オリンピックの歴史を辿りながら、東京開催が決まるまでの道程を記したノンフィクション。
招致に関わった人の思い、オリンピックの歴史、過去のスキャンダル、オリンピックの意味合いなどが書かれております。
「最新のオリンピック憲章に（２０１１年改訂版）を読むと、IOCはオリンピック・ムーブメント（五輪運動）の最高機関であると規定されており、その目的は『オリンピズムとその諸価値に従い、スポーツを実現することを通じて若者を教育し、平和でよりよい世界の建設に貢献すること』と記されている。五輪運動とは、オリンピズムの理念を掲げた社会運動であり、IOCの役目は、その存続を図ることとなる」
とありますが、本来のオリンピックがスポーツのイベントだけでなく、平和や若者の教育なども視野にいれた、理念を実現する事だったそうです。
周知のごとく、この後賄賂で開催が決まり、コロナ・ウィルスの為開催を反対する人も増えたけど、強行され、更にスポンサー企業や広告代理店を中心とした贈収賄・談合が発覚し、オリンピックの理念と真逆な大会となりました。
著者の方が、招致に成功した理由で、前述の広告代理店を抜きにして成功はなかったけど、書けなかったので、別に書くと書いてありますが、私の知る限り、そういうノンフィクションを出ていない様です。
コロナ・ウィルスで、金に困る人がいるうえ、開催理由の一つで被災地の復興や元気づけもありましたが、当の被災地の人でも、あまり見なかった上、テレビ自体の視聴者も携帯電話の普及で激減、更には自分さえよければいいという人達の利権に利用され・・・と「呪われた五輪」となったのは私が書かずとも知れている大会になったとか。アスリートの誠意や低年齢の選手の人の純真さや障がいのあるアスリートの人の社会参加への熱意も個人的な金に利用されている現実が露呈した凄い大会みたいで。
上記の様に不祥事が重なった為、日本の関係機関で、次の招致、開催はかなり厳しい状況になったと聞きますが、金がどうしてもかかるなら、いっそ全部プロ化して金がかかってもいい様にすればいいのでは、とも思いますが、どうでしょうか。嫌味で言っている訳ではなく、野球のフリーエージェント制を使っていた選手の方がいつも「一番高いところに行きます」と仰っていたので、プロだと金で動くのが普通みたいなので。
いずれこの大会の内幕を完全に開示する書も出るかと思いますが（私が知らないだけで、もうすでにでているかもしれませんが）、誰の為、何の為に開催されたか謎の大会になってしまったのが印象に残りました。
オリンピックの理念と真逆の大会になった東京大会の内幕を詳述したノンフィクション。機会があったら是非。
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