他のレビューにもある通り、女性でありながら、男の体で生まれてしまった著者の、実体験に基づく小説です。もとはブログに発表されたもので、そこでも読めますが、新たなエピソードを加えて書籍化されています。印刷は横書きで、ブログと同じで読みやすく、しかし丁寧な描写で書かれています。
実際、文字だけで読むと、男女の物語としか思えず、著者はこの作品で自分が確かに女性であったこと、またそれを可能にしてくれた体験を記したかったのでしょう。
※以下ネタバレあり
平沢進氏が、彼のブログで主人公の恋人に怒りを禁じ得なかったと、強い言葉で述べ、著者にも伝えたそうです。主人公の恋人は、著者と同じ境遇の「女性」がどうしても出来ないこと、子を宿すことを求めます。養子をもらうことも考えますが、最後には「血縁」を優先するのです。血のつながった親のために、血のつながった子どもがほしい、と。肉体や環境ではなく、心の奥底からの声に従って生きる「女性」たちに、何か神聖なもの、人の心の救いになる大きな力を感じている氏にとって、因襲の力に敗れる恋人の弱さは、許しがたいものに見えたのかもしれません。
しかし、別れを告げる時点で、恐らく新卒二年目の青年ということを考えると、仕方ない気もします。また、ここでは書かれていませんが、彼がお節介な(著者の人形の思い出に出てくるような)世間の声に晒されていた可能性もあります。
著者は、彼の弱さも含めて、彼を許し、愛し、祝福します。喪失と引き換えに、体に恵まれた女性以上に女性としての輝きを得ます。そして、家族との絆も。
著者が、女性として確かに生きていたこと、愛していたことが、証明されているように感じました。今現在幸せであることを願っています。
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私が夢見た「優」 単行本(ソフトカバー) – 2008/1/24
あんどう 蒼
(著)
大人気ブログ『超・乙女改革』で話題騒然の実話がついに書籍化!!
「ただひとつ、わかっているのは、繰り返せないということ」。心は女性なのに男性の体に生まれてしまった蒼。男性と恋に落ち、障害を乗り越え、子供を持つことを夢見た蒼だったが・・・。
「ただひとつ、わかっているのは、繰り返せないということ」。心は女性なのに男性の体に生まれてしまった蒼。男性と恋に落ち、障害を乗り越え、子供を持つことを夢見た蒼だったが・・・。
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2008/1/24
- ISBN-10459405546X
- ISBN-13978-4594055462
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2008/1/24)
- 発売日 : 2008/1/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 253ページ
- ISBN-10 : 459405546X
- ISBN-13 : 978-4594055462
- Amazon 売れ筋ランキング: - 806,320位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 123,192位ノンフィクション (本)
- - 216,662位文学・評論 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年3月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なぜ平沢さんがこんなにもあんどうさんを大事に思っているのか。おちゃらけたいつものブログの内容からは最初はぜんぜん分かりませんでした。
でも恋愛のまじめな話になるといつもの文面とは違い(笑)みずみずしくて、女の子いえ人としての感受性の高さにびっくりします。
人ってこんなにも愛することができるんですね。好きな人だけじゃない、自分自身も、家族も、自然も、空気さえも。
他の方も書かれてましたが、誰もが不思議に思うタイトル、私が夢見た「優」の意味を知るとき、みな同じ気持ちになるのではないでしょうか。わたしは嗚咽して泣きました。
次の文字が読めなくなるくらい泣きました。
泣くなんて思わなかった。
この私が。
感動じゃない。哀しいんじゃない。辛いんじゃない。嬉しいんじゃない。
でもなんで泣くんだろう。泣いてしまうんだろう。
それ全部を超えてしまうなにか。
ごめんなさい、言葉が見つからない。
今は東京から離れて一般人になられてしまった。
でもあんどうさんは今でも静かに微笑んでわたし達を見てくれていると思う。
みんなへの贈り物のブログはおみやげとして今も残してくれてます。
この大学編の他、高校編、中学編もあります。
ぜひあんどうさんの心を見に行って下さい。
ちなみに、このご本は再販されてませんのでこちらで中古を購入するしか方法はありません。
でも恋愛のまじめな話になるといつもの文面とは違い(笑)みずみずしくて、女の子いえ人としての感受性の高さにびっくりします。
人ってこんなにも愛することができるんですね。好きな人だけじゃない、自分自身も、家族も、自然も、空気さえも。
他の方も書かれてましたが、誰もが不思議に思うタイトル、私が夢見た「優」の意味を知るとき、みな同じ気持ちになるのではないでしょうか。わたしは嗚咽して泣きました。
次の文字が読めなくなるくらい泣きました。
泣くなんて思わなかった。
この私が。
感動じゃない。哀しいんじゃない。辛いんじゃない。嬉しいんじゃない。
でもなんで泣くんだろう。泣いてしまうんだろう。
それ全部を超えてしまうなにか。
ごめんなさい、言葉が見つからない。
今は東京から離れて一般人になられてしまった。
でもあんどうさんは今でも静かに微笑んでわたし達を見てくれていると思う。
みんなへの贈り物のブログはおみやげとして今も残してくれてます。
この大学編の他、高校編、中学編もあります。
ぜひあんどうさんの心を見に行って下さい。
ちなみに、このご本は再販されてませんのでこちらで中古を購入するしか方法はありません。
2014年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
性別ではなく、人間として彼に出逢えたことは奇跡?運命!としか言いようがない。
2013年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本屋さんで探しても見つからなくてやっと買えました。
おもしろブログしか読んでなかったので、
こちらを読んでギャップに少しびっくり。
後半、ぼたぼた泣きました。
きれいな文章で読みやすいのでおすすめです。
おもしろブログしか読んでなかったので、
こちらを読んでギャップに少しびっくり。
後半、ぼたぼた泣きました。
きれいな文章で読みやすいのでおすすめです。
2009年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読後、雨上がりの、透明な清涼感に包まれるようなカタルシスを得ました。
『等しく愛しい』。局所的な立ち位置で生きる限り、持ち得難い感覚。
まるで主観が、雨や、風や、空に偏在しているかのようにさえ思えてきます。
みずみずしい感性の奏でる、繊細な場面の描写。
それ故に無防備に呼応してしまう、己の抱く喪失感、罪悪感、無力感。
この忌むべき感情、忌むべきと思っていた感情が素直に、抑えようとする気も起こらず、
物語の進行と共に沸き起こっては涙と共に流れ出でました。
全てをさらけ出し、それを委ね、容認してもらえることの安堵感。
それは全ての産みの親である海にたゆたうような、子宮の中に回帰したような感覚です。
この物語を通じて、彼女から人生の大切な断片を頂きました。
それは確かに己の内に移植され、血肉となり、受け継いで生きてゆくこととなります。
彼女の夢見た『優』には、この物語を読んで心動かされた誰しもがなり得る。
そう思わずにはいられない一冊です。
『等しく愛しい』。局所的な立ち位置で生きる限り、持ち得難い感覚。
まるで主観が、雨や、風や、空に偏在しているかのようにさえ思えてきます。
みずみずしい感性の奏でる、繊細な場面の描写。
それ故に無防備に呼応してしまう、己の抱く喪失感、罪悪感、無力感。
この忌むべき感情、忌むべきと思っていた感情が素直に、抑えようとする気も起こらず、
物語の進行と共に沸き起こっては涙と共に流れ出でました。
全てをさらけ出し、それを委ね、容認してもらえることの安堵感。
それは全ての産みの親である海にたゆたうような、子宮の中に回帰したような感覚です。
この物語を通じて、彼女から人生の大切な断片を頂きました。
それは確かに己の内に移植され、血肉となり、受け継いで生きてゆくこととなります。
彼女の夢見た『優』には、この物語を読んで心動かされた誰しもがなり得る。
そう思わずにはいられない一冊です。
2013年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
めちゃめちゃ感動します、涙なくしては読めません
文章も丁寧でとてもよかったです
文章も丁寧でとてもよかったです
2008年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
はじめは表紙デザインの美しさに惹かれ手に取ったこの本。
しかし、その内容もまた美しいものだった。
作者の実話ということだけど、誰も病気にならないし、死んだりしないのに生命の美しさ儚さを教えてくれる。
時間の移ろいに涙する。
内容は確かに特殊かもしれない。
作者は女性の心を持った男性として生まれたのだから。
しかし、全編通して根底に流れる普遍的な愛は、たくさんのことを呼び起こしてくれる。
自分の過去の恋や家族、友達、輝いていたあの日。
「私が夢見た『優』」というタイトルの意味を知った時、涙が止まらなかった。自分の大切な人をもっと大切にしたくなった。
各章タイトルの付け方もすばらしい。
デビュー作といえど、文の端々に作者の文章力、構成力、表現力の「力」を感じる。
そして、この本は本編最後の一文のために、書かれたものではないだろうか。
「泣くための本」ではない。けれど、私は号泣した。
自分にも確かにあった輝かしい時間を思い出させてもらったのだと思う。陳腐な表現かもしれないが、生命の、愛の、美しさを。
近年稀にみる、「魂」が込められた珠玉の一作。
しかし、その内容もまた美しいものだった。
作者の実話ということだけど、誰も病気にならないし、死んだりしないのに生命の美しさ儚さを教えてくれる。
時間の移ろいに涙する。
内容は確かに特殊かもしれない。
作者は女性の心を持った男性として生まれたのだから。
しかし、全編通して根底に流れる普遍的な愛は、たくさんのことを呼び起こしてくれる。
自分の過去の恋や家族、友達、輝いていたあの日。
「私が夢見た『優』」というタイトルの意味を知った時、涙が止まらなかった。自分の大切な人をもっと大切にしたくなった。
各章タイトルの付け方もすばらしい。
デビュー作といえど、文の端々に作者の文章力、構成力、表現力の「力」を感じる。
そして、この本は本編最後の一文のために、書かれたものではないだろうか。
「泣くための本」ではない。けれど、私は号泣した。
自分にも確かにあった輝かしい時間を思い出させてもらったのだと思う。陳腐な表現かもしれないが、生命の、愛の、美しさを。
近年稀にみる、「魂」が込められた珠玉の一作。
2013年4月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いろいろ苦労した結果、自分を見つけて立派に生きているとブログを見てかねがね思っていたので、もうちょっと垣間見たい気がして。