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ビヒモス―ナチズムの構造と実際 1933-1944 単行本 – 1963/10/15

5.0 5つ星のうち5.0 1個の評価

ビヒモスは旧約聖書のなかで、恐怖の支配を行う怪物の名である。ビヒモスは大地を、リヴァイアサンは海洋を支配し、世界の終末の間近かに再現するという。かつてアウグスティヌスは、ビヒモスを悪魔(サタン)とし、ホッブスはこの二つの怪物をそれぞれ書名とする本を書いた。ノイマンは書いている。「ナチズムは、国家であり、混沌であり、無法とアナーキーの支配であり、人間の諸権利と人間の威厳dignityを無にするものであり、世界全体を混沌に変貌しないではやまぬものであるから、まさに“ビヒモス"と呼ぶにふさわしい」著者は、ワイマール・ドイツで社会民主党員、著名な法学者ジンツハイマーの助手であり、またベルリンで弁護士であった。ナチ政権成立とともに亡命、アメリカにわたり、本書を出版した。(初版1942年、増補版1944年)、初版刊行のさい、A.ローゼンベルクは書評でつぎのように書いた。「最近ナチ関係書は洪水のように出るが、本書は後世に残る稀れな書物の一つとなろう。ノイマンはドイツについてのオリジナルな内部情報に通暁している上に、ナチの支配によって生じた新たな諸問題について、理論的な判断力を示している」と。どのような理由でワイマール共和国が、冷酷な全体主義独裁に追いこまれていったのか、という問題は、時代を超えて、われわれにも切実な関心をそそることである。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ みすず書房 (1963/10/15)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1963/10/15
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 512ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4622017016
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4622017011
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 1個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2016年11月22日に日本でレビュー済み
フランツ・レオポルド・ノイマンはドイツ系ユダヤ人の政治学者、歴史学者。フランクフルト大学で教えていましたが、ナチスが政権を獲得した後はアメリカに亡命し、アドルノやホルクハイマーと協力しフランクフルト社会科学研究所で活動しています。コロンビア大学ではホロコースト研究家のラウル・ヒルバーグをはじめとする有能な学者たちを育てました。

本書は彼の主著であり、ライフワークでもあるナチス・ドイツ体制の研究です。イギリスの政治学者ホッブズはピューリタン革命によって生み出された無秩序・カオスを聖書に登場する化け物「ビヒモス」にたとえました。ノイマンは、法の支配が破壊され、「総統」のあらゆる気まぐれに奉仕するナチス体制をホッブズにならって「ビヒモス」と呼んだのです。

まだドイツは敗北しておらず、戦後に押収される内部文書は利用できませんでしたが、ノイマンはドイツで発行された官報と業界紙、法律学と社会主義研究の成果を活かして、ナチス体制の起源とあらゆる局面を検討します。カリスマ指導者・人種理論・帝国主義・独占経済…。そしてノイマンは、ナチス・ドイツには政治理論ばかりか経済理論も使命感もなく、支配階級である大産業・党・官僚制・軍という4つのグループはそれぞれ独自のやり方で運営され、根本的には無政府状態でありながら、かつて見たこともない暴力を用いることができる「非国家」になった、という驚くべき結論に達するのです。

ノイマンの叙述は飾り気がなく、無味乾燥といってよいくらい素っ気ない。ただしどの箇所も事実の裏づけがあり、推理は鮮やかにそれぞれの支配階級の動機とエゴをあばき、ナチスという巨獣の解剖を目にしているような快感さえ与えてくれました。
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