やはりなかなかの名著であった。
数カ所心に残った箇所があったが、一つ挙げるとすれば、談春が真打なる前自暴自棄になった際、自らを可愛がってくれたさだまさしに愚痴った折(以下同書引用)、
「談春、一体自分を何様だと思ってんだ。立川談志は天才だ。俺たちの世界でたとえるなら、作詞作曲、編曲に歌に演奏まで独りでできています。その全て、どれをとっても超一流、そんな凄い芸人が落語というひとつの芸能の中で、五十年の間に二人も三人も出現するわけがないだろう。憧れるのは勝手だがつらいだけだよ。談春は談志にはなれないんだ。でも談春にしかできないことはきっとあるんだ。それを実現するために談志の一部を切り取って、近づき追い詰めることは、恥ずかしいことでも、逃げでもない。談春にしかできないことを、本気で命がけで探してみろ」
「でもオレ(談春)、もう少しなんとかなりたい。オールマイティに近づきたい」
「あのな、誰でも自分のフィールドに自信なんて持てない。でもそれは甘えなんだ。短所は簡単に直せない。短所には目をつぶっていいんだよ。長所を伸ばすことだけ考えろ。談春の長所がマラソンなら、マラソンで金メダルをとるための練習をすればいいんだ。マラソンと一〇〇メートルではどっちに価値があるかなんてお前の考えることじゃない。お前が死んだあとで誰かが決めてくれるさ。お前、スタートラインに立つ覚悟もないのか」
「あります」
「それなら早く真打になれ。そこがスタートラインだろう」
スタートしたら走り続ける覚悟が必要であるとさだは説き、談春は吹っ切れた。
*****
いまや立川流を、いや落語界を背負う唯一無二の立川談春という噺家になっている。
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赤めだか ハードカバー – 2008/4/11
立川 談春
(著)
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第24回(2008年) 講談社エッセイ賞受賞
- 本の長さ283ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2008/4/11
- ISBN-104594056156
- ISBN-13978-4594056155
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登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2008/4/11)
- 発売日 : 2008/4/11
- 言語 : 日本語
- ハードカバー : 283ページ
- ISBN-10 : 4594056156
- ISBN-13 : 978-4594056155
- Amazon 売れ筋ランキング: - 172,167位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 153位落語・寄席・演芸 (本)
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2020年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
談春さんの若い頃の話ですが、ありえない展開が多くて、落語家への道のりは遠いなぁーと思います。
2021年7月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
再読したくて購入しました。作者の青春期から大人期への移ろいや、師匠の表に出難い話を興味深く読んで行けます。
2017年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
久しぶりに面白い本を読んだ。
談志とはなんて、偉大で、どうしようもない酔っ払いおじさんだろうと思った。
小さんと談志を合わせてやることのできたのは、あの時以外無かったろうね。
談春さん残念だったね。
談志とはなんて、偉大で、どうしようもない酔っ払いおじさんだろうと思った。
小さんと談志を合わせてやることのできたのは、あの時以外無かったろうね。
談春さん残念だったね。
2016年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
芸人はこの方のような考えや行動でないとやっていけないのではないかと思ってしまうほどに、筆者のキャラクターに圧倒されてしまいました。
その分読んでいて反感に近いものを感じることも有りましたが、読後感は意外とすっきりしたものでした。
筆者があまりに自分に素直だったからでしょうか。
この手の読み物は、何か自分をかき立てるものがありますね。
いろいろなしがらみで身動きできなくなっている人は、軽い気持ちで読んでみるといいかもしれませんよ。
その分読んでいて反感に近いものを感じることも有りましたが、読後感は意外とすっきりしたものでした。
筆者があまりに自分に素直だったからでしょうか。
この手の読み物は、何か自分をかき立てるものがありますね。
いろいろなしがらみで身動きできなくなっている人は、軽い気持ちで読んでみるといいかもしれませんよ。
2017年10月26日に日本でレビュー済み
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引き込まれて 読みました。
落語も大好きだけど、文章書くのも 上手ですね。
落語も大好きだけど、文章書くのも 上手ですね。
2015年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を読み終えた時には実に複雑な想いが頭のなかで渦を巻いていた。
これが「修行」なのか?確かに「前座修業」は噺家の基本を覚え、他人様に笑われる事への耐性を身につける行為なのだろう。一般社会と絶縁して師匠に入門する覚悟。それは凄い事だ。
だが 何だろう、ここで描かれているのは「神様と奴隷」や「新興宗教の教祖とヒラ信者」に見える。
「アンクル・トムの小屋」や「オウム真理教」を連想してしまう。
我儘で気紛れで この世で俺が一番偉いと思っている談志に仕える奴隷か.......
そもそも寄席を持たない立川流にとっては他流派の噺家がしている前座修業と根本的に意味が違う。問題は それでも修行の中身が整然として納得が出来る事だ。談志がとことん嫌いだったので難癖付けたかったが2つ目への昇進条件とフォローは「成る程」と思う。
現在 実力のある真打を最も輩出しているのが立川流で、落語協会や落語芸術協会からめぼしい若手が育っていない。黙って待っていれば真打に誰でもなれる、という1970年代からの問題が実害になっている。
落語協会分裂騒動は書籍も数多く出版されているが、そもそも事の起こりは「大量真打粗製濫造問題」に始まる。
ここでは書かないが「真打昇進」がスタートラインなのか?それとも「二ツ目昇進」がスタート地点なのか?真打昇進は手段なのか目的なのか?実力とは何か?それが問われた。
現在落語協会から粗製濫造で出てきた噺家に かつての志ん朝 (三代目)のような可能性を感じる方がおられるのかどうか。
中には「名跡」と、まるで梨園の貴公子とでも勘違いしたような御方までいる。
逆に関西では人間国宝3代目米朝の息子さん桂米團治師のような父親をしのぐのではないだろうか?という噺家が出現している。
アンチとしては不愉快極まりないが、弟子の育て方は談志の勝ちだと認めざるを得ない。年功序列で出てきた粗製濫造真打に古典落語を守り育てる事の出来る人は今の処出てきていない。
これが「修行」なのか?確かに「前座修業」は噺家の基本を覚え、他人様に笑われる事への耐性を身につける行為なのだろう。一般社会と絶縁して師匠に入門する覚悟。それは凄い事だ。
だが 何だろう、ここで描かれているのは「神様と奴隷」や「新興宗教の教祖とヒラ信者」に見える。
「アンクル・トムの小屋」や「オウム真理教」を連想してしまう。
我儘で気紛れで この世で俺が一番偉いと思っている談志に仕える奴隷か.......
そもそも寄席を持たない立川流にとっては他流派の噺家がしている前座修業と根本的に意味が違う。問題は それでも修行の中身が整然として納得が出来る事だ。談志がとことん嫌いだったので難癖付けたかったが2つ目への昇進条件とフォローは「成る程」と思う。
現在 実力のある真打を最も輩出しているのが立川流で、落語協会や落語芸術協会からめぼしい若手が育っていない。黙って待っていれば真打に誰でもなれる、という1970年代からの問題が実害になっている。
落語協会分裂騒動は書籍も数多く出版されているが、そもそも事の起こりは「大量真打粗製濫造問題」に始まる。
ここでは書かないが「真打昇進」がスタートラインなのか?それとも「二ツ目昇進」がスタート地点なのか?真打昇進は手段なのか目的なのか?実力とは何か?それが問われた。
現在落語協会から粗製濫造で出てきた噺家に かつての志ん朝 (三代目)のような可能性を感じる方がおられるのかどうか。
中には「名跡」と、まるで梨園の貴公子とでも勘違いしたような御方までいる。
逆に関西では人間国宝3代目米朝の息子さん桂米團治師のような父親をしのぐのではないだろうか?という噺家が出現している。
アンチとしては不愉快極まりないが、弟子の育て方は談志の勝ちだと認めざるを得ない。年功序列で出てきた粗製濫造真打に古典落語を守り育てる事の出来る人は今の処出てきていない。