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野生の思考 単行本 – 1976/3/31
クロード・レヴィ=ストロース
(著),
大橋 保夫
(翻訳)
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野生の思考La Pensee sauvageは、1960年代に始まったいわゆる構造主義ブームの
発火点となり、フランスにおける戦後思想史最大の転換をひきおこした著作である。
Sauvage(野蛮人)は、西欧文化の偏見の凝集ともいえる用語である。しかし
植物に使えば「野生の」という意味になり、悪条件に屈せぬたくましさを暗示する。
著者は、人類学のデータの広い渉猟とその科学的検討をつうじて未開人観にコペルニクス
的転換を与えsauvageの両義性を利用してそれを表現する。
野生の思考とは未開野蛮の思考ではない。
野生状態の思考は古今遠近を問わずすべての人間の精神のうちに花咲いている。
文字のない社会、機械を用いぬ社会のうちにとくに、その実例を豊かに見出すことができる。
しかしそれはいわゆる文明社会にも見出され、とりわけ日常思考の分野に重要な役割を果たす。
野生の思考には無秩序も混乱もないのである。
しばしば人を驚嘆させるほどの微細さ・精密さをもった観察に始まって、それが分析・区別・分類・
連結・対比……とつづく。自然のつくり出した動植鉱物の無数の形態と同じように、
人間のつくった神話・儀礼・親族組織などの文化現象は、野生の思考のはたらきとして特徴的なのである。
この新しい人類学Anthropologieへの寄与が同時に、人間学Anthropologieの革命
である点に本書の独創的意味があり、また著者の神話論序説をなすものである。
著者は1959年以来、コレージュ・ド・フランス社会人類学の教授である。
発火点となり、フランスにおける戦後思想史最大の転換をひきおこした著作である。
Sauvage(野蛮人)は、西欧文化の偏見の凝集ともいえる用語である。しかし
植物に使えば「野生の」という意味になり、悪条件に屈せぬたくましさを暗示する。
著者は、人類学のデータの広い渉猟とその科学的検討をつうじて未開人観にコペルニクス
的転換を与えsauvageの両義性を利用してそれを表現する。
野生の思考とは未開野蛮の思考ではない。
野生状態の思考は古今遠近を問わずすべての人間の精神のうちに花咲いている。
文字のない社会、機械を用いぬ社会のうちにとくに、その実例を豊かに見出すことができる。
しかしそれはいわゆる文明社会にも見出され、とりわけ日常思考の分野に重要な役割を果たす。
野生の思考には無秩序も混乱もないのである。
しばしば人を驚嘆させるほどの微細さ・精密さをもった観察に始まって、それが分析・区別・分類・
連結・対比……とつづく。自然のつくり出した動植鉱物の無数の形態と同じように、
人間のつくった神話・儀礼・親族組織などの文化現象は、野生の思考のはたらきとして特徴的なのである。
この新しい人類学Anthropologieへの寄与が同時に、人間学Anthropologieの革命
である点に本書の独創的意味があり、また著者の神話論序説をなすものである。
著者は1959年以来、コレージュ・ド・フランス社会人類学の教授である。
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日1976/3/31
- ISBN-104622019728
- ISBN-13978-4622019725
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出版社より
1976年初版刊行以来、超ロングセラー!! 野生状態の思考は古今遠近を問わずすべての人間の精神のうちに花咲いている。
商品の説明
著者について
クロード・レヴィ=ストロース
Claude Levi-Strauss
1908年11月28日ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。
1935-38年、新設のサン・パウロ大学社会学教授として赴任、人類学の研究を始める。
1941年からニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで文化人類学
の研究に従事。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。
1982年退官。アカデミー・フランセーズ会員。2009年10月30日、100歳で逝去。
著書『親族の基本構造』(番町書房 1977-78、青弓社 2000)『人種と歴史』(みすず書房
1970)『悲しき熱帯』(中央公論社 1977)『構造人類学』(みすず書房 1972)『今日の
トーテミスム』(みすず書房 1970)『野生の思考』(みすず書房 1976)『神話論理』四部作
(『生のものと火を通したもの』『蜜から灰へ』『食卓作法の起源』『裸の人』邦訳全5冊、
みすず書房 2006-10)『仮面の道』(新潮社 1977)『神話と意味』(みすず書房 1996)
『構造・神話・労働』(みすず書房 1979)『はるかなる視線』(みすず書房 1986・88)
『パロール・ドネ』(講談社 2009)『やきもち焼きの土器つくり』(みすず書房 1990)
『遠近の回想』(共著、みすず書房 1991、増補新版2008)『レヴィ=ストロース講義
――現代世界と人類学』(サイマル出版会 1988を改題、平凡社ライブラリー 2005)
『みる きく よむ』(みすず書房 2005)『ブラジルへの郷愁』(みすず書房 1995、中央公論
新社 2010)『サンパウロへのサウダージ』(みすず書房 2008)『月の裏側』(中央公論新社
2014)他。
2008年にプレイヤード叢書(ガリマール社、フランス)全1冊の著作集Oeuvres刊。
Claude Levi-Strauss
1908年11月28日ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。
1935-38年、新設のサン・パウロ大学社会学教授として赴任、人類学の研究を始める。
1941年からニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで文化人類学
の研究に従事。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。
1982年退官。アカデミー・フランセーズ会員。2009年10月30日、100歳で逝去。
著書『親族の基本構造』(番町書房 1977-78、青弓社 2000)『人種と歴史』(みすず書房
1970)『悲しき熱帯』(中央公論社 1977)『構造人類学』(みすず書房 1972)『今日の
トーテミスム』(みすず書房 1970)『野生の思考』(みすず書房 1976)『神話論理』四部作
(『生のものと火を通したもの』『蜜から灰へ』『食卓作法の起源』『裸の人』邦訳全5冊、
みすず書房 2006-10)『仮面の道』(新潮社 1977)『神話と意味』(みすず書房 1996)
『構造・神話・労働』(みすず書房 1979)『はるかなる視線』(みすず書房 1986・88)
『パロール・ドネ』(講談社 2009)『やきもち焼きの土器つくり』(みすず書房 1990)
『遠近の回想』(共著、みすず書房 1991、増補新版2008)『レヴィ=ストロース講義
――現代世界と人類学』(サイマル出版会 1988を改題、平凡社ライブラリー 2005)
『みる きく よむ』(みすず書房 2005)『ブラジルへの郷愁』(みすず書房 1995、中央公論
新社 2010)『サンパウロへのサウダージ』(みすず書房 2008)『月の裏側』(中央公論新社
2014)他。
2008年にプレイヤード叢書(ガリマール社、フランス)全1冊の著作集Oeuvres刊。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (1976/3/31)
- 発売日 : 1976/3/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 408ページ
- ISBN-10 : 4622019728
- ISBN-13 : 978-4622019725
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- - 10位文化人類学一般関連書籍
- - 366位哲学・思想 (本)
- カスタマーレビュー:
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2024年5月29日に日本でレビュー済み
ブリコラージュ:ありあわせのものを使って自分の手で作ること。これが工業化によって失われたことが今の環境破壊そして文化喪失につながっている。大量生産、大量消費と社会の画一化が進む現在において、レヴィストロースの示唆するところは大きい。そして、彼が日本に見出した希望である自然と科学の矛盾なき両立には、これらの社会課題への解決策となろう。西洋哲学にとどめを刺した彼の思想をもう一度学ぶ必要があるかもしれない。
2023年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
難しいです。挑戦中です。^^;
2022年5月11日に日本でレビュー済み
野生の思考とは、
歴史的時間(水平軸)から超越している単一個体の共時態的経験(垂直軸の延長=流動性/永遠性)と、
感覚感受の系(主体=客体)からの組み合わせから、
結果的に構造体がつくられている(表象の系)といった過程のようなものである。
(It adresses somebody、バース)
(芸術、出来事、技巧、感覚、体験(過程)からの結果的な表象化)
(外⇌内、遠近的、トーテム範疇、トーテム象徴的なもの)
対比としては、
「感覚感受の系を分断(主体、客体を分断)」を前提条件とする
理論科学、系統学での観察法や構造理論(主体の静的な記号化)があげられる。
(主体の同事態延長のパラドックス=形式的な物的公理)
(理論科学=外→内=単一方向的)
・科学(通事態的∋共時態的)(化石化した証人=因果性の演技)
・科学(不確実や挫折に寛容。無秩序は排除=秩序づけに帰するため)
前述は「言語的媒介/表現」、後述は「記号的媒介/表象」であるといえる。
本書は様々な民族、少数部族の独自の記号媒介を用いた生活圏の独自性に触れながら、
その原始的思考と歴史的思考を考察する。
参考図書
『孤独の遠近法』『文学とテクノロジー』『新人文感覚』
『言葉とは何か』『過程と実在〈2〉-コスモロジーへの試論』
------------------------------------------------------------------------------------
第一章 具体の科学
第二章 トーテム的分類の論理
第三章 変換の体系
第四章 トーテムとカースト
第五章 範疇、元素、種、数
第六章 普遍化と特殊化
第七章 種としての個体
第八章 再び見出された時
第九章 歴史と弁証法
------------------------------------------------------------------------------------
(無排除的、無疎外的な弁別性=外延と内含の見地の均衡=外延において不確定で無限定な単一個体)
・それ以外の最終分類単位のひとつではない=単一自我的な何か
・種の多様性=客観的コード化の感覚的表現=差異に消えない種
(流動的な永遠性においての移行可能性=儀式的操作による可逆性の考察)
(共時態的⇌通事態的(「種」⇌「範疇」))
・通時態という状態のままに、自らの死生(共時態的)を操作することはできるか
歴史的時間(水平軸)から超越している単一個体の共時態的経験(垂直軸の延長=流動性/永遠性)と、
感覚感受の系(主体=客体)からの組み合わせから、
結果的に構造体がつくられている(表象の系)といった過程のようなものである。
(It adresses somebody、バース)
(芸術、出来事、技巧、感覚、体験(過程)からの結果的な表象化)
(外⇌内、遠近的、トーテム範疇、トーテム象徴的なもの)
対比としては、
「感覚感受の系を分断(主体、客体を分断)」を前提条件とする
理論科学、系統学での観察法や構造理論(主体の静的な記号化)があげられる。
(主体の同事態延長のパラドックス=形式的な物的公理)
(理論科学=外→内=単一方向的)
・科学(通事態的∋共時態的)(化石化した証人=因果性の演技)
・科学(不確実や挫折に寛容。無秩序は排除=秩序づけに帰するため)
前述は「言語的媒介/表現」、後述は「記号的媒介/表象」であるといえる。
本書は様々な民族、少数部族の独自の記号媒介を用いた生活圏の独自性に触れながら、
その原始的思考と歴史的思考を考察する。
参考図書
『孤独の遠近法』『文学とテクノロジー』『新人文感覚』
『言葉とは何か』『過程と実在〈2〉-コスモロジーへの試論』
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第一章 具体の科学
第二章 トーテム的分類の論理
第三章 変換の体系
第四章 トーテムとカースト
第五章 範疇、元素、種、数
第六章 普遍化と特殊化
第七章 種としての個体
第八章 再び見出された時
第九章 歴史と弁証法
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(無排除的、無疎外的な弁別性=外延と内含の見地の均衡=外延において不確定で無限定な単一個体)
・それ以外の最終分類単位のひとつではない=単一自我的な何か
・種の多様性=客観的コード化の感覚的表現=差異に消えない種
(流動的な永遠性においての移行可能性=儀式的操作による可逆性の考察)
(共時態的⇌通事態的(「種」⇌「範疇」))
・通時態という状態のままに、自らの死生(共時態的)を操作することはできるか
2022年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
推し活にどうぞ
2021年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前から読みたいと思い探していました。
2018年9月1日に日本でレビュー済み
我々は近代文明と云う「檻」の中にいて、それが世界の全てだと考えている。
そしてそこでは必要なものは何でも手に入れられるとも考えている。しかしそれは錯覚であり、都市に住む者は水を飲むことさえ誰かの助けを借りなければならない。
一方の原住民といえば、必要なものは総て自らの力で森や川から取り出す術を心得ている。彼等にとって有用な植物の分類は300種に及び、西欧の植物学が果たした如何なる分類も凌駕している。檻の外では我々は彼等の足元にも及ばないのだ。
近代文明には、進化論、マルクス主義に代表されるように、精神は未開から神なるイデアに向かって進化するのだと云う勝手な思い込みがある。加えて、個人と云うものを「発見」したことで、自らを自然から隔離して檻の中に閉じ込め、出自不明のホームレスとなってしまった。言って見れば砂漠の中の砂粒の様な存在である。風が吹けば何処かに吹き飛ばされると云う不安をいつも抱えて暮らしている。プラトン風にいえば檻という洞窟の中で影だけを探し求め、光を見る方法を自ら見失ったようなものだ。
人が持っている「文明を構成するパーツ」は同じであり、それをどのように組み合わせるか、それで文明の形が決まってくる。人が文明なるものを持ち始めたとき、パーツはどのように組み合わされ、それがどのような婚姻、葬式、それらを含む倫理観を作り出していったか、西欧が進化の在り方とした形而上学から抜け出し得なかった当時、レヴィ・ストロースは未開文明の中に新たな形而上学を見出したことになる。
日本語の「ああ!」はどうして「A-Aという音」なのか。
ライオンの唸り声をいくら分析したところで、その状況でその音を発する理由は分らないし、それを聞いた動物が恐怖に捉われる理由もわからない。せいぜい低音には威嚇の効果があると云う程度だろう。だが、問題なのは、何故「低音には威嚇効果がある」のか、という事である。
文明にも同じことが言える。
人は秩序や倫理をどこから獲得したか、人はなぜ「酋長」になるのか、またなりたがるのか。形而上学をいくらひねくり回しても答えは出て来ない。人は雷や嵐、動物や植物の在り方を自らの在り方に重ね合わせ、宗教や神話、倫理、言葉もそこから生まれてくる。原住民の文明は未開ではない。我々とは異なったもう一つの文明の形態であるにすぎない。
先住民の文明を知ること、それは洞窟から抜け出すにはどうするのかを問い直すことでもある。決して人類学の博物館に標本を一つ増やすと云った、そのような安易なものではない。
刺身を切るのに物差しは使わない。
1㎝が先にあるのではない。適切な幅が先にあって、次にそれが1cmだと云うだけである。物差しの使い方を学ぶのも文明だが、必要な長さとはどれほどかを知り、共有する事で、その背後にある本来の文明を知ること、それこそが文明である。
「伝統文化」は近代文明の中に残された「未開文明」である。社会が「伝統」を守ろうとするなら、そこに在る「宗教・神話・言語」は尊重されるべきで、事実「伝統」はそのように継承されている。だから時として近代文明と対立する。そのときいつも社会は困惑するのだが、どこかの先住民に相談してみれば答えを出してくれるかもしれない。
そしてそこでは必要なものは何でも手に入れられるとも考えている。しかしそれは錯覚であり、都市に住む者は水を飲むことさえ誰かの助けを借りなければならない。
一方の原住民といえば、必要なものは総て自らの力で森や川から取り出す術を心得ている。彼等にとって有用な植物の分類は300種に及び、西欧の植物学が果たした如何なる分類も凌駕している。檻の外では我々は彼等の足元にも及ばないのだ。
近代文明には、進化論、マルクス主義に代表されるように、精神は未開から神なるイデアに向かって進化するのだと云う勝手な思い込みがある。加えて、個人と云うものを「発見」したことで、自らを自然から隔離して檻の中に閉じ込め、出自不明のホームレスとなってしまった。言って見れば砂漠の中の砂粒の様な存在である。風が吹けば何処かに吹き飛ばされると云う不安をいつも抱えて暮らしている。プラトン風にいえば檻という洞窟の中で影だけを探し求め、光を見る方法を自ら見失ったようなものだ。
人が持っている「文明を構成するパーツ」は同じであり、それをどのように組み合わせるか、それで文明の形が決まってくる。人が文明なるものを持ち始めたとき、パーツはどのように組み合わされ、それがどのような婚姻、葬式、それらを含む倫理観を作り出していったか、西欧が進化の在り方とした形而上学から抜け出し得なかった当時、レヴィ・ストロースは未開文明の中に新たな形而上学を見出したことになる。
日本語の「ああ!」はどうして「A-Aという音」なのか。
ライオンの唸り声をいくら分析したところで、その状況でその音を発する理由は分らないし、それを聞いた動物が恐怖に捉われる理由もわからない。せいぜい低音には威嚇の効果があると云う程度だろう。だが、問題なのは、何故「低音には威嚇効果がある」のか、という事である。
文明にも同じことが言える。
人は秩序や倫理をどこから獲得したか、人はなぜ「酋長」になるのか、またなりたがるのか。形而上学をいくらひねくり回しても答えは出て来ない。人は雷や嵐、動物や植物の在り方を自らの在り方に重ね合わせ、宗教や神話、倫理、言葉もそこから生まれてくる。原住民の文明は未開ではない。我々とは異なったもう一つの文明の形態であるにすぎない。
先住民の文明を知ること、それは洞窟から抜け出すにはどうするのかを問い直すことでもある。決して人類学の博物館に標本を一つ増やすと云った、そのような安易なものではない。
刺身を切るのに物差しは使わない。
1㎝が先にあるのではない。適切な幅が先にあって、次にそれが1cmだと云うだけである。物差しの使い方を学ぶのも文明だが、必要な長さとはどれほどかを知り、共有する事で、その背後にある本来の文明を知ること、それこそが文明である。
「伝統文化」は近代文明の中に残された「未開文明」である。社会が「伝統」を守ろうとするなら、そこに在る「宗教・神話・言語」は尊重されるべきで、事実「伝統」はそのように継承されている。だから時として近代文明と対立する。そのときいつも社会は困惑するのだが、どこかの先住民に相談してみれば答えを出してくれるかもしれない。
2016年3月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この『野生の思考』と、『悲しき熱帯』『西太平洋の遠洋航海者』は、文化人類学の必読本だと思います。人間とは何だろう?我々の暮らしの尺度に我々は取り憑かれていないか?と気づかせてくれます。
2022年9月26日に日本でレビュー済み
レヴィ=ストロースは多くの本を書いているが、レヴィ=ストロースという人物のことが知りたかったら『悲しき熱帯』を、その業績を知りたかったら、この本を読むのでは良いのではいないか。
書名になっている野生の思考とは、野生状態の思考である、と本人が第8章で言い切っている。
野蛮なもの、未開なもの、とされてきた人々へのヨーロッパ知識人の偏見を、その西洋の論理で完璧なまでに反証した、西洋哲学史に残る名著。
そしてそれは、当時のフランスで主流だったサルトルの思想へのアンチテーゼでもあった。
人類学という分野から、哲学史を塗り替えるような思想が生まれたということが、まさに当時の哲学の危機的な状況を象徴していた。
書名になっている野生の思考とは、野生状態の思考である、と本人が第8章で言い切っている。
野蛮なもの、未開なもの、とされてきた人々へのヨーロッパ知識人の偏見を、その西洋の論理で完璧なまでに反証した、西洋哲学史に残る名著。
そしてそれは、当時のフランスで主流だったサルトルの思想へのアンチテーゼでもあった。
人類学という分野から、哲学史を塗り替えるような思想が生まれたということが、まさに当時の哲学の危機的な状況を象徴していた。