・・・でもだいぶ手を入れたのか講演集にありがちな重複はありません。著者は分子生物学において功挙げ名成った大学者ですが、“あがった”後の思い出語りや一線を離れ無邪気に文化論を語っている輩とは一線を劃しています。
話題は、発生学~分子生物学研究史のすぐれた概説あり、その中で研究対象(ハエ、マウス、バクテリア、カエル、プラナリア・・・)の持つ意味を自身がバクテリアからマウスへ研究対象を替えるさいの逡巡を語ることで説明する条りあり、あるいは科学者の頭の中で画期的な発想が生まれるさいのプロセスと芸術との近さと差異について述べてみたり、また遺伝子研究の進展を危惧する向きに対しては人間は知ることを欲すると確固として信じる立場から反論してみたり、じつに豊富です。ギリシャ神話から現代科学論、孔子、ルネ・クレールの映画、と引用も多彩で、20世紀フランスのフマニスト然とした、サイエンスについて常に考え、考え抜いた人ならではの非常にこなれた思索のエッセンスといえます。
薄い本ですが、出版社の書いた大括りな惹句からは窺いがたい肥沃な地平の拡がりが感じられます。科学の門外漢が目先を換えて夏休みに手にする理系っぽい本として大変好適です。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ハエ、マウス、ヒト―一生物学者による未来への証言 単行本 – 2000/4/26
このページの読み込み中に問題が発生しました。もう一度試してください。
- 本の長さ194ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2000/4/26
- ISBN-104622039478
- ISBN-13978-4622039471
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
20世紀後半、飛躍的な展開を遂げた生物学の足跡、そして科学の現在と未来について語るとともに、科学者の人間としての側面、科学と政治社会の関係にも視線を注ぐ。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2000/4/26)
- 発売日 : 2000/4/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 194ページ
- ISBN-10 : 4622039478
- ISBN-13 : 978-4622039471
- Amazon 売れ筋ランキング: - 922,212位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,368位生物学 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと見つけたり、似たような著者を調べたり、おすすめの本を読んだりできます。
カスタマーレビュー
星5つ中4.2つ
5つのうち4.2つ
4グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ58%0%42%0%0%58%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ58%0%42%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ58%0%42%0%0%42%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ58%0%42%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ58%0%42%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
- 2005年8月11日に日本でレビュー済み