サブタイトルとして小さく書かれているようにユーゴ問題を取り扱った書である。
アフリカや中東でなく、ヨーロッパで、白人同士で起きた内戦と言うこともあって特にヨーロッパ諸国での注目は高く、直接介入も含む様々な手法で解決への方策が模索された。
ユーゴ問題が現代の地域紛争を考える上で注目されるのは国際政治での扱われ方であろう。
冷戦からポスト冷戦時代、国際社会の振る舞いが変わった時期での内戦である。
東西の代理戦争ではない。途上国での部族や資源をめぐる争いでもない。
一定の民主主義が浸透したユーゴで表面的には宗教や民族をめぐっての内戦が起きる。
国際社会はどのように地域紛争に介入すべきか。人道は介入の動機となるのか。
そして現在の国際社会を考え上で示唆に富むのはやはり米国の態度であろう。
空爆の正当性、国連との関係などこのユーゴ紛争こそが冷戦後のターニングポイントであった。ユーゴ紛争で姿を見せたユニラテラリズムこそが現在の米国を動かす原理である。
ただ現在なら「なぜ戦争は終わらないのか」というテーマはアフガニスタンかイラク、アフリカの紛争諸国にこそふさわしいものだろう。
まがりなりにもユーゴは安定した。コソボやボスニアには火種となるような民族分離も残ってはいるが、まさかクロアチアとセルビアが再び戦火を交えるとは考えにくいだろう。
分離という手段によってではあるが、一定の安定を得た旧ユーゴ諸国。本当に分離しか手段はなかったのか、共生の可能性はないのか、国際法廷の有効性など今後の地域紛争を考える上では確かにユーゴ問題の経緯はよいケーススタディになるだろう。
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なぜ戦争は終わらないか: ユーゴ問題で民族・紛争・国際政治を考える 単行本 – 2002/11/1
千田 善
(著)
- 本の長さ236ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2002/11/1
- ISBN-104622070146
- ISBN-13978-4622070146
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
9.11同時多発テロ、アフガニスタン戦争、対イラク攻撃…。アメリカの一連の行動を理解する鍵は、ユーゴ紛争の中にあった。戦争の原因と背景を解き、平和への方法を模索する。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2002/11/1)
- 発売日 : 2002/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 236ページ
- ISBN-10 : 4622070146
- ISBN-13 : 978-4622070146
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,036,336位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2004年2月20日に日本でレビュー済み
私はこの本のタイトルである「なぜ戦争は終わらないか」ということについて興味を持っていたので購入しました。しかし、いざ読んでみると、ユーゴ問題で国際政治を考えるということはおろか、なぜ戦争が終わらないという分析やメカニズムの説明もなく、ユーゴ問題の経過で本一冊が終わっていました。このタイトルでは購入者を惑わせてしまうのではないでしょうか。しかしながら民族問題を、ユーゴ問題をケーススタディーとして考えるにはいい入門書になると思いました。