科学的な解説と日常会話で進められる物語、客観的な事実と主観的な感想や主張、それに料理のレシピなどが混然となった不思議な構成の本です。そのためどこからが事実でどこからが判断なのか、あるいは主張の客観性や妥当性が分かりにくくなっています。
有機農業や菜食主義など環境に優しい印象で、雑談や料理などで和やかで親密な雰囲気を出していますが、そうした諸設定の必然性は感じられず、むしろそれによって本書のまじめな内容がぼやけているようです。
有機農業は農薬を使わない、GM作物は危険な農薬を使わずに済むから有機農業とよい組み合わせだ、というのが本書の主張です。繰り返し同じ主張が語られるのですが、どうも説得的な根拠を示せていないと感じました。
というのは、有機農業を支持する人たちはGM作物に反対の立場にあるのが通例です。GM技術そのものの安全性や環境への影響に対して不安や批判材料(科学的研究結果を含む)を持っているからです。また、除草剤耐性を持つGM品種に使われる除草剤や、あるいは害虫耐性を持つGM品種が作りだすBt毒の安全性に疑問を抱いているからです。
本書はそうした点に正面から答えず、問題ないと強弁しているように見えるのです。例えば122頁に「これまで一人の人も傷つけなかった技術である遺伝子工学」とあります。アメリカで飼料用GMトウモロコシのスターリンクが食品に使われ、大勢の人がショックを含むアレルギー等の症状にかかったのはこの分野では有名な話ですが無視されています。同様に131頁の「市販のGM食品のなかで、人間にアレルギー反応を引き起こしたものはあるの?」「ないわ。」という記述も、文脈からいってスターリンクの件に言及しないのはフェアと思いません。物語の部分ではミーティングでGM作物に批判的な人が追い込まれる場面などが描かれています。
全体としてGM作物の安全性を訴えるプロパガンダ的な色彩が強いように感じます。
Vineで入手しなければ読まなかったでしょう。
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有機農業と遺伝子組換え食品 明日の食卓 単行本(ソフトカバー) – 2011/6/28
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古来からの農業技術の積み重ねとして
現代農業が存在してきました。
いま、人類に求められていることは、
増大する地球人口を養いながらも
地球環境への負荷を小さくするために、
科学的な反省と改良を続けながら、
新しい農業を作り上げていくことです。
そこで、本書では、遺伝子組換え作物と有機農業とを対比して
それぞれのメリット・問題点およびその理由を理解。
そのうえで何が望ましいかを考えていきます。
もちろん有機農業と遺伝子組換えだけで、
農業に求められるあらゆる変化に対応できる
と言うわけではありません。
しかし遺伝子組換えと有機農業をうまく融合することこそが、
増大する人口が求める食糧を、生態学的にバランスの取れた方法で
供給する重要な戦略の一つになることでしょう。
特定の品種や農業技術の有用性を評価を用いつつ、
生態学に配慮した農業が描く幅広い目標や
その理想に集中することが重要で
新品種の開発に利用した手段にこだわるのは
意味がないことを主張しています。
目次
序 1.稲を育てる
2.なぜ有機農業か?
3.有機農業の道具立て
4.遺伝子工学の道具立て
5.ランチと法律
6.誰を信用できるか?
7.GM食品を食べると危ない
8.自然を保護する
9.雑草・遺伝子拡散・環境
10.種子は誰のもの?
11.遺伝子は誰のもの?
12.変わる夕食:遺伝子組換え作物を有機農業で育てる
現代農業が存在してきました。
いま、人類に求められていることは、
増大する地球人口を養いながらも
地球環境への負荷を小さくするために、
科学的な反省と改良を続けながら、
新しい農業を作り上げていくことです。
そこで、本書では、遺伝子組換え作物と有機農業とを対比して
それぞれのメリット・問題点およびその理由を理解。
そのうえで何が望ましいかを考えていきます。
もちろん有機農業と遺伝子組換えだけで、
農業に求められるあらゆる変化に対応できる
と言うわけではありません。
しかし遺伝子組換えと有機農業をうまく融合することこそが、
増大する人口が求める食糧を、生態学的にバランスの取れた方法で
供給する重要な戦略の一つになることでしょう。
特定の品種や農業技術の有用性を評価を用いつつ、
生態学に配慮した農業が描く幅広い目標や
その理想に集中することが重要で
新品種の開発に利用した手段にこだわるのは
意味がないことを主張しています。
目次
序 1.稲を育てる
2.なぜ有機農業か?
3.有機農業の道具立て
4.遺伝子工学の道具立て
5.ランチと法律
6.誰を信用できるか?
7.GM食品を食べると危ない
8.自然を保護する
9.雑草・遺伝子拡散・環境
10.種子は誰のもの?
11.遺伝子は誰のもの?
12.変わる夕食:遺伝子組換え作物を有機農業で育てる
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社丸善出版
- 発売日2011/6/28
- 寸法13 x 1.7 x 18.8 cm
- ISBN-104621084003
- ISBN-13978-4621084007
登録情報
- 出版社 : 丸善出版 (2011/6/28)
- 発売日 : 2011/6/28
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 288ページ
- ISBN-10 : 4621084003
- ISBN-13 : 978-4621084007
- 寸法 : 13 x 1.7 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,314,134位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,222位農学 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年3月22日に日本でレビュー済み
タイトル通り、有機農業と遺伝子組み換え(GM)作物についてそれぞれを研究する学者の視点から語られている。
GMについては単一の作物を広大な農地で作るゆえいかに農薬を散布する手間を省くかといったアメリカの効率主義のイメージしかなかったが、そこは基本的に農薬から土地を守る「環境保全」の考えがあること、また虫害に晒されるアフリカや水害の多い東南アジアにおいていかに収量を確保するかが致命的な問題であることが書かれており、なるほどと思った。
また過剰にGM作物の危険性を煽ることで、「遺伝子組み換え作物を使用していない」という商品の表示を宣伝効果にしている側面があることなども指摘している。
ただこの本では概ねGM作物を肯定的に捉えており、やや視点が偏っている印象を受けた。
GM作物を肯定するために、「有機農業は、人為的に突然変異を誘発させて改良品種を作ることが許されている」ことを持ち出すのはどうなのか。
同じ穴の狢なのにGM作物だけ否定するのはおかしいという論法で、何の解決にもなってない。
最終的にベターなアイデアとして提示されたのが「遺伝子組み換え作物を有機農法で育てること」というのはどうなんだろうか。
一見いいとこ取りのフレーズなのだが、これは「人体にとって無害なのか悪いのか」そして「殺虫剤を減らせる」という視点だけで、「GM作物が生態系にどういう影響を及ぼすのか」の考察が決定的に抜けている。
GM作物の問題はそこでしょうと。
またGM作物は「公益」に主眼を置いて研究されるべきとされ、これについては全く賛成なのだが、難しいのではないかとも思う。研究には資金が必要で、企業であれ国であれ自らの利益に結びつかない投資を、バカがつくほどお人好しの日本ならまだしも、アメリカが行うだろうか?
モンサント社のラウンドアップ(除草剤)について、文中では「哺乳類には無毒であり、水や土に蓄積しないので、環境残留性のある除草剤より好ましいのよ」という記述がある。
このラウンドアップについては、福岡伸一氏著「動的平衡」のなかでも触れられている。
「ラウンドアップを撒くとペンペン草も生えない。作物自体も枯らしてしまう。そこでモンサント社はラウンドアップに耐性を持つ遺伝子を大豆に組み込んだ。農作業は全くの手間いらず。
そしてそのGM大豆とラウンドアップをセットにして販売する。おまけにGM大豆に一年しか使えないよう細工をした。そうすれば農家は毎年種をモンサント社から買わざるを得ない」
「ヨーロッパ諸国はGM作物について嫌悪感を表明。安全性を理由にしていたが、アメリカ資本にヨーロッパの農業をコントロールされてしまうことに対する危機感だった」
モンサント社の除草剤耐用ナタネを栽培していない農家のナタネから、除草剤耐用ナタネの遺伝子が発見された。屋外で栽培しているのだから、隣接していれば受粉してしまうのは何ら不思議ではない。有機農業を営む農家にすればいい迷惑なのだが、なんと逆にモンサント社は農家を訴える。自社で開発した遺伝子の特許権を侵害したというのがその理由。
「儲けようとする企業努力自体は悪くないのだが、そのやり方は強欲で自分勝手」
この「有機農業と遺伝子組み換え食品」にも「公益の追求」と「特許の企業独占」の問題については触れられているが、記述によってずいぶん印象が違うものだと改めて感じた。
農作物の被害に悩まされる国が自らの研究によって品種を改良していく〜それが遺伝子組み換えであれ〜ことを否定する立場にはないが、それが輸出され価格で市場を席巻する状況になったとき、我々も重くその考察を迫られるだろう。
GMについては単一の作物を広大な農地で作るゆえいかに農薬を散布する手間を省くかといったアメリカの効率主義のイメージしかなかったが、そこは基本的に農薬から土地を守る「環境保全」の考えがあること、また虫害に晒されるアフリカや水害の多い東南アジアにおいていかに収量を確保するかが致命的な問題であることが書かれており、なるほどと思った。
また過剰にGM作物の危険性を煽ることで、「遺伝子組み換え作物を使用していない」という商品の表示を宣伝効果にしている側面があることなども指摘している。
ただこの本では概ねGM作物を肯定的に捉えており、やや視点が偏っている印象を受けた。
GM作物を肯定するために、「有機農業は、人為的に突然変異を誘発させて改良品種を作ることが許されている」ことを持ち出すのはどうなのか。
同じ穴の狢なのにGM作物だけ否定するのはおかしいという論法で、何の解決にもなってない。
最終的にベターなアイデアとして提示されたのが「遺伝子組み換え作物を有機農法で育てること」というのはどうなんだろうか。
一見いいとこ取りのフレーズなのだが、これは「人体にとって無害なのか悪いのか」そして「殺虫剤を減らせる」という視点だけで、「GM作物が生態系にどういう影響を及ぼすのか」の考察が決定的に抜けている。
GM作物の問題はそこでしょうと。
またGM作物は「公益」に主眼を置いて研究されるべきとされ、これについては全く賛成なのだが、難しいのではないかとも思う。研究には資金が必要で、企業であれ国であれ自らの利益に結びつかない投資を、バカがつくほどお人好しの日本ならまだしも、アメリカが行うだろうか?
モンサント社のラウンドアップ(除草剤)について、文中では「哺乳類には無毒であり、水や土に蓄積しないので、環境残留性のある除草剤より好ましいのよ」という記述がある。
このラウンドアップについては、福岡伸一氏著「動的平衡」のなかでも触れられている。
「ラウンドアップを撒くとペンペン草も生えない。作物自体も枯らしてしまう。そこでモンサント社はラウンドアップに耐性を持つ遺伝子を大豆に組み込んだ。農作業は全くの手間いらず。
そしてそのGM大豆とラウンドアップをセットにして販売する。おまけにGM大豆に一年しか使えないよう細工をした。そうすれば農家は毎年種をモンサント社から買わざるを得ない」
「ヨーロッパ諸国はGM作物について嫌悪感を表明。安全性を理由にしていたが、アメリカ資本にヨーロッパの農業をコントロールされてしまうことに対する危機感だった」
モンサント社の除草剤耐用ナタネを栽培していない農家のナタネから、除草剤耐用ナタネの遺伝子が発見された。屋外で栽培しているのだから、隣接していれば受粉してしまうのは何ら不思議ではない。有機農業を営む農家にすればいい迷惑なのだが、なんと逆にモンサント社は農家を訴える。自社で開発した遺伝子の特許権を侵害したというのがその理由。
「儲けようとする企業努力自体は悪くないのだが、そのやり方は強欲で自分勝手」
この「有機農業と遺伝子組み換え食品」にも「公益の追求」と「特許の企業独占」の問題については触れられているが、記述によってずいぶん印象が違うものだと改めて感じた。
農作物の被害に悩まされる国が自らの研究によって品種を改良していく〜それが遺伝子組み換えであれ〜ことを否定する立場にはないが、それが輸出され価格で市場を席巻する状況になったとき、我々も重くその考察を迫られるだろう。
2013年4月4日に日本でレビュー済み
有機農業と遺伝子組換え作物の組み合わせこそ明日の食卓を支える方策ではないか、と説く一冊です。
慣行農業の環境負荷は高いのですが、その解決策と期待される有機農業は課題山積です。他方、遺伝子組換え作物は病虫害に強く、また世界各地の深刻な栄養不足問題などを解決しうる数少ない手段の一つでもあります。遺伝子組換え作物を有機農業で育てれば、環境保護と食糧問題の解決が両立する可能性があります。
本書は遺伝子組換え作物が「選択肢をもてる」先進国の消費者から理不尽に忌避されていることなどに触れつつ、食料と栄養の安定供給の必要に迫られる発展途上国においてこそ、有機農業と遺伝子組換え作物のセットは普及していくのではないかと展望しています。
著者は本書をドラマ仕立てのドキュメンタリー番組のように仕上げており、著者が料理を作ったり、授業を進めたりしながら、周囲の人々と会話し、ときに思索にふけるという状況を設定し、エッセイのように話を進めます。同時に、文中のちょっとした記述にも裏付けとなる文献が示され、索引や補注も充実しており、学術論文のような信頼性を実現すべく努力されています。
幅広い内容をコンパクトにまとめ、読みやすさと記述の確かさを両立した素晴らしい一冊……といいたいのですが、実際のところ、私は読み通すのにも内容を咀嚼するのにも相当の時間を要しました。レイアウトや造本等、なお工夫の余地はあったのではないかという気もします。
慣行農業の環境負荷は高いのですが、その解決策と期待される有機農業は課題山積です。他方、遺伝子組換え作物は病虫害に強く、また世界各地の深刻な栄養不足問題などを解決しうる数少ない手段の一つでもあります。遺伝子組換え作物を有機農業で育てれば、環境保護と食糧問題の解決が両立する可能性があります。
本書は遺伝子組換え作物が「選択肢をもてる」先進国の消費者から理不尽に忌避されていることなどに触れつつ、食料と栄養の安定供給の必要に迫られる発展途上国においてこそ、有機農業と遺伝子組換え作物のセットは普及していくのではないかと展望しています。
著者は本書をドラマ仕立てのドキュメンタリー番組のように仕上げており、著者が料理を作ったり、授業を進めたりしながら、周囲の人々と会話し、ときに思索にふけるという状況を設定し、エッセイのように話を進めます。同時に、文中のちょっとした記述にも裏付けとなる文献が示され、索引や補注も充実しており、学術論文のような信頼性を実現すべく努力されています。
幅広い内容をコンパクトにまとめ、読みやすさと記述の確かさを両立した素晴らしい一冊……といいたいのですが、実際のところ、私は読み通すのにも内容を咀嚼するのにも相当の時間を要しました。レイアウトや造本等、なお工夫の余地はあったのではないかという気もします。
2012年2月9日に日本でレビュー済み
遺伝子組換え食品について詳細を知りたかったので読んでみました。
日本では遺伝子組換え食品は敬遠されていますが、よく知らないがために恐れている側面が大きいと思いました。よく知らない場合に恐れるというのは妥当な選択だと思いますが、一方でリスクがありながらよく知らないがゆえに受け入れているものが多いというのも事実。
本書では、農薬を使用した慣行農法の生産物や遺伝子組み換えでない方法による品種改良手法(放射線をあてたり薬品に浸したりして遺伝子に異常=変異を起こさせる方法を含む)についても言及し、それらと遺伝子組換え手法とを比較しながら、遺伝子組換え品種のリスクとメリットについて、論理的科学的に説いています。病害虫抵抗性のある遺伝子組換え品種によって農薬の使用が減らせればその方がより安全ではないか、というのはその通りだと思いました。
厚い本で分量も多いですが、冷静に論理的科学的に展開されているので、比較的スラスラと読みやすいです。
よくわからないままに遺伝子組換え食品を敬遠するのではなく、遺伝子組換えでさえなければ安全なのかということも含めて、各々が知識と理解を深めるべきと思いました。その上で、各々が選べる状況ができればよいかと思います。
日本では遺伝子組換え食品は敬遠されていますが、よく知らないがために恐れている側面が大きいと思いました。よく知らない場合に恐れるというのは妥当な選択だと思いますが、一方でリスクがありながらよく知らないがゆえに受け入れているものが多いというのも事実。
本書では、農薬を使用した慣行農法の生産物や遺伝子組み換えでない方法による品種改良手法(放射線をあてたり薬品に浸したりして遺伝子に異常=変異を起こさせる方法を含む)についても言及し、それらと遺伝子組換え手法とを比較しながら、遺伝子組換え品種のリスクとメリットについて、論理的科学的に説いています。病害虫抵抗性のある遺伝子組換え品種によって農薬の使用が減らせればその方がより安全ではないか、というのはその通りだと思いました。
厚い本で分量も多いですが、冷静に論理的科学的に展開されているので、比較的スラスラと読みやすいです。
よくわからないままに遺伝子組換え食品を敬遠するのではなく、遺伝子組換えでさえなければ安全なのかということも含めて、各々が知識と理解を深めるべきと思いました。その上で、各々が選べる状況ができればよいかと思います。
2012年3月4日に日本でレビュー済み
カリフォルニア大学デイビス校の植物病理学の教授で、植物遺伝学者として発展途上国の農業上の問題に取り組んでいるパム・ロナルド(Pam Ronald)と、同じ大学で有機栽培農業の実習を指導するとともに、自らが有機栽培農家であるラウル・アダムシャ(Raoul Adamchak)夫妻の共著。原題は“Tomorrow's Table”。
夫妻は将来の農業の課題を、増加する人口に対して環境に負荷をかけることなく安全な食料を供給することとし、その方法として、遺伝子組み換え作物を有機栽培農業で育成することを提案します。
従来型の農業は、農薬の使用による環境への負荷が大きい。有機栽培農業は安全で環境とも調和するが、将来の(というか現時点でも発展途上国では無理だろう)人口を養うことは不可能。まず、この認識が前提となります。
パム・ロナルド教授は、自らの稲の研究をもとに植物の遺伝子工学について説明します。遺伝子組み換え作物の目的は何か、従来の植物改良、育種とはどこがどう違うのか。有機農業の実践については当然夫のラウルの筆になります。また、二人は遺伝子組み換え作物が農薬の使用を減少させることが出来、環境問題にも貢献すること、食品としてのリスクとその検証方法といった点にも言及します。
夫妻と彼らの友人たち、学生たちとの対話による語り口は、とても平易ながらその内容にひきこまれます。全くの門外漢にも興味を抱かせ、よく考えさせるでしょう(って私がそうってだけですが)。コラムによる専門用語の解説、夫妻による料理のレシピも面白い。
科学として、農業を考えてみよう。将来の環境問題と農業の関係について考えよう。そんなきっかけとなる一冊。
夫妻は将来の農業の課題を、増加する人口に対して環境に負荷をかけることなく安全な食料を供給することとし、その方法として、遺伝子組み換え作物を有機栽培農業で育成することを提案します。
従来型の農業は、農薬の使用による環境への負荷が大きい。有機栽培農業は安全で環境とも調和するが、将来の(というか現時点でも発展途上国では無理だろう)人口を養うことは不可能。まず、この認識が前提となります。
パム・ロナルド教授は、自らの稲の研究をもとに植物の遺伝子工学について説明します。遺伝子組み換え作物の目的は何か、従来の植物改良、育種とはどこがどう違うのか。有機農業の実践については当然夫のラウルの筆になります。また、二人は遺伝子組み換え作物が農薬の使用を減少させることが出来、環境問題にも貢献すること、食品としてのリスクとその検証方法といった点にも言及します。
夫妻と彼らの友人たち、学生たちとの対話による語り口は、とても平易ながらその内容にひきこまれます。全くの門外漢にも興味を抱かせ、よく考えさせるでしょう(って私がそうってだけですが)。コラムによる専門用語の解説、夫妻による料理のレシピも面白い。
科学として、農業を考えてみよう。将来の環境問題と農業の関係について考えよう。そんなきっかけとなる一冊。