D.Dと呼ばれる少年の成長物語、
と呼ぶには、あまりに複雑で重い人間関係が描かれています。
一度途中まで読んだことがあったのですが、20年以上も経ってしまって、ほとんど話の中身を忘れていました。
おかげで全く先入観を持つことなく読むことができで、あらためて作品の持つ吸引力と言うか、深さと言うか、世界観に飲み込まれました。
読む人の読解力、観察力をこれほど試される作者さんには、未だ出会いません。
何気なく読み始めた一巻目、登場人物達に抱いた印象は、巻を進める毎に二転三転していきます。
最終巻まで読みきったあと、絶対にもう一度最初から読み返したくなる。
そこに見えてくるのは、すべての事情が明らかにされたあとには、同じ景色、同じ台詞でも全く違った意味を持ってくると言う隠し絵のような作者の意図。
四十代の若さで亡くなられたの本当に残念ですが、密度の濃い作品たちを読む限り、寂しいと言うより、これだけの優れた作品たちを残してくれたことに感謝したい気持ちの方が大きくなります。
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Sons (1) (白泉社文庫 ムーン・ライティング・シリーズ) 文庫 – 1999/6/1
三原 順
(著)
- 本の長さ301ページ
- 言語日本語
- 出版社白泉社
- 発売日1999/6/1
- ISBN-104592882571
- ISBN-13978-4592882572
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登録情報
- 出版社 : 白泉社 (1999/6/1)
- 発売日 : 1999/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 301ページ
- ISBN-10 : 4592882571
- ISBN-13 : 978-4592882572
- Amazon 売れ筋ランキング: - 398,850位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2016年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年3月2日に日本でレビュー済み
数十年マンガを読んできて、いろいろな傑作に出会ってきましたが、私にとってこれを超えるものはないような気がします。
三原作品は、ジャンルとしては純正なマンガというより文学に寄った作品で、私が学生の頃も、「字が多すぎる」「理屈っぽすぎる」と嫌がる友達もいました。その後プロの漫画家になった友人は、「あれはマンガじゃない」とまで言いました。が、裏を返して言うと、テーマやストーリーに重きを置いた文学や映画を好きな人にはお勧めです。文字情報が強すぎて印象が薄れるのでしょうが、絵の表現も決して疎かにはされていません(例えばこの作品では、孤独を表す雪原のロングショット、点描の狼の神話的な美しさが素晴らしい)。
最も有名な『はみだしっ子』は、大人が読むと生硬なところもあるので、10代の読者が登場人物と同じ目線で読むのがいいと思います。その後社会的メッセージ性の強い『Xday』や大人っぽい短編群を経て、絵柄も変わり、満を持して作者のライフテーマである親と子の問題に戻ってきたのがこの『SONS』です。ファンタジーである『ムーンライティング』がリアリズムに引き戻され、ファンタジーとリアリズムが混在し、アメリカ文学の傑作を読んでいるような感じです。D・D、トマス、ジュニア、ケビン、そしてウィリアム。一人一人が人生にもがく姿が、真剣に、でも時々上質なユーモアを交えて、見事に描かれています。
『はみだしっ子』が苦手だった人にも、『ロングアゴー』はじめ80年代作品、『ムーンライティング』、『SONS』はぜひ読んでほしい。円熟の出来です。
作者が健在だったら、21世紀の今、どんな凄い作品を生んでいたかと思うと、本当に残念です。
三原作品は、ジャンルとしては純正なマンガというより文学に寄った作品で、私が学生の頃も、「字が多すぎる」「理屈っぽすぎる」と嫌がる友達もいました。その後プロの漫画家になった友人は、「あれはマンガじゃない」とまで言いました。が、裏を返して言うと、テーマやストーリーに重きを置いた文学や映画を好きな人にはお勧めです。文字情報が強すぎて印象が薄れるのでしょうが、絵の表現も決して疎かにはされていません(例えばこの作品では、孤独を表す雪原のロングショット、点描の狼の神話的な美しさが素晴らしい)。
最も有名な『はみだしっ子』は、大人が読むと生硬なところもあるので、10代の読者が登場人物と同じ目線で読むのがいいと思います。その後社会的メッセージ性の強い『Xday』や大人っぽい短編群を経て、絵柄も変わり、満を持して作者のライフテーマである親と子の問題に戻ってきたのがこの『SONS』です。ファンタジーである『ムーンライティング』がリアリズムに引き戻され、ファンタジーとリアリズムが混在し、アメリカ文学の傑作を読んでいるような感じです。D・D、トマス、ジュニア、ケビン、そしてウィリアム。一人一人が人生にもがく姿が、真剣に、でも時々上質なユーモアを交えて、見事に描かれています。
『はみだしっ子』が苦手だった人にも、『ロングアゴー』はじめ80年代作品、『ムーンライティング』、『SONS』はぜひ読んでほしい。円熟の出来です。
作者が健在だったら、21世紀の今、どんな凄い作品を生んでいたかと思うと、本当に残念です。
2009年7月17日に日本でレビュー済み
若くしてこの世を去られた三原順氏の晩年の傑作。
三原さんと言えば、複雑な家庭背景(虐待、私生児…その他)を
持った子どもたち4人を個性豊かに描いた「はみだしっ子」が有名です。
ここでも少年の心理描写は健在ですが、円熟した感じがあり、
はじめて三原作品を読む方にお勧めできます。
ある出生の秘密をもった少年DDと「普通」ではない血筋をもった転校生トマス。
二人の奇妙な友情を軸に話が進んでいきます。
どうにもならない現実、うまくやれない自分を追放したい思い…
そんな日々の中でも、楽しみや、心惹かれるものや、
彼を見守ってくれる「ばあちゃん」の存在もいます。
深刻な話の中にもユーモアがあり、
シニカルな中にも暖かさがある。
そんな世界をぜひ味わって下さい。
三原氏の作品は、絵もスゴイ(好みは分かれるかもしれません)。
背景まで精緻に書き込まれ、
コマ割りが多く、読み応えがあります。
文庫版はサイズが小さい分、絵が小さくなってしまうのが
もったいない気もします。
サイズの大きな「ジェッツコミックス版」が
手に入りましたら、そちらで読むこともお勧めします。
三原さんと言えば、複雑な家庭背景(虐待、私生児…その他)を
持った子どもたち4人を個性豊かに描いた「はみだしっ子」が有名です。
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はじめて三原作品を読む方にお勧めできます。
ある出生の秘密をもった少年DDと「普通」ではない血筋をもった転校生トマス。
二人の奇妙な友情を軸に話が進んでいきます。
どうにもならない現実、うまくやれない自分を追放したい思い…
そんな日々の中でも、楽しみや、心惹かれるものや、
彼を見守ってくれる「ばあちゃん」の存在もいます。
深刻な話の中にもユーモアがあり、
シニカルな中にも暖かさがある。
そんな世界をぜひ味わって下さい。
三原氏の作品は、絵もスゴイ(好みは分かれるかもしれません)。
背景まで精緻に書き込まれ、
コマ割りが多く、読み応えがあります。
文庫版はサイズが小さい分、絵が小さくなってしまうのが
もったいない気もします。
サイズの大きな「ジェッツコミックス版」が
手に入りましたら、そちらで読むこともお勧めします。
2001年4月13日に日本でレビュー済み
「え、これが『はみだしっ子』を描いた三原順さんの絵?」とびっくりしたのが最初。でも、読み始めると「やっぱり三原順さんの漫画だ」と納得。そして、読んだ後は「もしかしたら順さん、『はみだしっ子』より達成感があったんじゃないかな」。続編と合わせて読むことをお薦めします。