最初から最後まで、地味な笑いがちりばめられている一冊です。
これといった特徴のない主人公なのですが、行動や思考が少しずれているので、次第におかしさがこみ上げてきます。
複雑に絡み合う人間関係ですが、登場人物がそんなに多くはないので、海外物が苦手な人でも読みやすいと思います。
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残酷な夜 単行本 – 2000/5/1
鬼才が放つ暗黒小説、扶桑社刊行第2弾!
『内なる殺人者』には上品な要素は皆無だ。読み直してみて一番驚いたのは、ジム・トンプスンがどれほど書きたい放題に書いているか(そして〈ライオン・ブックス〉がどれほど好きなように書かせたか)ということだった。なにしろアメリカ映画ではブラジャー姿の女性を登場させることが禁じられ、『チャタレー夫人の恋人』を所持していれば——少なくとも理論上は——投獄される可能性があった時代なのだ。
『内なる殺人者』には上品な要素は皆無だ。読み直してみて一番驚いたのは、ジム・トンプスンがどれほど書きたい放題に書いているか(そして〈ライオン・ブックス〉がどれほど好きなように書かせたか)ということだった。なにしろアメリカ映画ではブラジャー姿の女性を登場させることが禁じられ、『チャタレー夫人の恋人』を所持していれば——少なくとも理論上は——投獄される可能性があった時代なのだ。
- 本の長さ322ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2000/5/1
- ISBN-104594028969
- ISBN-13978-4594028961
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
田舎町に現れた青年カール・ビゲロウ。裁判を控え、殺し屋の影に怯えるジェイクの家に寄宿し、ジェイクの妻や娘に次第に接近していくが、状況は彼の想像を超えて展開しはじめた…。異形の暗黒小説。
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2000/5/1)
- 発売日 : 2000/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 322ページ
- ISBN-10 : 4594028969
- ISBN-13 : 978-4594028961
- Amazon 売れ筋ランキング: - 406,589位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年12月21日に日本でレビュー済み
見たくないと言っても、旅に出たらおしまいです。
たっぷり堪能させられます。
ほんの少しの間なのに、印象が強すぎて作品のイメージがころっと変わっちゃいます。
すげぇ。なんだ、これは。
あるいは、「え、なにそれ」か。
うっちゃられて、マイ・ベスト・トンプスンはこれに決定ということで。
見たくないと言っても、旅に出たらおしまいです。
たっぷり堪能させられます。
ほんの少しの間なのに、印象が強すぎて作品のイメージがころっと変わっちゃいます。
すげぇ。なんだ、これは。
あるいは、「え、なにそれ」か。
うっちゃられて、マイ・ベスト・トンプスンはこれに決定ということで。
2004年1月6日に日本でレビュー済み
誰が狂っているのか?誰もが狂っているのか?殺し屋は誰だ?思惑は微妙にズレていく。そして待ち受けるのは血しぶき。
その世界を見つめるために読者が潜むは主人公の脳みその中。最高だよトンプソン。
その世界を見つめるために読者が潜むは主人公の脳みその中。最高だよトンプソン。
2014年11月24日に日本でレビュー済み
頁数はあるがすぐに読めてしまう。登場人物が少ないし筋もシンプル、表現もシンプルで持って回った言い回しがほとんどない。伏線らしい伏線もない。
そのまま終われば本当に三流のパルプフィクション。しかし、最後の3ページで突然、とんでもない惨劇が訪れる。ほとんど不条理に壮絶な暴力が炸裂する。この感覚はトンプスン独自のものだろうし、単なるパルプフィクションとの差なのだろう。
この最後の3ページまでの物語は助走に過ぎない。290ページ超の助走は長すぎるけれど、トンプソンはこの3ページが書きたかっただけなのだと、そう思える。本当にただそれだけの小説だ。
冒頭に付録というか前書き的にスティーブン・キングのトンプスン論、「内なる殺人者」への賛辞が載っている。
キングはこの小説を「白鯨」「ハックルベリー・フィンの冒険」「日はまた昇る」「死の床に横たわりて」と並ぶ作品と持ち上げている。それは言い過ぎとしても、これに並べて「ポップ1280」「グリフターズ」「ゲッタウエイ」をトンプスンの傑作として挙げている。
巻末の解説(滝本誠)では、トンプスンの担当編集者だったアーノルド・ハーノが挙げるトンプスンの3本の最高傑作は1位「残酷な夜」、2位「死ぬほどいい女」、3位「内なる殺人者」だったと書いている。
私は普通の小説にいちばん近い「内なる殺人者」が好きなのだが、トンプソンの本領は本作や「死ぬほどいい女」の特異性にあることは認めざるをえない。
そのまま終われば本当に三流のパルプフィクション。しかし、最後の3ページで突然、とんでもない惨劇が訪れる。ほとんど不条理に壮絶な暴力が炸裂する。この感覚はトンプスン独自のものだろうし、単なるパルプフィクションとの差なのだろう。
この最後の3ページまでの物語は助走に過ぎない。290ページ超の助走は長すぎるけれど、トンプソンはこの3ページが書きたかっただけなのだと、そう思える。本当にただそれだけの小説だ。
冒頭に付録というか前書き的にスティーブン・キングのトンプスン論、「内なる殺人者」への賛辞が載っている。
キングはこの小説を「白鯨」「ハックルベリー・フィンの冒険」「日はまた昇る」「死の床に横たわりて」と並ぶ作品と持ち上げている。それは言い過ぎとしても、これに並べて「ポップ1280」「グリフターズ」「ゲッタウエイ」をトンプスンの傑作として挙げている。
巻末の解説(滝本誠)では、トンプスンの担当編集者だったアーノルド・ハーノが挙げるトンプスンの3本の最高傑作は1位「残酷な夜」、2位「死ぬほどいい女」、3位「内なる殺人者」だったと書いている。
私は普通の小説にいちばん近い「内なる殺人者」が好きなのだが、トンプソンの本領は本作や「死ぬほどいい女」の特異性にあることは認めざるをえない。
2017年12月1日に日本でレビュー済み
裏社会から暗殺の命を受けた男の物語。
ターゲットの家に下宿し虎視眈々と機会を伺っているうちに、家主に疑われたり、家主の女房といい仲になったり、家政婦に手を出したり、他の下宿人を暗殺の見届け人と思い込んだりと迷走に迷走を重ねる。主人公が肉体的にも精神的にもひ弱で、ミッションを達成できないまま悶々とする様がつらつらと語られていく。主人公の容貌を含め露悪的な描写は読んでいて気持ちの良いものではない。
トンプスンのノワールにしては悪党感のないと思いきや、最後の最後に衝撃的な結末が待っているんだね。
ターゲットの家に下宿し虎視眈々と機会を伺っているうちに、家主に疑われたり、家主の女房といい仲になったり、家政婦に手を出したり、他の下宿人を暗殺の見届け人と思い込んだりと迷走に迷走を重ねる。主人公が肉体的にも精神的にもひ弱で、ミッションを達成できないまま悶々とする様がつらつらと語られていく。主人公の容貌を含め露悪的な描写は読んでいて気持ちの良いものではない。
トンプスンのノワールにしては悪党感のないと思いきや、最後の最後に衝撃的な結末が待っているんだね。
2013年11月25日に日本でレビュー済み
飲酒がどういう自己破壊なのか、気を許して漏れ出た憐憫を愛情と混同した場合、どう寿命を縮めるのかも。
2012年1月23日に日本でレビュー済み
このミスでずいぶん前に名前を知ってから、いつかは読もうと思いつつ、読まずじまい。
最近になってたまたま本屋で見つけて手に取った。
登場人物はいずれも癖がありそうなのに、すべてがきちんと説明されることはなくて、そのあいまいさと怪しさが深まるままに話はどんどん勝手にクライマックスへ向かっていく。
常に体をギシギシときしらせるような描写が多い点は、スティーブン・キングやジョー・ヒルの作品中のスプラッターな場面を思わせる(というか、年代的には彼らの方がトンプスンに影響されたのか)。
最後の数ページは目くるめく感覚。
まだ自分がどんな物語を読んだのか、半ばわかっていない妙な気分。
他の作品も読みたい。
最近になってたまたま本屋で見つけて手に取った。
登場人物はいずれも癖がありそうなのに、すべてがきちんと説明されることはなくて、そのあいまいさと怪しさが深まるままに話はどんどん勝手にクライマックスへ向かっていく。
常に体をギシギシときしらせるような描写が多い点は、スティーブン・キングやジョー・ヒルの作品中のスプラッターな場面を思わせる(というか、年代的には彼らの方がトンプスンに影響されたのか)。
最後の数ページは目くるめく感覚。
まだ自分がどんな物語を読んだのか、半ばわかっていない妙な気分。
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