政治家あるいはメディアパーソナリティとしての田中康夫は注目されたとしても、彼の書いたものは不当なまでに評価されていない。読んだ限りにおいて最も印象的な田中康夫評は斉藤美奈子の近著(岩波書店)である。そこにおいては、当然のことながら彼の固有名詞に対するこだわりが論じられている。
すべては、一番最初の著作「なんとなく、クリスタル」から始まっているのだ。これを単なるブランド記号の羅列と捉える評価は、全く馬鹿げている。小説本文は読まれたとしても、おびただしい注釈が全くといっていいほど無視されてきたことは、何より誤った評価が一般化してきたことを物語る。
固有名詞としてのブランドのもつ意味、コンテクストを理解しないと作品の価値は半減する。「注釈」において過剰なる批評性がこめられているのであればなおさら。そう、彼の一連の文章はすべてそうした、固有名詞の羅列/批評的注釈の双対性においてこそ語られるべき筋合いのものなのだ。
本書は食事を通じての彼の自叙伝である。今まで行ったレストラン、食べた食事という「固有名詞」を通して彼の関わってきた人物という「固有名詞」を論じる。その両者の扱いにおいて遠慮会釈が全くないところが彼の芸の真骨頂なのである(私個人的に彼の文章自体は全くうまいと思わないが)。
固有名を出すということは、一般論で批評することよりもよほど勇気がいるし覚悟がいる。またそういう批評でなければ読む側は退屈である。
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一炊の夢 単行本 – 2002/7/1
田中 康夫
(著)
『週刊SPA!』に連載された、氏の食に関する思い出を集めたエッセイ
長野県知事として゛しなやか革命゛に挑む著者が、゛食゛の原点を求めて記憶をたどる。実名で登場するさまざまな料理店が供する皿の数々を、独特の深く綾を描く文体で再現されて、読者もまたその時空に同席しているような印象を受けます。「田中康夫が愛した店データ」付き。
長野県知事として゛しなやか革命゛に挑む著者が、゛食゛の原点を求めて記憶をたどる。実名で登場するさまざまな料理店が供する皿の数々を、独特の深く綾を描く文体で再現されて、読者もまたその時空に同席しているような印象を受けます。「田中康夫が愛した店データ」付き。
- 本の長さ375ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2002/7/1
- ISBN-104594035760
- ISBN-13978-4594035761
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
其れ其れの料理店には相応しき料理や規模が、詰まりは「生き方」が予め規定されていて、抗うと衰えはじめる。富すれば鈍すると喩えるべきか-。「しなやか革命」に挑む著者の美しくも儚き食の遍歴。『週刊SPA』連載を上梓。
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2002/7/1)
- 発売日 : 2002/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 375ページ
- ISBN-10 : 4594035760
- ISBN-13 : 978-4594035761
- Amazon 売れ筋ランキング: - 860,375位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,126位近現代日本のエッセー・随筆
- - 79,526位ビジネス・経済 (本)
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