第二次大戦後の占領期日本に設置された進駐軍クラブにおける日本人の音楽関係者たちの活動や、文化的意義を考察した本である。
軍楽隊で働いていた人たちは、戦後も音楽を忘れることができず、
クラシックあるいは全く新しいジャズという分野で演奏していくのだが、敗戦という思いよりまずは、生きていく事を重視し、日本の中の
「アメリカ」である進駐軍クラブで働く。そうした人たちの聞き書きが
非常に面白い。
クラブで演奏する人々、演奏する人を仲介する人々、そして米軍施設やクラブで働く人々等様々な日本人を描いていて非常に興味深い。
さらに、進駐軍クラブでの音楽が、戦後の日本の歌謡曲を含むポピュラー音楽に多大な影響を与えたというのが、本書の要旨である。
確かに斬新な内容であり、面白く読める。しかし本書の目的である「ポピュラー音楽文化への影響」について深く突っ込んで書かれていないように思う。むしろ、当時働いていた人たちの直接のコメントが最も面白い。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
進駐軍クラブから歌謡曲へ―戦後日本ポピュラー音楽の黎明期 単行本 – 2005/4/22
東谷 護
(著)
アメリカ占領下の戦後日本――東京、横浜などの大都市は、進駐軍兵士であふれていた。多くの土地建物が接収され、米軍基地、キャンプ、米軍人のための居住地に早変わりした。これらの場所はオフリミットと呼ばれ、特別に許可された者以外は立ち入りが禁じられる。日本各地に特異な空間が突如出現したのである。
進駐軍クラブに出入りしたバンドマンでは、のちに名を成す、原信夫、穐吉敏子、宮間利之、小野満、ジョージ川口、渡辺貞夫、ホリプロを設立した堀威夫らがいた。演奏されたのはジャズに限らずカントリー&ウエスタン、ハワイアンなど。歌手では雪村いづみ、江利チエミ、ペギー葉山、松尾和子…。また仲介業として関わった者のなかには、やがてナベプロを起こす渡辺美佐・晋夫妻がいた。そうした人びとを育てた場がほかならぬ進駐軍クラブであった。
クラブに関わった人への直接インタヴューでは、さまざまな興味深い事実を知ることができる。その後、華やかな時期を迎える日本ポピュラー音楽や歌謡曲だが、そのスタイルの原型は、このようなクラブで生まれた。ここに多くの可能性と創造の芽があったのだ。
進駐軍クラブに出入りしたバンドマンでは、のちに名を成す、原信夫、穐吉敏子、宮間利之、小野満、ジョージ川口、渡辺貞夫、ホリプロを設立した堀威夫らがいた。演奏されたのはジャズに限らずカントリー&ウエスタン、ハワイアンなど。歌手では雪村いづみ、江利チエミ、ペギー葉山、松尾和子…。また仲介業として関わった者のなかには、やがてナベプロを起こす渡辺美佐・晋夫妻がいた。そうした人びとを育てた場がほかならぬ進駐軍クラブであった。
クラブに関わった人への直接インタヴューでは、さまざまな興味深い事実を知ることができる。その後、華やかな時期を迎える日本ポピュラー音楽や歌謡曲だが、そのスタイルの原型は、このようなクラブで生まれた。ここに多くの可能性と創造の芽があったのだ。
- 本の長さ212ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2005/4/22
- ISBN-104622071371
- ISBN-13978-4622071372
商品の説明
出版社からのコメント
本書を読めば多少音楽史観が変わり、こうしたルーツをたどる耳で音楽を聴いてみたくなるだろう。音楽愛好家、そして戦後史に関心のある人びとにとって貴重な一冊である。
著者について
1965年、神奈川県横浜市生まれ。京都大学博士(人間・環境学)。現在、成城大学文芸学部講師。専攻は音楽社会史、文化社会学、文化研究。編著に『ポピュラー音楽へのまなざし』(勁草書房、2003年)。共著に『ブラスバンドの社会史』(青弓社、2001年)、『ポピュラー音楽とアカデミズム』(音楽之友社、2005年)など。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2005/4/22)
- 発売日 : 2005/4/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 212ページ
- ISBN-10 : 4622071371
- ISBN-13 : 978-4622071372
- Amazon 売れ筋ランキング: - 772,293位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 15,510位音楽一般の本
- - 33,975位楽譜・スコア・音楽書 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
4グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2006年5月7日に日本でレビュー済み
1954年生まれの人間にとって、この本に登場してくるミュージシャンの音楽は、子供心にも、ハイカラで素敵だった。
当然、ジャンルなど分からないので、気に入ったものを聞いていたという感じかな。
ここで、雪村いずみさんやジョージ川口さんらに出会ってなければ、Beatlesにたどり着いたのだろうか?
ただ、この本で、進駐軍クラブでの生活などが細かに書かれているものの、そのことと、題名にある「歌謡曲」と言う部分の関係がよく分からない。ホリプロ設立だけでは説明したとはいえないだろう。
「歌謡曲」を何をさすのかもよく分からないが、このあたりの記述の薄さが残念。もし私のイメージする演歌的なものであるとすれが、どうでもいいことだけど。
当然、ジャンルなど分からないので、気に入ったものを聞いていたという感じかな。
ここで、雪村いずみさんやジョージ川口さんらに出会ってなければ、Beatlesにたどり着いたのだろうか?
ただ、この本で、進駐軍クラブでの生活などが細かに書かれているものの、そのことと、題名にある「歌謡曲」と言う部分の関係がよく分からない。ホリプロ設立だけでは説明したとはいえないだろう。
「歌謡曲」を何をさすのかもよく分からないが、このあたりの記述の薄さが残念。もし私のイメージする演歌的なものであるとすれが、どうでもいいことだけど。
2008年4月2日に日本でレビュー済み
5年ほど前、個人的な理由から生のビッグバンドに接する機会があった。テレビ、ラジオ等々を通して小さいころから接していたものの、改めてそのすばらしさに感銘を受けた。その後幸いなことに同時代の方のお話が伺えた。実に興味深い話の集まりだった。さらに知りたくなったのだが、あいにくそうしたものを取り上げた本が見当たらない、いや、それどころか太平洋戦争直後をテーマにした本が少ないこと。
そんな中この本に出会ったのはまったくの偶然だった。一気に読んだ。大変興味深かった。やはり筆者は情報源(資料)にお困りのこととお見受けする。多くの方へのインタビューを通して、この論文を書き上げたわけだ。一番印象に残ったのは、前述、同世代の方から伺った話と微妙に食い違っていたことだ。どちらかが間違い、どちらかがうそ、というわけではないだろう。その両方が、ビッグバンドを形成していたのだ。
そんな中この本に出会ったのはまったくの偶然だった。一気に読んだ。大変興味深かった。やはり筆者は情報源(資料)にお困りのこととお見受けする。多くの方へのインタビューを通して、この論文を書き上げたわけだ。一番印象に残ったのは、前述、同世代の方から伺った話と微妙に食い違っていたことだ。どちらかが間違い、どちらかがうそ、というわけではないだろう。その両方が、ビッグバンドを形成していたのだ。