解説の金原瑞人さんが書いているように、幻想小説でもあり、ミステリでもあり、ジュブナイルでもあり、という万華鏡のような作品です。
ジュブナイル部分は、アーサー・ランサムの影響が大きく、夏休みの田舎の冒険で土地の姉妹と共闘したり張り合ったり、という愉しさがあります。
またYA文学としては両親が離婚しそうで、田舎に一時避難というケースです。
ミステリとしては、断続的な少女殺人事件から、土地の因縁を調べてゆく少年探偵団ものです。
けれども一番印象に残るのは、三兄妹の長男千秋が、この土地と季節を膚で体験する描写です。同性愛ではないかと悩む中学生の少年に、かつてこの土地で起きた戦時中の残酷な炭鉱争議の記憶が、夏の風土とともに繊細に触れてきます。
作者はこの炭鉱問題などの歴史の専門家らしく、炭鉱の建物や廃坑や村の自然の描写は迫真的です。しっかりと構築された〈場〉で起きた悪夢の記憶が、いわばヒトからヒトへ、不可思議に転写されてゆくのですが、単なるホラー幻想小説ではなく、最後に鉱山という神話の古層に触れてゆく美しい文学になっています。
(上橋菜穂子さんの『闇の守り人』を連想させるところもあります)
妹たちを含めた少女のキャラは特に作り込んでいないので、コージーミステリの方角に行く人ではないと思いますが、処女作として多面的なカットを見せたダイヤモンドのような、というか、夏の空気感やものうい風の輝きが香ってくる忘れがたい作品。久々によい「夏文学」を読みました。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥660¥660 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥660¥660 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥1¥1 税込
配送料 ¥297 6月14日-16日にお届け
発送元: ブックサプライ北大阪DC 販売者: ブックサプライ北大阪DC
¥1¥1 税込
配送料 ¥297 6月14日-16日にお届け
発送元: ブックサプライ北大阪DC
販売者: ブックサプライ北大阪DC
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
(P[く]2-1)黒揚羽の夏 (ポプラ文庫ピュアフル) 文庫 – 2011/7/5
倉数 茂
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥660","priceAmount":660.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"660","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"5vrSSurHXyIFg74T%2F%2FI0QXtMMwTpjUvRmFG%2FNY42OfGjDQ6PH3lP4PWhLRXq1yW5c7qj233xOdvqzJ94QuUW%2FeY3s4ByMnjNcPuQxzGhnPdg8qZgQWRmAPzn21vL95QLggXZxZ2clTM%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1","priceAmount":1.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"5vrSSurHXyIFg74T%2F%2FI0QXtMMwTpjUvRSPAVvAeVw4RGhZSiVyh1t%2FR%2BNfZk%2BNrVJd9Yf1ilFRvzChm%2BWBzPbyh%2FUOMklKICwkXE%2FZdhzYgmw5g0XaCUHfCnyCPzjYzhYW65fb2g1QG30BjAK%2Bj7xLBMKtpkzSiT1YEk6jrTqcpqIWMgq9Ov8g%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
水底で殺された少女と出会った夏――
全選考委員を魅了した
ピュアフル小説賞「大賞」受賞作!
離婚協議中の両親の都合で、祖父のいる東北の田舎に預けられた千秋、美和、颯太。
町に台風が訪れた日、美和は水たまりに映る不気味な女の姿を見る。
それが不可解な事件の始まりだった。
押入れから出てきた六十年前の日記、相次ぐ少女の失踪、奇妙な映画のフィルム……
交錯する現在と過去に翻弄されながらも、千秋たちは真相に迫る。
圧倒的な世界観で全選考委員を魅了したピュアフル小説賞「大賞」受賞作。
妖しくも美しいひと夏のミステリー。
〈解説・金原瑞人〉
全選考委員を魅了した
ピュアフル小説賞「大賞」受賞作!
離婚協議中の両親の都合で、祖父のいる東北の田舎に預けられた千秋、美和、颯太。
町に台風が訪れた日、美和は水たまりに映る不気味な女の姿を見る。
それが不可解な事件の始まりだった。
押入れから出てきた六十年前の日記、相次ぐ少女の失踪、奇妙な映画のフィルム……
交錯する現在と過去に翻弄されながらも、千秋たちは真相に迫る。
圧倒的な世界観で全選考委員を魅了したピュアフル小説賞「大賞」受賞作。
妖しくも美しいひと夏のミステリー。
〈解説・金原瑞人〉
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社ポプラ社
- 発売日2011/7/5
- 寸法1.3 x 10.5 x 14.8 cm
- ISBN-104591125254
- ISBN-13978-4591125250
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : ポプラ社 (2011/7/5)
- 発売日 : 2011/7/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4591125254
- ISBN-13 : 978-4591125250
- 寸法 : 1.3 x 10.5 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 659,663位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 143位ポプラ文庫ピュアフル
- - 177,286位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.7つ
5つのうち3.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
11グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年8月1日に日本でレビュー済み
離婚の危機を迎えた夫婦の子供たち三人は両親の話し合いが終わる迄の間、母親の実家に預けられる。そこは廃鉱のある土地で、かつては地下の坑道でニオヅヒメを祀っていたらしい。
そこで起きる少女の殺人事件、自動車泥棒・・・
ミステリータッチなのだが、ミステリーとは云い切れない。
ではジュヴナイルかどうかと云うと・・・
母親のキャラクターが僅かに判る程度で父親のキャラクターに至っては一切不明・・・つまり読者にとっては子供達の両親自体が謎の人物になってしまっていて、一応、14歳になる長男の精神的成長について少しは触れられているものの、本作は子供達の成長を描いてはおらず、又、子供達の世界を描こうとしているのでもなく、その点でジュヴナイルではない。
それに何処迄が本当の事なのか判らない幻想シーン・・・
主人公の少年とヒロインである武闘派シスターズの姉とが出会い仲好くなる話でもあるのだが、一見ボーイミーツガールものの様でも主人公の少年がゲイであるのでラヴコメにもならないし、かと云って、ゲイに悩む少年を描くでもなく・・・
結局のところ、エンターテイメントとして楽しめる幻想小説と云ったところか。
そこで起きる少女の殺人事件、自動車泥棒・・・
ミステリータッチなのだが、ミステリーとは云い切れない。
ではジュヴナイルかどうかと云うと・・・
母親のキャラクターが僅かに判る程度で父親のキャラクターに至っては一切不明・・・つまり読者にとっては子供達の両親自体が謎の人物になってしまっていて、一応、14歳になる長男の精神的成長について少しは触れられているものの、本作は子供達の成長を描いてはおらず、又、子供達の世界を描こうとしているのでもなく、その点でジュヴナイルではない。
それに何処迄が本当の事なのか判らない幻想シーン・・・
主人公の少年とヒロインである武闘派シスターズの姉とが出会い仲好くなる話でもあるのだが、一見ボーイミーツガールものの様でも主人公の少年がゲイであるのでラヴコメにもならないし、かと云って、ゲイに悩む少年を描くでもなく・・・
結局のところ、エンターテイメントとして楽しめる幻想小説と云ったところか。
2011年11月1日に日本でレビュー済み
父と母の不仲を契機に、主人公の少年と妹弟が祖父の住む東北地方のかつての炭鉱の町でひと夏を過ごす。
町で過去にあった忌まわしい少女殺人事件と現在の事件がリンクし、
炭鉱の町に眠っていた忌まわしい記憶が徐々に紐解かれていく。
この作品の秀逸さは、単なる謎解きミステリーにとどまらず、
東北地方のさびれた炭鉱の町と田舎の夏の風景描写を丁寧に書き上げている点だ。
眼を閉じると、アスファルトの照り返しと草いきれの匂い、熱気の中に立つ廃工場、夕立、夜の田園に響く蛙の音…、夏の風景をありありと作中に感じ取ることができる。
14歳の子供から大人への過渡期の視点で語られるひと夏の冒険譚。
思春期特有の性の悩み、
長く疎遠だった祖父と孫の関係、
事件を探るために地元の美人姉妹との共闘など、
この時期にしか体験できない夏がどこかS.キングの「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせる。
ノスタルジックな夏の雰囲気を背景に、冒険、ミステリー、オカルトなど存分にエンターテイメントとして楽しめる。
町で過去にあった忌まわしい少女殺人事件と現在の事件がリンクし、
炭鉱の町に眠っていた忌まわしい記憶が徐々に紐解かれていく。
この作品の秀逸さは、単なる謎解きミステリーにとどまらず、
東北地方のさびれた炭鉱の町と田舎の夏の風景描写を丁寧に書き上げている点だ。
眼を閉じると、アスファルトの照り返しと草いきれの匂い、熱気の中に立つ廃工場、夕立、夜の田園に響く蛙の音…、夏の風景をありありと作中に感じ取ることができる。
14歳の子供から大人への過渡期の視点で語られるひと夏の冒険譚。
思春期特有の性の悩み、
長く疎遠だった祖父と孫の関係、
事件を探るために地元の美人姉妹との共闘など、
この時期にしか体験できない夏がどこかS.キングの「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせる。
ノスタルジックな夏の雰囲気を背景に、冒険、ミステリー、オカルトなど存分にエンターテイメントとして楽しめる。
2012年5月24日に日本でレビュー済み
最後まで読まないのが許せない性格をしているのですが、これは駄目でした。
本の途中で挫折したのは三年ぶりくらいです。
登場人物が死んでます。生きてません。大して個性が感じられず、登場人物の後ろに著者がいるのを常に意識させられて苦痛でした。
また、もっと簡単な表現を使えば良いのにと思ってしまうような、やや読みにくい箇所が多々ありそれも気になります。
それに美和が男にタックルするシーンなど、動きのある場面で臨場感がなくて退屈に感じた。
巻末の解説や他の方のレビューを見る限り読み進めれば面白くなるのかもしれないけれど、自分には耐えられません。
本当は星一つにしたいけど、途中で止めてしまったので星二つ。
本の途中で挫折したのは三年ぶりくらいです。
登場人物が死んでます。生きてません。大して個性が感じられず、登場人物の後ろに著者がいるのを常に意識させられて苦痛でした。
また、もっと簡単な表現を使えば良いのにと思ってしまうような、やや読みにくい箇所が多々ありそれも気になります。
それに美和が男にタックルするシーンなど、動きのある場面で臨場感がなくて退屈に感じた。
巻末の解説や他の方のレビューを見る限り読み進めれば面白くなるのかもしれないけれど、自分には耐えられません。
本当は星一つにしたいけど、途中で止めてしまったので星二つ。