東日本大震災の時もその後も日本に居なかったので状況がよくわからず、外地から募金をしただけという一番手早い支援の仕方しかできなかった。その後に、私たちのことを忘れないで欲しい、という被災者からの声に心を動かされ、iTunesで買った毎日新聞の記事を読んで涙し、失われた多くの尊い命と残された家族の話に胸を打たれたのだった。もっと何かこの大災害に関する記録はないか、と思っていた時に、ソニーの電子ブックで宣伝していたこの本に出会ったのであった。
作者、須藤彰氏は防衛省の事務官で、自衛隊と防衛省の内局との連絡掛のようなことをしている、これを「政策補佐官」というそうだ。須藤氏は五つの方面総監部の内の一つである、東北総監部に平成二十二年十月に赴任し、その五ヶ月後の平成二十三年三月十一日にこの大災害に遭遇したのだった。
その後、須藤氏は自衛隊の災害救援活動が円滑に行われるように事務方として活動を支援してきたのだが、その間につけていた日記を本にしたものがこれである。この本には、三月十六日から四月二十四日までの記録が載せられている。
私にすればまさに知りたいことがこの本に書いてあったということである。読んでみて、災害地の方たちの悲惨な状況やご苦労もさることながら、ここまで自衛隊の方々が支援し、救援したのか、と驚くばかりであった。中でも印象的なのは、遺体の捜索であった。遺体に傷がつかないように重機の使用は極力避けて手探りで探し、既に腐乱している遺体を掬うようにして回収するなど、肉親に対してならいざ知らず、よくもまあそこまでやってくれたものだと感銘しながら読んでいた。
まだ水に浸かっている家の周りを、我が子を捜すために自衛隊の方々捜索する様を一日中じっと見守り、夕方になって見つからないまま作業終了した自衛隊の方々に向かって、黙って頭を下げて去って行く親御さん、などの記述には思わず涙してしまった。
何気なく書いた日誌ではあったろうが、これは立派な記録になる。重大な災害ではあったが、作者は常に気持ちが前向きであり、明るい性格で周囲の人達を和ませるような方なのだな、というのがこの本を読んでいて感じられた。
忘れないために、もう一度今度はハードコピー(書籍)で買おうと思う。
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自衛隊救援活動日誌 東北地方太平洋地震の現場から 単行本 – 2011/7/6
須藤 彰
(著)
東日本大震災発生時から4月末までの東北方面総監政策補佐官による日記。
本省(内局)と第1 線の部隊の「つなぎ」役たる政策補佐官でしか知りえないことが描かれている。
現場の自衛官は何を想い、何を行っているのか、そして現場でしか知り得ない問題とは?
自衛隊の救援活動の実態など現地で撮影した写真40数点と併せて被災地の真実を綴った1冊。
本省(内局)と第1 線の部隊の「つなぎ」役たる政策補佐官でしか知りえないことが描かれている。
現場の自衛官は何を想い、何を行っているのか、そして現場でしか知り得ない問題とは?
自衛隊の救援活動の実態など現地で撮影した写真40数点と併せて被災地の真実を綴った1冊。
- 本の長さ159ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2011/7/6
- ISBN-10459406437X
- ISBN-13978-4594064372
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2011/7/6)
- 発売日 : 2011/7/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 159ページ
- ISBN-10 : 459406437X
- ISBN-13 : 978-4594064372
- Amazon 売れ筋ランキング: - 872,180位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2012年5月20日に日本でレビュー済み
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2014年3月12日に日本でレビュー済み
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近年、地方総監部に内局(いわゆる背広組)が配置されるようになったようだ。
内局部員が現場を知り、部隊が市ヶ谷の意向を知ることができるだろう。
政策補佐官として総監に仕え、震災の被災者として、救援組織の一員として、震災後一月をどのように過ごしたかがわかる。
大臣や総監の橋渡しをするような役割の著者だからこそ見えてくる自衛隊の一面が非常に有意義だった。
自衛隊の組織論、米軍との信頼熟成、マスコミの報道への苛立ち、などなど、大変分かりやすい文章で感心した。
難しいことを優しい言葉で分かりやすく書く、お手本みたいだ。
内局部員が現場を知り、部隊が市ヶ谷の意向を知ることができるだろう。
政策補佐官として総監に仕え、震災の被災者として、救援組織の一員として、震災後一月をどのように過ごしたかがわかる。
大臣や総監の橋渡しをするような役割の著者だからこそ見えてくる自衛隊の一面が非常に有意義だった。
自衛隊の組織論、米軍との信頼熟成、マスコミの報道への苛立ち、などなど、大変分かりやすい文章で感心した。
難しいことを優しい言葉で分かりやすく書く、お手本みたいだ。
2014年3月10日に日本でレビュー済み
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独特のペースと筆圧、メリハリある展開にやられました!好著です
2011年8月29日に日本でレビュー済み
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本作品は、防衛省キャリアが、被災地の現場から一自衛隊員、被災者、二児の父親として綴った日誌である。読売新聞、「MAMORU」で一部が紹介されたが、その他のエピソード、写真、解説を付け加えて、全貌が明らかになった。深刻な内容であるにもかかわらず、筆者の語り口は読者の心をつかんで離さない。それは、組織、同僚への愛、家族愛に溢れているせいであろう。筆者自身が、被災者であり、父親であるため、被災した子供たちに対する目線も優しい。義父との確執、子供との日常のやりとりを織り交ぜているせいか、作品全体が優しさに溢れている。
これほど多くの人の心をつかみ、これほど多くの人から愛されて人がいるだろうか。日本が、人間愛に目覚めた現在だからこそ、この作品を親子共々、多くの人たちに読んで欲しい。また、これほど心優しい自衛官の素顔を伝えてくれた作品もないであろう。
3.11を決して忘れてはいけない。そして、いまなお苦しいでいる被災地の方々のためにも真実は、筆者という語り部を通じて語り継がれなければならない。
是非手にしてほしい一冊である。
これほど多くの人の心をつかみ、これほど多くの人から愛されて人がいるだろうか。日本が、人間愛に目覚めた現在だからこそ、この作品を親子共々、多くの人たちに読んで欲しい。また、これほど心優しい自衛官の素顔を伝えてくれた作品もないであろう。
3.11を決して忘れてはいけない。そして、いまなお苦しいでいる被災地の方々のためにも真実は、筆者という語り部を通じて語り継がれなければならない。
是非手にしてほしい一冊である。
2014年7月26日に日本でレビュー済み
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東北方面総監部政策補佐官の実名記録。何重かのチェックを受けて出版したのだろうと容易に想像がつくが、それでも記録として評価できる。私も震災直後の現地にボランティアで行ったり、かつては、JAL御巣鷹山事故直後の現場も踏んだ。多くの遺体を見て感じたことは「戦場はもっと悲惨なのではないか」という未体験の想像だった。著者や救援現場の隊員はどう感じたのだろう。それを聞いてみたくなった。
2013年5月6日に日本でレビュー済み
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当時、自衛隊の人達が、被災者のために頑張ってくれたのが良くわかりました!
2013年4月17日に日本でレビュー済み
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日本人なら是非一読の価値あり。日本人の素晴らしさを共有できます。