Amazonオリジナルドラマ「ボッシュ」のオープニングで、渋いテーマ音楽をバックに流れる映像で映し出されるケーブルカー「エンジェルフライト」。
ドラマを先行して観ている者にとっては、「遂にあのエンジェルフライトのお話か」と読む前からワクワク感が高まります。
箱根のケーブルカーを彷彿させる階段状の内部構造を持つケーブルカー「エンジェルフライト」は、登りと下りの双子のケーブルカーで、とても美しい外観を持っています。
前作で結ばれ結婚したエレノアとは離婚の危機にあり、二人の現状を、登りと下りが近づいては離れてすれ違っていくケーブルカーが象徴しています。
刑事という仕事を天職として没頭することができるボッシュと比べ、FBIという職を奪われ犯罪者の烙印をおされ、ラスベガスのポーカーに生きがいを見出さざるを得ないエレノア。
「私たちはみんなジャンキーよ。たんにドラッグが違うだけ。あなたと同じドラッグがあればいいのだけれど。私にはない」
一方、捜査にあたるボッシュは、「ボッシュは偶然が好きじゃない。偶然を信じていない」「現場全体を把握することに精力を集中させる」という捜査スタイルを貫き、「推理と勘がついに確かな証拠と訴追にまとまる瞬間。あるいはそれが台無しになってしまう瞬間」を思うと高揚した気分を味わうことができる。
本作でこれまでの捜査手法になかったインターネットを使った捜査部分は興味深いです。
ボッシュにとっては、まったくチンプンカンプンな分野ですが、同僚ライダーの力を借り、真実に近づいていく過程は非常に面白いです。
高いクオリティーが維持され続けているこのシリーズ、マイクル・コナリーの力業には毎回驚かされます。
ボッシュシリーズの次回作「夜より暗き闇」がまた楽しみになってきました。
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エンジェルズ・フライト 上 (扶桑社ミステリー コ 7-14) 文庫 – 2006/1/1
「堕天使は地獄へ飛ぶ」改題
- 本の長さ355ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2006/1/1
- ISBN-104594050964
- ISBN-13978-4594050962
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登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2006/1/1)
- 発売日 : 2006/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 355ページ
- ISBN-10 : 4594050964
- ISBN-13 : 978-4594050962
- Amazon 売れ筋ランキング: - 354,368位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
次に読むつもりだったハリー・ボッシュ・シリーズ5作目の『トランク・ミュージック』(1997年)は、かって読んだ記憶がありパスすることにした。
シリーズ第6作目の『エンジェルズ・フライト』(1999年)上巻を入手して読むことにした。
マイクル・コナリーの創作テンションは、本作でも相変わらず健在である。
ロドニー・キング事件(1991年)に端を発したロサンゼルス暴動後のロス市警へのマイノリティ社会の怨嗟をベースにした本作は、相変わらず緻密なプロット構成で読者を飽きさせない。
ロス市警の天敵ともいえる因縁の黒人弁護士ハワード・エライアスが、ロス市内にのダウンタウンのバンカーヒル地区にあるエンジェルス・フライトというケーブルカーの中で殺された。
黒人の部下を持つボッシュに、捜査を命じたのは、市警副本部長のアーヴィンの政治的配慮であることに間違いない。
この政治的配慮に怒るハリー・ボッシュは、市警本部長の記者会見の席に部下を列席させなかった。
アーヴィンの政治的配慮への反抗した姿を著者は見事に描いている。
ハワード・エライアスは、少女殺しのマイクル・ハリスの弁護で市警本部の刑事を相手に民事裁判を控えているから複雑な状況での捜査を強いられるハリー・ボッシュ刑事と部下たち。
ネタバレになるから詳しくレビューを書くことを避けるが、マイクル・ハリスが犯人であることを確信しているボッシュは、このあとどのようにこの事件を解決してゆくのか興味津々で上巻を読み終えました。
シリーズ第6作目の『エンジェルズ・フライト』(1999年)上巻を入手して読むことにした。
マイクル・コナリーの創作テンションは、本作でも相変わらず健在である。
ロドニー・キング事件(1991年)に端を発したロサンゼルス暴動後のロス市警へのマイノリティ社会の怨嗟をベースにした本作は、相変わらず緻密なプロット構成で読者を飽きさせない。
ロス市警の天敵ともいえる因縁の黒人弁護士ハワード・エライアスが、ロス市内にのダウンタウンのバンカーヒル地区にあるエンジェルス・フライトというケーブルカーの中で殺された。
黒人の部下を持つボッシュに、捜査を命じたのは、市警副本部長のアーヴィンの政治的配慮であることに間違いない。
この政治的配慮に怒るハリー・ボッシュは、市警本部長の記者会見の席に部下を列席させなかった。
アーヴィンの政治的配慮への反抗した姿を著者は見事に描いている。
ハワード・エライアスは、少女殺しのマイクル・ハリスの弁護で市警本部の刑事を相手に民事裁判を控えているから複雑な状況での捜査を強いられるハリー・ボッシュ刑事と部下たち。
ネタバレになるから詳しくレビューを書くことを避けるが、マイクル・ハリスが犯人であることを確信しているボッシュは、このあとどのようにこの事件を解決してゆくのか興味津々で上巻を読み終えました。
2020年8月20日に日本でレビュー済み
1991年のロドニー・キング事件、続く翌年のロサンゼルス暴動…、
本作は1999年に発表された作品で、文中に「(警官が)容疑者をおとなしくさせるときに使用が公認されている首絞めがおこなわれなくなった—マイノリティ容疑者のなみはずれて高い死亡数字が出たあとで」とある。
しかし20年以上経ってもいまだに同様の事件が起こっており、今年も大きな人種差別抗議デモが実際行われていることから、いかに先の見えない根深い問題なのかがわかる。
マスコミ報道はこうした社会問題を提起することで大きな役割を果たしていると思うが、ここでは終始ハイエナ(に失礼)のように挙げられている。
ストーリーは本作も期待通り、全く退屈させられることがなく、ラストは驚きの展開だった。
担当でもない困難極まる事件を回されても、ボッシュの推理力や行動力は相変わらず冴えわたっている。
決して完全無欠ではなく合間に自分の判断ミスを認めるところは親しみ感があっていい。…口髭は好まないが。
個人的お気に入りのロイ・リンデルが前作#5『トランク・ミュージック』に続いてまたもや登場し嬉しかった。
エレノアとの結婚は微妙だと思っていたが、案の定こじれている。女性から見てもボッシュがもったいない!
まだまだ続くボッシュ・シリーズ。他のシリーズの主人公との共演もあるので、寄り道をしながら順番に読み進めていこう。当分楽しみが尽きない。
本作は1999年に発表された作品で、文中に「(警官が)容疑者をおとなしくさせるときに使用が公認されている首絞めがおこなわれなくなった—マイノリティ容疑者のなみはずれて高い死亡数字が出たあとで」とある。
しかし20年以上経ってもいまだに同様の事件が起こっており、今年も大きな人種差別抗議デモが実際行われていることから、いかに先の見えない根深い問題なのかがわかる。
マスコミ報道はこうした社会問題を提起することで大きな役割を果たしていると思うが、ここでは終始ハイエナ(に失礼)のように挙げられている。
ストーリーは本作も期待通り、全く退屈させられることがなく、ラストは驚きの展開だった。
担当でもない困難極まる事件を回されても、ボッシュの推理力や行動力は相変わらず冴えわたっている。
決して完全無欠ではなく合間に自分の判断ミスを認めるところは親しみ感があっていい。…口髭は好まないが。
個人的お気に入りのロイ・リンデルが前作#5『トランク・ミュージック』に続いてまたもや登場し嬉しかった。
エレノアとの結婚は微妙だと思っていたが、案の定こじれている。女性から見てもボッシュがもったいない!
まだまだ続くボッシュ・シリーズ。他のシリーズの主人公との共演もあるので、寄り道をしながら順番に読み進めていこう。当分楽しみが尽きない。
2015年1月9日に日本でレビュー済み
人種間の対立という火種をはらむ殺人事件の捜査を任されることになったボッシュと同僚たち。ロサンゼルス中が事件に着目する中、対応を誤れば暴動の引き金が引かれかねない状況は、警察や司法機関の政治的思惑を呼び込み、ボッシュが事件捜査に専念することを妨げます。また、ボッシュを愛しながらも埋められない心の空虚のために彼から離れていこうとする妻エレノアの姿も、ボッシュの心を苛みます。
そのような公私ともに困難な状況下で、マスコミへのアピールに利用されそうになるエドガーとライダーを守り、苛立ちを抑えて天敵チャステインと協力し、あらゆる手段で枷を取り払いながら迅速かつ着実に捜査を進めようと砕身するボッシュの姿は、警察官としての矜持に満ちています。しかし、献身的とすら言えるボッシュの努力にもかかわらず、事件は不穏な成り行きを見せ、次第に悲劇の様相を呈していきます。沈鬱な雰囲気の漂う本作ですが、二転三転する事件の真相、最後の審判を思わせる迫力に満ちた幕切れはシリーズ中の白眉であり、一見の価値があります。
そのような公私ともに困難な状況下で、マスコミへのアピールに利用されそうになるエドガーとライダーを守り、苛立ちを抑えて天敵チャステインと協力し、あらゆる手段で枷を取り払いながら迅速かつ着実に捜査を進めようと砕身するボッシュの姿は、警察官としての矜持に満ちています。しかし、献身的とすら言えるボッシュの努力にもかかわらず、事件は不穏な成り行きを見せ、次第に悲劇の様相を呈していきます。沈鬱な雰囲気の漂う本作ですが、二転三転する事件の真相、最後の審判を思わせる迫力に満ちた幕切れはシリーズ中の白眉であり、一見の価値があります。
2013年5月19日に日本でレビュー済み
ご存知ハリー・ボッシュシリーズの第六作目である。このシリーズのかなりを読んでいるが、順番がばらばらのために、若干時差を感じるが、この作品そのものは、過去の中でも最高の作品であるように思う。もともと駄作が全くと言ってないこのシリーズのなかにあって、この作品のストーリー展開は他を圧倒するといっても大袈裟ではないだろう。人権派弁護士がエンジェルズ・フライトと呼ばれるケーブルカーの中で射殺される。この黒人弁護士が担当していたのは、幼女誘拐殺人事件の犯人とされた黒人ハリスの冤罪裁判。ハリスはロス警察の刑事たちに拷問されたということで、事件は衆目の注目するところとなっていた。事件を担当したボッシュはかつての同僚刑事がこの黒人拷問に関わっていた事を知り愕然となるが、やがてこの刑事が自殺をはかるところから事件は急展開を見せる。幼女は実はロスの大金持ちキンケイドの一人娘ではあるが、この娘は実はその義父に殺されたことが判明、そしてその妻がその夫を射殺することで、犯人の姿が全く見えなくなるという極めて凝ったストーリー展開となる。実は、この黒人弁護士のロス警察におけるスパイをしていた査察担当刑事が自分の正体がばれることを恐れた犯罪であることが判明するが、その刑事の最後がまた圧倒的な描写で描かれるのだ。この背景は90年代初めのロス暴動の再発ということで描かれるし、刑事たちの私生活も哀れで、切ない。
いつまでも素晴らしい作品を送り出す、マイクル・コナリーに最大級の賛辞を送りたい。
いつまでも素晴らしい作品を送り出す、マイクル・コナリーに最大級の賛辞を送りたい。
2011年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1999年発表の本作品は、ハリー・ボッシュ刑事シリーズの第6作目です。
冒頭は、夜中の2時にボッシュ刑事の自宅にかかってきた電話のシーンから。
それは、殺人事件の発生を知らせるものであった。
現場は、ケーブルカー<エンジェルズ・フライト>の頂上駅で、黒人弁護士が射殺死体で発見されていた。
この弁護士は、犯罪を犯した者の依頼で、ロス市警を相手取った民事訴訟を数多く手掛けていた人物で、犯罪者にとっては「天使」だが、警察にとっては「悪魔」と恐れられていた人物であった。
警官が犯人かも知れない難しい事件について、アーヴィング副本部長は、ボッシュ刑事に特命で捜査するよう指示したのだった…。
もともと「孤高」の刑事という、ハードボイルドな趣向で書かれてきたシリーズですが、前作での復職後、2名も部下を従えるようになり、上司のグレイス・ビッツ警部補とも関係は良好のようで、「孤高」のイメージは薄まってきているように思われます。
1作目からの「宿敵」とでも言えるアーヴィング副本部長にしても、「人権問題」を孕む困難な事件で、失敗すればボッシュ刑事を捨て駒にするかもしれない、という設定とは言え、それだけ難しい事件を任せるのですから、ボッシュ刑事は有能だということを認めたようなもの。
「孤高」の刑事は、いつの間にか、「組織」内で活躍する優秀な刑事になっている。
それは、第4作までで、過去のトラウマとなっている事件を解決してきていて、精神的に解放されているからなのかも知れません。
もっとも、路線が変わったとは言え、面白さは相変わらずで、これまでの諸作でもそうなのですが、物語の半ば、下巻に差し掛かる当たりから、思いもしない展開になって、読むスピードが加速してしまいます。
つくづく作者の綿密な構成の罠に嵌っていることを感じさせる、良質なミステリになっていると思いました。
冒頭は、夜中の2時にボッシュ刑事の自宅にかかってきた電話のシーンから。
それは、殺人事件の発生を知らせるものであった。
現場は、ケーブルカー<エンジェルズ・フライト>の頂上駅で、黒人弁護士が射殺死体で発見されていた。
この弁護士は、犯罪を犯した者の依頼で、ロス市警を相手取った民事訴訟を数多く手掛けていた人物で、犯罪者にとっては「天使」だが、警察にとっては「悪魔」と恐れられていた人物であった。
警官が犯人かも知れない難しい事件について、アーヴィング副本部長は、ボッシュ刑事に特命で捜査するよう指示したのだった…。
もともと「孤高」の刑事という、ハードボイルドな趣向で書かれてきたシリーズですが、前作での復職後、2名も部下を従えるようになり、上司のグレイス・ビッツ警部補とも関係は良好のようで、「孤高」のイメージは薄まってきているように思われます。
1作目からの「宿敵」とでも言えるアーヴィング副本部長にしても、「人権問題」を孕む困難な事件で、失敗すればボッシュ刑事を捨て駒にするかもしれない、という設定とは言え、それだけ難しい事件を任せるのですから、ボッシュ刑事は有能だということを認めたようなもの。
「孤高」の刑事は、いつの間にか、「組織」内で活躍する優秀な刑事になっている。
それは、第4作までで、過去のトラウマとなっている事件を解決してきていて、精神的に解放されているからなのかも知れません。
もっとも、路線が変わったとは言え、面白さは相変わらずで、これまでの諸作でもそうなのですが、物語の半ば、下巻に差し掛かる当たりから、思いもしない展開になって、読むスピードが加速してしまいます。
つくづく作者の綿密な構成の罠に嵌っていることを感じさせる、良質なミステリになっていると思いました。
2007年6月6日に日本でレビュー済み
垂直上昇で持ち直し、本格推理小説として四つ星だが、
文学として五つ星を与えたい。
リーダビリティに優れたエンタメだが、
TV、マスゴミを利用する自称文学者より、
コナリーの文学の方が遥かに価値がある。
権力の監視機構ではなくて、
自らが権力となり、
大衆を煽動して国家国民に害を与えるマスゴミは社会の敵である。
強大な権力を持つマスゴミや資本家に対して、
ボッシュの闘争は完全勝利を得ることは不可能だが、
逃走せずに戦い続ける道を選ぶボッシュはデラかっちょええ!
思想的な面を抜きにしても、
終盤の加速する展開の構成が素晴しい!
終盤の技法を追求すれば、
前衛的実験文学になると思われる。
ガルシア=マルケスを見事な構成力のテキストとして、
教材に選ぶ大学もあるが、
本書も小説家の教科書になるべき見事な構成である。
本格推理小説としてラストの謎解きのシーンも見事にアウフヘーベンしている。
本作を読んでしまったら、
ラストで容疑者を古い洋館に一堂に会して謎解きする古典ミステリが糞に思えてくる。
遂にクイーンの「Yの悲劇」を抜いた結末のミステリが現れた!
「Yの悲劇」を抜いたのなら本格推理小説としても五つ星になるべきだが、
途中のミスリードやミスデレクションにややアンフェア感を抱いたのが減点材料。
面白い小説としては五つ星である。
妻との破局問題がどうでもよくなる圧倒的展開は凄い。
愛などという感情の問題も、
論理の面白さの問題も超克した優れた小説である。
エンタメと純文学の制限を軽々と飛び越えた傑作。
天使のように美しい少女は天国に飛ぶ。
堕天使は地獄に飛ぶ。
メカは何も考えずに上がったり下がったり…。
本書の素晴しさが理解出来ない奴は本を読む必要はないです。
映画観て泣くか、阿呆面してTV見て一生を終えて下さい。
文学として五つ星を与えたい。
リーダビリティに優れたエンタメだが、
TV、マスゴミを利用する自称文学者より、
コナリーの文学の方が遥かに価値がある。
権力の監視機構ではなくて、
自らが権力となり、
大衆を煽動して国家国民に害を与えるマスゴミは社会の敵である。
強大な権力を持つマスゴミや資本家に対して、
ボッシュの闘争は完全勝利を得ることは不可能だが、
逃走せずに戦い続ける道を選ぶボッシュはデラかっちょええ!
思想的な面を抜きにしても、
終盤の加速する展開の構成が素晴しい!
終盤の技法を追求すれば、
前衛的実験文学になると思われる。
ガルシア=マルケスを見事な構成力のテキストとして、
教材に選ぶ大学もあるが、
本書も小説家の教科書になるべき見事な構成である。
本格推理小説としてラストの謎解きのシーンも見事にアウフヘーベンしている。
本作を読んでしまったら、
ラストで容疑者を古い洋館に一堂に会して謎解きする古典ミステリが糞に思えてくる。
遂にクイーンの「Yの悲劇」を抜いた結末のミステリが現れた!
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途中のミスリードやミスデレクションにややアンフェア感を抱いたのが減点材料。
面白い小説としては五つ星である。
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愛などという感情の問題も、
論理の面白さの問題も超克した優れた小説である。
エンタメと純文学の制限を軽々と飛び越えた傑作。
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堕天使は地獄に飛ぶ。
メカは何も考えずに上がったり下がったり…。
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