昔も今も
現代文化の規範の変化
キリスト教的神話とキリスト教的歴史
ダイナモと聖母マリア再考
現在の生態学的危機の歴史的根源
科学の文脈
発明の作用
知識人の憂うつについて
技術者と新ヒューマニズム
技術についての観想
魔女の必要性
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
機械と神: 生態学的危機の歴史的根源 (みすずライブラリー) 単行本 – 1999/12/1
- 本の長さ186ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日1999/12/1
- ISBN-104622050498
- ISBN-13978-4622050490
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
科学と技術の無制限な研究・開発によってもたらされた、人類存続に対する危機。人間中心の自然観など、キリスト教的な世界像から原因を考察する。1972年刊の再刊。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (1999/12/1)
- 発売日 : 1999/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 186ページ
- ISBN-10 : 4622050498
- ISBN-13 : 978-4622050490
- Amazon 売れ筋ランキング: - 908,104位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 83,570位科学・テクノロジー (本)
- - 112,529位社会・政治 (本)
- - 133,655位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.7つ
5つのうち3.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
2グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年7月26日に日本でレビュー済み
ホワイトの説は今の日本ではもはや陳腐な常識のようになっている。いわく、「キリスト教は、神が、人間を自然の支配者として世界に置いた人間中心の教えによって自然破壊を促進した。これに対して、東洋的な自然宗教は人間もまた自然の一部にすぎないと教え、人間は自然を尊敬し、これを破壊しない。」しかし、これが相当作り話であることは、少し歴史の事実をふりかえればわかる。
もし自然宗教が環境を保護して来たということが事実ならば、オリエントや中国の自然宗教の地域では環境は守られて来たはずだ。だが、実際はそうでなかった。かつて豊かな森林だったという古代メソポタミアは、今は不毛の地である。古代メソポタミア人の宗教は、いわゆる自然宗教だった。彼らは焼きレンガを作るためと、農地拡大のために森林伐採をした。その結果、森林の蒸散作用が失われて雨雲ができなくなり 、彼らは灌漑をしたが、その結果、川の水に含まれる塩分のために塩害が起こり砂漠化してしまった。
古代中国もまた、自然宗教の地であった。ここでは北方からの騎馬民族の侵入をふせぐ万里の長城を築く為に、莫大なレンガを製造するために森林が次々に燃料として用いられて消失していった。ゴビ砂漠はそのあとだと言われている。
かつてヨーロッパは森に覆われていた。キリスト教宣教師が、ケルト人やゲルマン人が神として拝み動物やときには人を生贄として捧げた神木を切り倒したということを取り上げて、環境派はキリスト教が環境破壊の元凶だという。だが、宣教師たちがしたことは「森林破壊」でなく、彼らを子どもなどを樹木に生贄としてささげる迷信から解放するためのデモンストレーションにすぎない。「神木」を何本か切ったって森林は亡びない。実際に、ヨーロッパの森林を破壊したのは12世紀の農業革命と大開墾、そして16世紀以降の帝国主義諸国による植民地争奪戦のための軍艦建造競争である。スペインはかつての森林に覆われた緑豊かな国土を、無敵艦隊アマルダと引き換えに赤土の荒野とした。そして、産業革命後、環境破壊はさらに世界に急激に拡大した。
現代世界を見よう。中国では、経済発展で肉食志向のせいで過放牧で砂漠化が急激に進んでいる。米国、オーストラリア、インドなどの経済効率優先の大規模灌漑化学農法も大地を砂漠化している。世界で毎年6万平方キロが砂漠化している。
現代のグローバリズムを掲げる市場原理主義の自由主義経済は、大地を急速に滅ぼしつつある。穀物メジャーは、途上国の大地主に札束をもって近づき、森を切り払って農地を大規模化し、単作・機械化・化学農法を持ち込んだ。結果、大量の穀物を安価に収穫し世界市場に売りさばいて、穀物メジャーは莫大な利益を得た。しかし、十年もたつと大量に投じられた化学肥料と農薬と連作で大地は疲弊した。すると、国際穀物メジャーはさっさと生産地を他国に移してしまう。 農民たちは荒廃した大地を残され、森を失い、雨を失い、大飢饉がその国を襲う。国際的支援が必要ということで国連が動き、国々が拠出して大量の小麦を買いつけて、大飢饉に襲われた国の人々に提供することになると、莫大な利益を上げたのが、穀物メジャーである。
貪欲なグローバリズム経済は、大地を収奪しつくしてしまう。グローバル企業というものは、企業利益を目的として活動している貪欲な怪物である。かつてトマス・ホッブズは、近世に登場した中央集権的な国家を怪物リヴァイアサンにたとえたが、近代諸国家をも呑みつくす現代のリヴァイアサンは、自由市場主義経済をドグマとするグローバル企業である。TPPは、こうした動きの典型。
以上のように、洋の東西を問わず、破壊の元凶は貪欲・無制限な経済活動であることは、過去も現在も同じである。
今日では、ホワイトの「キリスト教環境破壊犯人説」は、キリスト教をスケープゴートにして、真犯人であるグローバル企業・自由市場経済・TPPの悪辣さを隠蔽するために利用されている。意図的かどうかは知らないけれど。
もし自然宗教が環境を保護して来たということが事実ならば、オリエントや中国の自然宗教の地域では環境は守られて来たはずだ。だが、実際はそうでなかった。かつて豊かな森林だったという古代メソポタミアは、今は不毛の地である。古代メソポタミア人の宗教は、いわゆる自然宗教だった。彼らは焼きレンガを作るためと、農地拡大のために森林伐採をした。その結果、森林の蒸散作用が失われて雨雲ができなくなり 、彼らは灌漑をしたが、その結果、川の水に含まれる塩分のために塩害が起こり砂漠化してしまった。
古代中国もまた、自然宗教の地であった。ここでは北方からの騎馬民族の侵入をふせぐ万里の長城を築く為に、莫大なレンガを製造するために森林が次々に燃料として用いられて消失していった。ゴビ砂漠はそのあとだと言われている。
かつてヨーロッパは森に覆われていた。キリスト教宣教師が、ケルト人やゲルマン人が神として拝み動物やときには人を生贄として捧げた神木を切り倒したということを取り上げて、環境派はキリスト教が環境破壊の元凶だという。だが、宣教師たちがしたことは「森林破壊」でなく、彼らを子どもなどを樹木に生贄としてささげる迷信から解放するためのデモンストレーションにすぎない。「神木」を何本か切ったって森林は亡びない。実際に、ヨーロッパの森林を破壊したのは12世紀の農業革命と大開墾、そして16世紀以降の帝国主義諸国による植民地争奪戦のための軍艦建造競争である。スペインはかつての森林に覆われた緑豊かな国土を、無敵艦隊アマルダと引き換えに赤土の荒野とした。そして、産業革命後、環境破壊はさらに世界に急激に拡大した。
現代世界を見よう。中国では、経済発展で肉食志向のせいで過放牧で砂漠化が急激に進んでいる。米国、オーストラリア、インドなどの経済効率優先の大規模灌漑化学農法も大地を砂漠化している。世界で毎年6万平方キロが砂漠化している。
現代のグローバリズムを掲げる市場原理主義の自由主義経済は、大地を急速に滅ぼしつつある。穀物メジャーは、途上国の大地主に札束をもって近づき、森を切り払って農地を大規模化し、単作・機械化・化学農法を持ち込んだ。結果、大量の穀物を安価に収穫し世界市場に売りさばいて、穀物メジャーは莫大な利益を得た。しかし、十年もたつと大量に投じられた化学肥料と農薬と連作で大地は疲弊した。すると、国際穀物メジャーはさっさと生産地を他国に移してしまう。 農民たちは荒廃した大地を残され、森を失い、雨を失い、大飢饉がその国を襲う。国際的支援が必要ということで国連が動き、国々が拠出して大量の小麦を買いつけて、大飢饉に襲われた国の人々に提供することになると、莫大な利益を上げたのが、穀物メジャーである。
貪欲なグローバリズム経済は、大地を収奪しつくしてしまう。グローバル企業というものは、企業利益を目的として活動している貪欲な怪物である。かつてトマス・ホッブズは、近世に登場した中央集権的な国家を怪物リヴァイアサンにたとえたが、近代諸国家をも呑みつくす現代のリヴァイアサンは、自由市場主義経済をドグマとするグローバル企業である。TPPは、こうした動きの典型。
以上のように、洋の東西を問わず、破壊の元凶は貪欲・無制限な経済活動であることは、過去も現在も同じである。
今日では、ホワイトの「キリスト教環境破壊犯人説」は、キリスト教をスケープゴートにして、真犯人であるグローバル企業・自由市場経済・TPPの悪辣さを隠蔽するために利用されている。意図的かどうかは知らないけれど。