ある美術批評家が伝説の画家とインタビューする機会に恵まれるが・・・というお話。
芸術、特にアートの分野で真贋を巡る話は現実、虚構を問わずによく聞きますがこの小説でもアートに於ける真贋を巡って話が展開してく筋に芸術或はアートの本質とは何かという問題提起をして読ませませる小説になっております。こういう言わばアート・ノワールという感じの話ではローザックの「フリッカー、あるいは映画の魔」がありますが、こちらとは全然違う話になっていて興味深いです。
ここからはネタに触れるので先に読まないでください。
最後の方で主人公の批評家が問題の画家が亡くなったことをきっかけにして、自分でその画家の贋作をでっちあげ、その作品の批評を元になりあがろうとする所など、実際の美術スキャンダルでもありそうな話でこの辺りのリアリティはなかなか迫真的でありました。それを知った奥さんを殺したりする所は現実にはそこまでいかないとは思いますが・・・。
著者のウィルフォードという人はユーモア・ミステリで成功したので過去にこのように含蓄のあるノヴェルを書いていたということに驚きました。この手の小説はもっと読みたいものです。
美術批評にクライム・ノヴェルの味付けを施した異色の小説。機会があったら是非。
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炎に消えた名画 (扶桑社ミステリー ウ 3-5) 文庫 – 2004/8/1
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2004/8/1
- ISBN-104594047734
- ISBN-13978-4594047733
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商品の説明
出版社からのコメント
若島正氏をはじめ、批評家の絶賛を浴びた、稀代の“アート・ノワール”!
若き美術評論家に舞いこんだ、願ってもない仕事。それは、現代美術史上最大の巨星とのインタビューだった。
その画家は、ダダイズムとシュールレアリズムをつなぐ存在として大きな影響をあたえながら、作品は自室のみで公開し、すべてが火災で失われてしまい、誰ひとりとして作品を見ることができない、幻の芸術家なのだ。しかし、そのインタビューには、途方もない条件がついていた...
あふれるペダントリーと、芸術の根幹を揺るがす驚愕の真相! いやあ、これはすごい作品です。偉大なるパルプ作家の代表作を読み逃がしなく。
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2004/8/1)
- 発売日 : 2004/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 318ページ
- ISBN-10 : 4594047734
- ISBN-13 : 978-4594047733
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,003,331位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年1月4日に日本でレビュー済み
謎解き、ではなくクライム・ノベルなのね。
デュシャン、ダダイズム、シュールリアリズムに思わず実在かと思わせるような幻のフランス人画家。お題目がハイブロウにもかかわらず、名声を求めて道を踏み外していく新進批評家、というアメリカン・パルプ・フィクションな展開が堪らない。虚実織り交ぜた美術史と美術界事情の描写は、読んだだけで何となく教養が身についたような錯覚に陥ります。
主人公の、教師のクセに、ちょっとお馬鹿なガールフレンドが相当いい味だしてます。
オフビートなオチも良し。
内容とは関係ないけど、あとがきで読める作者の生き様が、本作品の展開以上にスゴイ。こちらのほうがより過激。
デュシャン、ダダイズム、シュールリアリズムに思わず実在かと思わせるような幻のフランス人画家。お題目がハイブロウにもかかわらず、名声を求めて道を踏み外していく新進批評家、というアメリカン・パルプ・フィクションな展開が堪らない。虚実織り交ぜた美術史と美術界事情の描写は、読んだだけで何となく教養が身についたような錯覚に陥ります。
主人公の、教師のクセに、ちょっとお馬鹿なガールフレンドが相当いい味だしてます。
オフビートなオチも良し。
内容とは関係ないけど、あとがきで読める作者の生き様が、本作品の展開以上にスゴイ。こちらのほうがより過激。