Think men” Essay
’19 『ストレンジな人びと・年寄りは自由だぞ編』エッセイ
"Strange people, old people are freedom" Essay
’19 『のらネコ ぷぅ』絵本(日本語版)
"Stray cat Pu" picture book (Japanese version)
’19 ”Stray cat Pu" picture book (English version)
’19 『ネコの変なポーズ1 Funny pose of cat Poor picture』
”Funny pose of cat Poor picture “cartoon (Japanese/English)
’19 『ネコの変なポーズ2 Funny pose of cat Poor picture』
”Funny pose of cat Poor picture “cartoon (Japanese/English)
’19 ”Funny pose of cat 1 Poor picture “cartoon (English)
’19 ”Funny pose of cat 2 Poor picture “cartoon (English)
清野かほり(きよの かおり)
2003年 第9回小説新潮長篇新人賞を『石鹸オペラ』で受賞
■単行本
受賞作2004年『石鹸オペラ』新潮社
2005年『テッキーヤ!』講談社
2007年『スパイラル』ポプラ社
2009年『万華鏡』朝日新聞出版
2014年『ID』牧野出版
※『ID』著者インタビュー映像
https://www.youtube.com/watch?v=ul8V1tjfQUw
■Kindle本
2012年『万華鏡』短編集/朝日新聞出版
2015年『愛を喰うひと』中編小説
『天国へダイヴ』短編小説
『欲望のアクア』短編小説
『石鹸オペラ』受賞作長編
2016年『熱波 3.11』長編小説
『ID外伝』掌編小説
『イデアの恋人』短編小説
2017年『(続)ストレンジな人びと』エッセイ
『最後の花粉症者』短編小説
2018年『全人類女性化計画』短編小説
『ペイン・スコール』長編小説
2019年『ストレンジな人びと〈危〉男性考察編』エッセイ
『ストレンジな人びと・年寄りは自由だぞ編』エッセイ
『のらネコ ぷぅ』絵本
『Stray cat Pu』Picture book
『ネコの変なポーズ ヘタクソ絵 Funny pose of a cat Poor picture』
1コマ漫画/One-frame cartoon
『全国民愚民化計画』短編小説
『テロリストの遺言』長編小説
『JOKERを語りたい』映画考察
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
人間関係というものは、一見安定した関係を維持していても、実際はこんなものなのかも知れない。
小説としては、一気に読みきれる軽快さが感じられるが、その人間心理の動きをリアルに浮き彫りにする描写力には、とても感心した。
また、作者自身の人生観、人間観をも垣間見たような気がする。
やはり、この「複雑で微妙で不安定さ」こそが、真理なのかもしれない。
読者各位の人生観も、一考の余地ありでは?
その上、秋生だけでなく相手の片桐にも嫌悪感を覚える始末。
実はこの感覚こそ、作者の術中にはまってしまった証なのでは?と思わされることに。
気が付けば、秋生の心理状態と片桐言動1つ1つから目が離せない。
中盤以降からは、もう止めることができず一気に読みきってしまいました。
あれだけ登場人物にムカついていたにも関わらず、この読後感の良さはなんなのだろう?
もしくは、なぜ、家にはワインがないのだろうと。
444/222P の小説である。
2回読んでこそ、この物語は完結するからである。
巧みな表現で 丁寧に綴られている文章の中、主人公の不安と希望が
繰り返し、酔いのように読み手を翻弄するのだ。
片桐と秋生の関係は一見、大人で常にゲームのよう。
しかし、ゲームの終了はいつなのか、どんな結末が待っているのか
さっぱり分からず、まるで薄氷の上にいるような
スリリングでギリギリの駆け引きに、どんどん取り込まれてしまうのだ。
作者は、まったくいいタイトルをつけたものだと思う。
読み進めていく途中、そのスリリングな駆け引きをどう受け取るかは
読み手の生き様によって、大きく変わるに違いない。
もし、あなたにパートナーがいるならば、是非結末の前に
感想を述べあうといい。
必ず、それぞれの人生が投影されている事に、
驚きとおもしろさを感じるだろう。
もし、これを読んでこの本を手にする人は、ワインを用意してから
読むのだろうか?
その事が、ちょっと悔しくて羨ましい。