ある雪の日、主人公たちが墜落した飛行機をみつけ・・・というお話。
巻き込まれ型サスペンスで主人公が加害者っぽいサスペンスは幾つかありますが、これが究極とも言える内容かも。ほんの少しの意見の食い違いから殺人になり、どんどん堕落していくという筋は結構ありますが、ここでの堕落ぶりが凄まじく、最後も勧善懲悪で終わらずに、さりとてハッピーエンドでもないという読む人に何のカタルシスも残さないのが圧倒的に凄く思いました。値のある物を何らかの事情で得たら、適正な処理をした方が後々良い、という著者のメッセージもくみ取れますが、あまり説教臭く、辛気くさくならない所も良かったです。
パトリシア・ハイスミスも勧善懲悪で終わらない物が多いですが、ハイスミスが鬼畜系になったかの様な作品。或いは「正統とはなにか」でチェスタトンが「狂気とは理性がなくなった状態ではなく、理性しかなくなった状態」といったという誠に理性的な作品だと思いました。
一番最初に翻訳された際は評価も高かったですが、一方で不快感を示す人もいたけど、どちらも納得できる感じの小説に思えます。悪銭身につかずを地でいく作品でした。
著者のスミス氏はこの後、あまり作品を出していない様ですが、単発で終わるのでしょうか。この作品からの才気を考えると残念です。
これ一発で終わるともったいない感じのサスペンス。是非ご一読を。
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シンプル・プラン (扶桑社ミステリー) (扶桑社ミステリー ス 10-1) 文庫 – 1994/2/1
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購入オプションとあわせ買い
ある雪の日の夕方、借金を苦にして自殺した両親の墓参りに向かうため、ハンク・ミッチェルは兄とその友人とともに町はずれの道を車で走っていた。途中ひょんなことから、彼らは小型飛行機の残骸とパイロットの死体に出くわす。そこには、440万ドルの現金が詰まった袋が隠されていた。何も危険がなく誰にも害が及ばないことを自らに納得させ、3人はその金を保管し、いずれ自分たちで分けるためのごくシンプルな計画をたてた。だがその時から、ハンクの悪夢ははじまっていたのだった。スティーブン・キング絶賛の天性のストーリー・テラー、衝撃のデビュー作。
- 本の長さ581ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日1994/2/1
- ISBN-104594013562
- ISBN-13978-4594013561
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商品の説明
著者について
ニュージャージー州サミット生まれ。ダートマス・カレッジで心理学と文芸創作を修得後、コロンビア大学大学院で芸術学修士号を取得。27歳で『シンプル・プラン』を発表し、大ベストセラーとなる。その後、長い沈黙を続けたが、2006年に第2作目の本書を刊行した。
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (1994/2/1)
- 発売日 : 1994/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 581ページ
- ISBN-10 : 4594013562
- ISBN-13 : 978-4594013561
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,003,275位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 336位扶桑社ミステリー
- - 5,392位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 10,534位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
著者について
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札幌市出身。出版社勤務、予備校講師を経て翻訳家、エッセイスト。
2000年頃まで冒険家、探検家として世界の洞窟を調査。「もっと深く」(岩波書店)、「地球への挑戦」(日本教文社)などを出版。翻訳家としては「シンプル・プラン」(扶桑社)、「イザベラ・バードのハワイ紀行」(平凡社)、「荒ぶる地球」(岩波書店)などがある。2000年以降はハワイの自然と文化について執筆をつづけており、「フラの本」(講談社)、「ハワイ・ブック」「ハワイアン・ガーデン」(以上、平凡社)などを出版している。
現在、ハワイ火山国立公園アドバイザリー・スタッフ、日本洞窟学会会員、日本エコツーリズムセンター評議員、ほか。
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年9月7日に日本でレビュー済み
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2021年6月21日に日本でレビュー済み
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ストーリーは面白いのだが、主人公の心情について作者が書き込み過ぎて、読者が自由に読めない。また展開そのものも常に冗長に過ぎて、つい飛ばし読みしてしまいたくなる。
2019年10月23日に日本でレビュー済み
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不朽の名作、という評価であったがそれほど楽しめず。なぜそんなことになるのか、という疑問ばかりが頭をよぎってしまう。主人公への移入がほとんどなされなかったことが原因だろうか。
2021年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
兄は学校で酷いいじめを受けていて、それを眺めて見ていた弟、が主人公です。
そつなく人生を送ってきた主人公。対して兄は社会的階層の下の方で生きてきました。
両親は借金を苦に自殺をし、現在では両親の墓参りが唯一の交流となっています。
飛行機事故の現場から大金を手にして二人の関係性は大きく変化しました。
二人はどう接していいか分からない歪な兄弟でしたが、共通の大金を守らなければいけないという目的のためにぎこちなくとも親愛を深めていきました。
しかし、物事の対処を最悪の形で解決する兄の行動で取り返しのない事態に陥りました。
主人公は共犯者であり、兄であるジェイコブのために強引な方法で始末をつけました。
それでも、1つ問題を解決すると2つめ3つめと次々に困難が襲いかかり、主人公はそのたびに非常な手段に出ます。
止まることのない負の連鎖の恐ろしさがこの作品の見どころですね。
借金を苦に農場を手放した両親にかわり、兄が農場を取り戻し農業をしようと勉強していたところが悲しい。
そつなく人生を送ってきた主人公。対して兄は社会的階層の下の方で生きてきました。
両親は借金を苦に自殺をし、現在では両親の墓参りが唯一の交流となっています。
飛行機事故の現場から大金を手にして二人の関係性は大きく変化しました。
二人はどう接していいか分からない歪な兄弟でしたが、共通の大金を守らなければいけないという目的のためにぎこちなくとも親愛を深めていきました。
しかし、物事の対処を最悪の形で解決する兄の行動で取り返しのない事態に陥りました。
主人公は共犯者であり、兄であるジェイコブのために強引な方法で始末をつけました。
それでも、1つ問題を解決すると2つめ3つめと次々に困難が襲いかかり、主人公はそのたびに非常な手段に出ます。
止まることのない負の連鎖の恐ろしさがこの作品の見どころですね。
借金を苦に農場を手放した両親にかわり、兄が農場を取り戻し農業をしようと勉強していたところが悲しい。
2017年12月3日に日本でレビュー済み
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友人に勧められたので読んでみた。意外なストーリー展開だが、何となく予想は付く。オカネに目がくらむとどうなるか。。。と言う話でもあり、愚図はいつまで経っても愚図だというのか。。イイコぶっても、お金の前にはどうしようも無いと捉えるのか、、結局、悪いことをすると因果は巡ると読むのか。。
まあ、面白かった。途中からかなりぐろい話になる。今のDNA技術ならとっくに捕まるだろうけれど、そういう時代の話では無い。
淡々としているが、実に怖い小説である事は確か。。
まあ、面白かった。途中からかなりぐろい話になる。今のDNA技術ならとっくに捕まるだろうけれど、そういう時代の話では無い。
淡々としているが、実に怖い小説である事は確か。。
2015年11月18日に日本でレビュー済み
デビュー作にありがち、気合が入って説明、余計な分が多すぎ。
この本の厚さほど中身が無い。
この本の厚さほど中身が無い。
2015年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「まるで転がる石のように」
解説はみなさんの方が上手なので譲ります。
本文、570ページ越えの読み応えのあるボリュームです。
一日二時間くらい、五日程度で読み終わりました。
読後感は「大きな喪失」
序盤は退屈です。そう人生は退屈なもんです。
でも、慌てずにのんびりと読んでみてください。
100ページ前後からラストまで手が止まらなくなります。
一回弾みがついてしまえば後には引き返せない怖さ。
最善の一手を打ち続けているのに、振り返ってみれば正しかったのか間違っていたのか。
毎日が退屈で仕方のない方は手に取ってみてはいかがでしょうか?
もしかしたら退屈くらいが幸せなのかも、と思ってしまう良いストーリーでした。
解説はみなさんの方が上手なので譲ります。
本文、570ページ越えの読み応えのあるボリュームです。
一日二時間くらい、五日程度で読み終わりました。
読後感は「大きな喪失」
序盤は退屈です。そう人生は退屈なもんです。
でも、慌てずにのんびりと読んでみてください。
100ページ前後からラストまで手が止まらなくなります。
一回弾みがついてしまえば後には引き返せない怖さ。
最善の一手を打ち続けているのに、振り返ってみれば正しかったのか間違っていたのか。
毎日が退屈で仕方のない方は手に取ってみてはいかがでしょうか?
もしかしたら退屈くらいが幸せなのかも、と思ってしまう良いストーリーでした。
2008年9月15日に日本でレビュー済み
普通の市民・一般人が、奈落に落ちていく様を冬の情景を背景に描いた作品。
「ぼくは…」の一人称で、犯罪者の内面を語らせ、掘り下げていきます。
この心象が、心もとないというか、情けない。最後まで救われません。
単純な計画を自分たちに都合良く描き、希望的観測の元に大きく逸脱し、
道を踏み外す物語。
ジェス・ウォルターの「市民ヴィンス」は小悪党の良心の物語でしたが、
この「シンプルプラン」の主人公は、良心を発揮できぬままにラストを迎えます。
「ぼくは…」の一人称で、犯罪者の内面を語らせ、掘り下げていきます。
この心象が、心もとないというか、情けない。最後まで救われません。
単純な計画を自分たちに都合良く描き、希望的観測の元に大きく逸脱し、
道を踏み外す物語。
ジェス・ウォルターの「市民ヴィンス」は小悪党の良心の物語でしたが、
この「シンプルプラン」の主人公は、良心を発揮できぬままにラストを迎えます。